マレーシア留学のデメリットは?暮らし・ビザ・宗教の注意点と備え
マレーシア留学のデメリットを、暮らし・学生ビザと働き方・イスラム教の習慣に分けて整理。英語が国語でない環境、暑さとヘイズ、デング熱、街頭犯罪、語学学校の学生ビザでは働けない点と、比べたいメリット、出発前の準備まで分かります。

「費用は魅力的だけれど、マレーシア留学にデメリットはないのだろうか」。英語は本当に身につくのか、暑さや治安、宗教の違いに慣れられるのか、不安が先に立つ方も少なくないはずです。良い話ばかりを聞くほど、本当のところを知ってから決めたいという気持ちも強くなります。
そこで本記事では、マレーシア留学のデメリットを、暮らし・学生ビザと働き方・宗教と習慣に分けて、外務省やマレーシア入国管理局の情報で整理します。暮らしのデメリットは備えとあわせて表で確かめられるので、自分にとって致命的かどうかを判断しやすくなるでしょう。
あわせて、デメリットと比べたいメリットや、出発前に整えておきたい学生ビザ・パスポート・保険の条件も同じ流れで確かめていきましょう。
マレーシア留学の暮らしのデメリット
マレーシア留学の暮らしのデメリットは、言葉の環境、暑さと空気、デング熱、街なかの盗難の4つです。どれも事前に知っていれば備えられるものなので、まず全体を表で確かめましょう。
デメリット | 気をつけたい時期・場所 | 主な備え |
|---|---|---|
英語が国語でない | 学校の外の暮らし | 講師と授業の確認 |
暑さとヘイズ | ヘイズは4〜10月 | マスク・屋内で過ごす |
デング熱 | 雨季の都市部 | 虫よけ・蚊取り線香 |
盗難 | クアラルンプール中心部 | 貴重品を分けて持つ |
時期・場所は、外務省の安全対策基礎データと医療事情(マレーシア)によります。
英語は国語ではなく使う言葉の一つ
マレーシアの国語はマレー語で、外務省によると、ほかに中国語、タミール語、英語が使われる多言語の国です。英語のほかにマレー語や中国語も日常で使われるため、英語に触れる量は住む場所や付き合う相手によって変わります。
英語力を伸ばしたいなら、学校の授業や講師の体制を出願の前に確かめましょう。学校の外でも英語を使う機会を自分から作ると、学んだことを生かしやすくなります。
一年中暑く、雨季と煙のもやがある
外務省の医療事情によると、マレー半島は常夏で、日中の気温は一年を通じて24〜32度です。10月から2月は雨季で、雨の量が多くなります。
さらに4月から10月にかけて、インドネシアの焼き畑や山火事の煙が原因のヘイズという大気汚染がひどくなることがあります。目やのどの痛みを訴える人もいるため、ぜんそくなど呼吸器に不安がある人は特に注意しましょう。
都市部でもデング熱にかかることがある
マレーシアでは、蚊が運ぶ感染症のデング熱が都市部でも多く出ています。外務省によると、蚊が増える雨季に患者も増え、直接効く治療薬はなく、安静にして症状を和らげる治療が中心です。
発熱や頭痛、筋肉の痛み、発疹が主な症状で、一部は重くなることもあります。虫よけや蚊取り線香を使い、熱が出たら早めに病院で診てもらいましょう。外務省によると、日本の製薬会社が開発したワクチンがマレーシアで承認されているので、接種するかは渡航前に医師に相談すると安心です。
ひったくりや置き引きが増えている
外務省の安全対策基礎データによると、2024年のマレーシアの犯罪の届け出は58,255件で、前の年より5,811件増えました。スリや置き引き、ひったくりなどの街頭犯罪が増える傾向にあります。
強盗の発生率は人口あたりで日本の約12倍とされ、クアラルンプール中心部やKLセントラル駅から空港までの間では、かばんの盗難の相談が多く寄せられています。財布やパスポートを1つのかばんにまとめず、人の多い場所では持ち物から目を離さないようにしましょう。
学生ビザと働き方のデメリット
マレーシアでは、語学学校の学生ビザで働くことはできず、大学生も働ける場所と時間が決まっています。日本とのワーキングホリデー協定もないため、留学中の費用は出発前に用意しておく必要があります。
語学学校の学生ビザではアルバイトできない
マレーシア入国管理局によると、学生ビザで働く許可が出るのは、国立大学と私立の高等教育機関の学生だけです。語学学校や職業訓練校の学生ビザでは、アルバイトは認められていません。
家族を一緒に連れて行けるのは修士・博士の学生ビザだけで、語学学校や学部の学生ビザでは連れて行けません。語学留学を考えている人は、働いて生活費を補う計画は立てられないと考えておきましょう。
大学生も働ける場所と時間が限られる
大学などの学生も、働けるのは週20時間までで、場所はレストラン、ガソリンスタンド、小さな商店、ホテル、大学の構内などに限られます。ホテルなどの受付の仕事や、留学生を勧誘する仕事はできません。
働くには、仕事の採用通知と、大学が出す申請の書類(サポートレター)をそろえて、入国管理局に申請する必要があります。決まりに反して働くと学生ビザが取り消されるため、自分で判断せず大学の窓口に相談しましょう。
日本とのワーキングホリデー協定はない
日本とマレーシアの間には、ワーキングホリデーの協定がありません。外務省が公開している協定国の一覧にも、マレーシアは入っていません。
働きながら長く滞在したい人は、オーストラリアやカナダなど協定のある国も比べてみましょう。マレーシアで学ぶなら、学費と生活費をまかなえるだけの資金を貯めてから出発するのが基本です。
イスラム教の国で暮らすときの注意点
マレーシアはイスラム教を連邦の宗教とする国で、人口の6割以上がイスラム教徒です。食事や身ぶり、断食の時期など、日本と違う習慣を知っておくと、友人や先生との付き合いで戸惑わずにすみます。
豚肉とお酒を口にしない人が多い
外務省の基礎データによると、マレーシアの宗教はイスラム教が63.5%で、ほかに仏教、キリスト教、ヒンドゥー教の信者がいる国です。外務省の安全対策基礎データは、イスラム教徒は酒と豚を口にしないと説明しています。
イスラム教徒の友人と食事をするときは、店や料理を選ぶときに気を配りましょう。中華系やインド系の人も多い多民族の国なので、食べ物の決まりは相手によって違うと考えておくと安心です。
左手や頭に関するマナーがある
イスラム教では左手が不浄とされるため、握手や物の受け渡しは右手を使います。人を指さすときは人差し指ではなく親指を使い、子どもの頭をなでないことも、外務省が挙げる注意点です。
男性から女性に握手を求めないことも、覚えておきたいマナーです。日本では気にしない動作が失礼に当たることがあるので、渡航前に一度目を通しておきましょう。
約1か月の断食の時期がある
イスラム教徒は毎年、イスラム暦に従って約1か月の間、日の出から日没まで飲食や喫煙を断つ断食を行います。この時期にイスラム教徒を食事に誘うときは、相手の都合に配慮が必要です。
外務省は、金曜日の集団礼拝に合わせてデモが起き、暴徒化したり宗教施設を狙った襲撃が起きたりすることもあるとして、特に金曜日は宗教施設に不用意に近づかないよう呼びかけています。観光でモスクなどを訪ねるときは、曜日と時間にも気を配りましょう。
デメリットと比べたいマレーシア留学のメリット
マレーシア留学には、海外の大学の分校で学べること、多民族の環境で英語以外の言葉にも触れられること、日本語で受診できる病院があることといったメリットもあります。デメリットと並べて、自分の目的に合うかを判断しましょう。
海外の大学の分校で学べる
マレーシアには、海外の大学の分校があります。たとえば英国ノッティンガム大学のマレーシア校は2000年に開かれ、74か国から4,000人以上の学生が学んでいます。
学位を取る目的なら、英国などに行かずに海外の大学の課程で学べる道があることは大きな魅力です。学費や学べる分野は大学ごとに違うので、各校の公式サイトで確かめましょう。
英語以外の言葉や文化にも触れられる
外務省によると、マレーシアの人口はマレー系が約71%、中華系が約22%、インド系が約7%です。マレー語、中国語、タミール語、英語が使われ、いくつもの文化が身近にある暮らしを体験できます。
英語だけでなく中国語にも興味がある人や、多様な文化の中で暮らしてみたい人には向いた環境です。言葉の環境はデメリットにもメリットにもなるので、自分が何を身につけたいかで判断しましょう。
日本語で受診できる病院もある
外務省の医療事情によると、マレーシアの大きな私立病院は設備が整い、ほとんどの医師が英語を話します。日本人のスタッフや日本語で診察できる医師がいる私立病院もあり、英語での受診に不安がある人も相談しやすい環境です。
外務省の海外在留邦人数調査統計では、2025年にマレーシアに住む日本人は19,690人です。ただし私立病院は一般に高額なので、受診に備えて保険に入っておくことが前提になります。
デメリットに備える出発前の準備
マレーシアの学生ビザは、マレーシアの外にいる間に申請し、パスポートの期限や医療保険にも条件があります。出発の数か月前から、学校と一緒に手続きを進めましょう。
学生ビザはマレーシアの外から申請する
マレーシア入国管理局によると、学生ビザの申請は、本人がマレーシアの外にいる間に行う必要があります。学校か本人が、教育機関の窓口であるEMGSのサイトなどからオンラインで申請する流れです。
許可が出て入国したあとは、7日以内に指定の健康診断を受け、学校が近くの入国管理局で学生ビザを手続きします。学生ビザの手数料は60リンギットです。観光で入国してから現地で申請することはできないので、出発前に許可を得ておきましょう。
パスポートは18か月以上の期限が要る
マレーシア入国管理局によると、学生ビザの申請には、18か月以上の期限が残ったパスポートの全ページの写しが必要です。外務省によると、観光などで入国するときに求められる残りの期限は6か月以上なので、学生ビザの条件のほうがずっと厳しくなっています。
パスポートの期限が近い人は、学校に出願する前に更新しておきましょう。申請の途中で更新すると、書類を出し直す手間が増えることがあります。
12か月以上の医療保険に入る
マレーシア入国管理局は、学生ビザの申請書類として、マレーシアで認められた12か月以上の医療保険を求めています。私立病院の受診は高額になりやすいため、保険の補償の範囲もあわせて確かめましょう。
デング熱やヘイズによる体調不良など、暮らしのデメリットに備える意味でも保険は欠かせません。学校が指定する保険があるかどうかも、出願のときに確かめておくと安心です。
よくある質問
マレーシア留学のデメリットについて、よく出る質問への答えをまとめました。
マレーシア留学で英語は身につきますか?
学校選びと過ごし方しだいです。マレーシアの国語はマレー語で、英語は使われる言葉の一つなので、授業の内容を確かめ、学校の外でも英語を使う機会を自分で作りましょう。
マレーシアの治安は悪いですか?
外務省によると、スリや置き引き、ひったくりなどの街頭犯罪が増える傾向にあり、強盗の発生率は人口あたりで日本の約12倍です。貴重品を分けて持ち、夜の一人歩きを避けるなどの備えをしておきましょう。
マレーシアでワーキングホリデーはできますか?
できません。日本とマレーシアの間にはワーキングホリデーの協定がなく、語学学校の学生ビザではアルバイトも認められていません。
イスラム教徒でなくても暮らしやすいですか?
マレーシアは仏教やキリスト教、ヒンドゥー教の人もいる多民族の国です。イスラム教の食事や身ぶりのマナーを知っておくと、宗教が違う人とも気持ちよく付き合えます。
まとめ
マレーシア留学のデメリットは、英語が国語ではない言葉の環境、暑さとヘイズ、デング熱、街頭犯罪といった暮らしの面と、語学学校の学生ビザでは働けないことです。日本とのワーキングホリデー協定もないため、費用は出発前に用意しておく必要があります。一方で、海外の大学の分校で学べるなどのメリットもあります。
次にやることは、自分の目的が語学か学位かを決め、それに合う学校の授業内容と学生ビザの条件を確かめることです。国の基本情報はマレーシアの国ページで、ほかの国との比較は留学・ワーホリ診断で確かめられます。
この記事の出典
制度・数値は2026年10月31日に各公式サイトで確認しました。最新は各公式サイトでご確認ください。