社会人の中国留学は期間で決まる|ビザ・費用・大学の出願条件
社会人の中国留学は、期間を決めると学び方とビザが決まります。180日以内はX2、1年の語学研修や大学院はX1。北京師範大学と復旦大学の学費・年齢条件の比較、出願の時期と書類、休職・退職と年金、合格から入国後の手続きまで分かります。

「社会人になってからでも、中国留学に挑戦できるだろうか」。仕事を辞めるべきか休職で行けるのか、年齢や中国語の力で断られないのか、不安が先に立つ方も少なくないはずです。費用やビザの手続きが見えず、いつ会社に伝えればよいかという迷いも重なります。
そこで本記事では、留学の期間ごとに選べる学び方と必要なビザを、中国の公式情報と大学の募集要項から整理します。北京と上海の大学の学費や年齢の条件を同じ表で比べられるので、自分に合う形を決めやすくなるはずです。
あわせて、出願の時期や必要な書類、仕事との両立で気をつけたい点、合格から入国後までの手続きも同じ流れで確かめていきましょう。
社会人の中国留学は期間で形とビザが決まる
社会人が中国へ留学するときは、まず期間を決めると、学び方と必要なビザが決まります。180日以内なら短期の学習ビザ(X2)、180日を超えるなら長期の学習ビザ(X1)で、ビザなしで入れる30日の制度は留学に使えません。
学び方 | 期間の例 | ビザ |
|---|---|---|
1学期の語学研修 | 約4か月 | X2 |
1年の語学研修 | 約11か月 | X1 |
大学院 | 学位の課程の期間 | X1 |
期間の例は、復旦大学の2027年の募集要項の日程です。ビザの区分は、中国の外国人入境出境管理条例によります。
ビザなしの30日に留学は含まれない
日本のパスポートを持つ人は、2026年12月31日まで、30日以内ならビザなしで中国に入国できます。ただし、中国外務省の通知が挙げる目的は、商用・観光・親族や友人の訪問・交流訪問・通過で、学ぶことは入っていません。
通知は、条件に当てはまらない人に入国前のビザ取得を求めています。有給休暇を使う短い研修でも、ビザが要るかを申し込みの段階で学校に確かめましょう。
180日以内の研修はX2ビザ
中国での滞在が180日以内の学習には、短期の学習ビザ(X2)を使います。たとえば復旦大学の2027年春学期の語学研修は2月15日から6月25日までで、180日に届きません。
復旦大学によると、180日未満の留学生には、ビザの申請に使う「DQ表」という短期の留学生情報表が出されます。休職して半年ほど学ぶなら、1学期の研修とX2ビザの組み合わせが候補になるでしょう。滞在がちょうど180日前後になる人は、どちらのビザと書類になるかを大学と大使館に確かめておくと安心です。
1年の語学研修や大学院はX1ビザ
180日を超えて学ぶ場合は、長期の学習ビザ(X1)を申請します。1年の語学研修や大学院の課程なら、このビザになる仕組みです。
X1ビザで入国したあとは、現地で滞在の許可を取る手続きが続きます。仕事を辞めて腰を据えて中国語を身につけたい人や、中国で学位を取りたい人に向く形です。
学位を取るなら大学院で学ぶ
中国の大学で修士などの学位を取りたいなら、語学研修ではなく大学院の課程に出願します。授業を中国語で受けるか英語で受けるかで求められる語学力が変わるため、志望校の募集要項で条件を確かめましょう。
中国政府奨学金には年齢の上限があり、復旦大学の2026年度の募集案内では修士課程は35歳未満、博士課程は40歳未満です。30代で大学院を考えているなら、奨学金の条件を先に確かめておくと計画を立てやすくなります。
社会人が確かめたい大学の出願条件
中国の大学の語学研修は社会人も申し込めますが、年齢の上限や提出書類は大学ごとに違います。春に入学するなら前の年の秋が出願の時期なので、退職や休職の相談より先に募集要項を確かめておきましょう。
年齢の上限は大学によって違う
語学研修の年齢の条件は、大学によって大きく違います。2027年入学の募集要項では、北京師範大学は18〜45歳、上海の復旦大学は17〜60歳としています。
40代以上で北京の大学を考えている人は、志望校の上限に当てはまるかを最初に確かめましょう。北京師範大学は、高校を卒業していることも条件の一つです。
無犯罪記録の証明を求める大学もある
北京師範大学は、語学研修の出願書類に「無犯罪記録証明」を含めています。日本では、住民登録のある都道府県の警察に申請する「犯罪経歴証明書」がこれに当たるでしょう。
警視庁の案内では、犯罪経歴証明書は指紋を取るため本人が窓口へ行く必要があり、申請の前に電話で問い合わせるよう求めています。受け取りは申請からおおむね2週間後で、受付は平日だけです。提出先によってはすぐに受け付けてもらえないこともあるため、大学の募集要項を手元に置いて早めに問い合わせましょう。
春の入学は前の年の秋に出願する
北京師範大学も復旦大学も秋と春に入学でき、春に入学するなら前の年の秋に出願します。2027年春の入学では、北京師範大学は2026年10月10日〜12月15日、復旦大学は10月16日〜12月13日が出願の期間です。
出願料は北京師範大学が450元、復旦大学が400元で、どちらも合否にかかわらず返ってきません。職場に休職や退職を伝える時期も、この出願の期間に合わせて考えると無理がありません。
大学の語学研修にかかる費用
中国の大学の語学研修は、学費が1学期でおよそ1万元(人民元)です。これに出願料、住まいの費用、ビザの手数料が加わるため、住まいの扱いまで含めて大学ごとに比べましょう。
項目 | 北京師範大学 | 復旦大学 |
|---|---|---|
1学期の学費 | 11,600元 | 10,500元 |
1年の学費 | 22,400元 | 21,000元 |
出願料 | 450元 | 400元 |
年齢の条件 | 18〜45歳 | 17〜60歳 |
住まい | 留学生寮あり | 自分で選ぶ |
どちらも2027年入学の募集要項の金額です。復旦大学は、最終的な学費は入学時の大学の定める額によるとしています。
学費は1学期でおよそ1万元
北京師範大学と復旦大学の語学研修の学費は、1学期で1万〜1万2千元ほどです。1年通う場合は、どちらも2万元余りになります。
円に換えた額は為替で変わるため、申し込む時点のレートで計算しましょう。同じ大学でも年によって学費が変わることがあるので、入学する年の募集要項で確かめましょう。
寮があるかは大学ごとに違う
住まいの扱いは、大学によって違うのが実情です。北京師範大学には1人部屋や2人部屋のある留学生寮があり、合格の通知を受け取ったあとにオンラインで申し込めます。
一方、復旦大学の募集要項は、留学生が住まいを自分で選ぶ形で、周辺の住まいの情報を参考として載せています。寮が無い大学では家賃が費用を大きく左右するので、学費だけで大学を比べないようにしましょう。
ビザの手数料は1回16,750円
在日本中国大使館によると、日本国籍の人の中国ビザの手数料は、2026年9月14日以降に受け付けた申請から1回の入国用で16,750円です。半年の間に何度も入国できるビザは33,500円になります。
手数料は改定されることがあるため、申請する前に大使館の最新の案内を見ておくと安心です。ビザ申請サービスセンターに出す場合は、この手数料とは別にセンターのサービス料がかかります。渡航費や海外旅行保険の費用も見込んでおきましょう。
仕事と中国留学を両立させる考え方
中国の学生ビザでは自由に働けないため、留学中の費用は出発前に用意しておくのが基本です。休職か退職かで日本の年金の手続きも変わるので、仕事の扱いとお金の準備を一緒に考えましょう。
学生のアルバイトには許可が要る
中国は日本とワーキングホリデーの協定を結んでいないため、ワーキングホリデーのビザはありません。中国の外国人入境出境管理条例では、学習の居留許可を持つ人が学校の外でアルバイトや実習をするには、学校の同意を得て、居留許可に場所や期間を書き加えてもらう必要があります。
この記載が無いまま学校の外で働くことは認められていません。アルバイトの収入を当てにせず、学費と生活費は日本で貯めてから出発しましょう。
休職か退職かで年金の手続きが変わる
休職して日本に住所を残したまま留学するか、退職して海外に住所を移すかで、国民年金などの手続きが変わります。日本年金機構によると、海外に住所を移すと国民年金の加入は義務ではなくなり、日本国籍の人は希望すれば任意で加入を続けることが可能です。
会社の休職制度で留学できるかどうかは、就業規則や会社との相談で決まります。出発前に勤め先の担当者と市区町村の窓口で、自分の場合の扱いを確かめておきましょう。
中国語の力はHSKで示せる
帰国後の仕事探しで中国語の力を示したいなら、中国語の検定試験HSKを受けておくと便利です。復旦大学の募集要項によると、上海のHSKの試験センターが、在学中に何度も受験する機会を用意しています。
語学研修はレベル別のクラスで学ぶため、到達したい級を決めておくと、半年にするか1年にするかを選びやすくなります。留学の期間を決めるときは、帰国後にどの級を持っていたいかから逆算してみましょう。
合格から入国後までの手続き
大学に合格したら、入学許可の書類を受け取ってビザを申請し、入国後に滞在の許可を取るという順に進みます。1年の留学なら、入国から30日以内に居留許可を申請するところまでが一続きの手続きです。
合格後にJW202表を受け取る
合格すると、大学の入学許可の通知書と、ビザの申請に使う留学生の確認表が出ます。復旦大学の案内では、180日以上の留学はJW202表、180日未満は短期のDQ表で、どちらも中国政府の留学情報サイト「留学中国網」からダウンロードする仕組みです。
復旦大学は、出願するときのパスポートの期限が学ぶ期間をすべて含むようにし、入学の手続きを終えるまでパスポートを更新しないよう求めています。更新すると確認表が使えなくなるため、出願の前にパスポートの期限を確かめておきましょう。
ビザはオンラインで申請してから窓口へ
東京の中国ビザ申請サービスセンターでは、2025年6月30日から、ビザの申請書の記入と書類の提出をウェブサイトで行う形になりました。オンラインの審査を通ったあと、申請の控えを持ってセンターの窓口でパスポートを出し、手数料を払います。
学習ビザで欠かせない書類は、大学の入学許可の通知書と、JW201表またはJW202表です。パスポートは申請の日から6か月以上の期限と、2ページ以上の空いた査証欄が必要になります。
入国から30日以内に居留許可を申請する
X1ビザで入国した人は、入国から30日以内に、住む地域の公安機関の出入国管理部門で居留許可を申請します。居留許可は中国に長く住むための許可で、これが無いとビザの期限を過ぎて滞在できません。
復旦大学は、ビザの期限が切れないよう、入学の手続きの1〜2日前に入国し、早く入りすぎないよう呼びかけています。到着の日程は、大学が示す手続きの日から逆算して決めましょう。
よくある質問
社会人の中国留学について、よく出る質問への答えをまとめました。
40代からでも中国に留学できますか?
大学によってはできます。2027年入学の募集要項では、復旦大学の語学研修は17〜60歳が対象ですが、北京師範大学は45歳までなので、志望校の年齢の条件を先に確かめましょう。
中国語がまったく話せなくても大丈夫ですか?
大学の語学研修は、入学後のクラス分けの試験でレベルに合ったクラスに入るため、初めて学ぶ人も申し込めます。北京師範大学は、中国語を学んだことがない人から受け入れるとしています。
中国でワーキングホリデーはできますか?
できません。中国は日本とワーキングホリデーの協定を結んでいないため、留学するなら学習ビザで学び、費用は出発前に用意しておく必要があります。
1か月だけの留学もできますか?
復旦大学のように、長期の語学研修のほかに短期の研修生を受け入れている大学もあります。ただし、ビザなしで入国できる30日の制度は学ぶことを目的に含んでいないため、ビザが要るかを学校に確かめてから申し込みましょう。
まとめ
社会人の中国留学は、期間を決めると学び方とビザが決まります。180日以内の研修はX2ビザ、1年の語学研修や大学院はX1ビザで、ビザなしの30日の制度は留学に使えません。大学の語学研修は学費が1学期でおよそ1万元で、年齢の上限や書類は大学ごとに違います。
次にやることは、志望する大学の募集要項で年齢の条件と出願の期間を確かめ、そこから逆算して職場に伝える時期を決めることです。ほかの国と比べたいときは、留学・ワーホリ診断で自分に合う国を探してみましょう。
この記事の出典
制度・金額は2026年10月31日に各公式サイトで確認しました。最新は各公式サイトでご確認ください。