社会人の語学留学ガイド|有給・休職・退職で変わる期間と国選び
社会人の語学留学を、有給休暇・休職・退職のどれで行くかで期間が決まるという視点から整理しました。期間ごとに伸ばせる英語力の目安、学生ビザなしで通える期間の国別比較、30歳以上のクラスなど学校の選び方、留学中も日本で払うお金も分かります。

「社会人になってから語学留学をして、本当に英語は伸びるのだろうか」。仕事をどう休むのか、収入が止まっても生活は回るのか、不安が先に立つのも無理はありません。学生ばかりの教室で浮かないか、という迷いも重なります。
そこで本記事では、有給休暇・休職・退職のどれで行くかによって決まる留学の期間と、期間ごとに伸ばせる英語力の目安を、授業時間の計算とあわせて示しました。学生ビザなしで語学学校に通える期間も国別の表で比べられるので、自分に合う行き先が絞り込めます。
あわせて、社会人に合う学校の選び方や、留学中も日本で払い続けるお金と手続きも、同じ流れで確かめていきましょう。
社会人の語学留学は仕事の扱いで期間が決まる
社会人の語学留学は、有給休暇・休職・退職のどれで行くかによって、行ける期間がほぼ決まります。有給なら1〜3週間、休職なら1〜6か月、退職なら半年以上が組みやすい目安です。
有給休暇で行くなら1〜3週間が目安
会社を辞めたり休職したりせずに、有給休暇で行く場合、現実的な期間は1〜3週間になります。労働基準法が定める年次有給休暇の最低日数は、勤続半年で10日、勤続6年半以上で20日だからです。
年末年始やお盆の休みと組み合わせれば、2週間ほどの留学なら有給を使い切らずに組めます。この長さなら、多くの国で学生ビザを取らずに語学学校へ通えるのも利点です。
休職・長期休暇なら給付金を使える場合がある
会社の就業規則に休職や長期休暇の制度があれば、仕事を辞めずに1〜6か月の語学留学ができます。2025年10月に始まった雇用保険の「教育訓練休暇給付金」は、語学留学も対象です。給付金の対象は就業規則などに定めた休暇制度による休みで、会社の制度が当てはまるかは事前にハローワークで確かめられます。
対象は、雇用保険に通算5年以上入り、休みの前の2年間に12か月以上加入している人が、会社の承認を得て連続30日以上の無給の休暇を取る場合です。加入期間に応じて90〜150日分、失業給付にあたる基本手当と同じ水準の額が支給されますが、有給休暇を使った日は対象になりません。
ただし給付金を受けると、それまでの雇用保険の加入期間がリセットされ、しばらくは失業給付などを原則受けられなくなります。帰国後に転職を考えている人は、この点も踏まえて使うかを決めましょう。
もっとも、常用労働者30人以上の企業を対象にした厚生労働省の令和7年度の能力開発基本調査で、教育訓練休暇の制度がある企業は5.7%でした。給付金は制度がない会社では使えないので、まずは自分の会社の就業規則を確かめましょう。制度の内容は2026年10月時点のもので、最新は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
長期休暇と有給を組み合わせる例もあります。厚生労働省の「2025年度 教育訓練に活用できる休暇・休職制度 導入事例集」には、会社独自の長期休暇制度に積み立てた有給休暇を充てて、2024年に約4か月の語学留学をした医薬品メーカーの社員の例が載っています。この制度で有給にできるのは最大40日です。
退職すれば半年以上の長期も組める
会社を辞めて行く場合は、期間も国も自由に選べ、半年から1年の長期留学も組めます。学生ビザを取って腰を据えて学べるのは、退職して行く形ならではの良さです。
一方で、留学中は収入がなくなり、日本で払い続けるお金もあります。住民税や健康保険の扱いはこの記事の後半でまとめたので、資金計画に入れておきましょう。転職の前後で留学を考えるなら、セカンドキャリア・転職前の留学ガイドも参考になります。
行き方 | 期間の目安 | 留学中の収入 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
有給休暇 | 1〜3週間 | 給与あり | まず試したい人 |
休職 | 1〜6か月 | 給付金がある場合も | 制度がある会社の人 |
退職 | 半年以上 | なし | 転職の節目にいる人 |
期間は会社の制度と貯金で決まるため、国や学校を選ぶ前に、まず自分がどの形で行けるかを確かめるのが近道です。
語学留学の期間ごとに伸ばせる英語力
英語力を1段階上げるには約200時間の学習が目安とされ、週15時間の授業なら1か月の語学留学で届くのはその3割ほどです。短期の留学は「話す抵抗を減らす期間」と考え、出発前と帰国後の学習を足して計画すると効果が残ります。
英語力が1段階上がるには約200時間かかる
英語力の国際的な物差しであるCEFR(セファール)で1段階上がるには、およそ200時間の指導付きの学習が目安です。ケンブリッジ英検を作るCambridge Englishが、この数字を示しています。
CEFRは外国語の力をA1からC2までの6段階で表し、A2は日常の簡単なやりとり、B1は仕事や学校などの身近な話題の要点が分かる段階です。Cambridge Englishによると、ゼロからB1までは累計350〜400時間、B2までは500〜600時間が目安になります。
ただし同じ資料は、必要な時間は学習歴や年齢、授業の外での学習量で変わると明記しています。数字は「どのくらいの期間が要るか」を考えるための物差しとして使いましょう。
1か月は英語を話す抵抗を減らす期間
週15時間の授業なら、1か月の語学留学では英語力の段階を上げるところまでは届きにくいものの、英語を話すことへの抵抗を減らしやすい期間です。1レッスン45分の授業を週20レッスン受けると1週間で15時間、4週間で約60時間となり、1段階に必要な時間の3割ほどです。
たとえばマルタの語学学校ESEは、週20レッスン・15時間のコースのほかに、週30レッスン・22.5時間のコースも設けています。後者なら4週間で約90時間になり、授業の外で話す時間も足せば、学習量はさらに増えるはずです。
授業の時間が長い学校なら、同じ1か月でも学習量は大きく変わります。たとえば後で紹介するセブの体験談のように1日6時間以上の授業を受ければ、平日だけでも4週間で100時間を超える計算です。
3か月でようやく1段階の伸びが見えてくる
週15時間の授業を12週間続けると約180時間になり、3か月でようやく1段階分の学習時間に近づきます。期間ごとの授業時間の合計と、目安にできる目標をまとめると次のとおりです。
期間 | 授業時間の合計 | 目標の目安 |
|---|---|---|
1週間 | 約15時間 | 英語で過ごすことに慣れる |
4週間 | 約60時間 | 話す抵抗を減らす |
12週間 | 約180時間 | 1段階の伸びに近づく |
24週間 | 約360時間 | 2段階近くを目指せる |
授業時間は、1週間15時間のコースで計算した目安です。出発前に単語や文法の基礎を固めておけば、現地の授業時間を話す練習に回せます。
学生ビザなしで語学学校に通える期間
学生ビザを取らずに語学学校へ通える期間は、オーストラリアとニュージーランドが3か月、カナダとイギリスが6か月までです。アメリカとフィリピンは短い留学でも学生ビザや就学許可が要るため、行き先を決める前に確かめておきましょう。
3か月までならオーストラリアとNZ
オーストラリアは、電子渡航許可のETAで合計3か月まで学べます。オーストラリア内務省は、主な目的が勉強なら学生ビザを申請するよう案内しており、3か月を超える留学は学生ビザが必要です。
観光のETAで入国してから現地で学生ビザに切り替えることは、2024年7月からできません。さらに2026年10月2日からは、ほかの一時ビザを持つ人も、オーストラリア国内で学生ビザを申請することが原則できなくなりました。3か月を超えそうなら、出発前に学生ビザを取りましょう。英語コースの学生ビザの申請料は、2026年7月から2,050豪ドルです。
ニュージーランドも、訪問者として12か月のうち3か月まで学べます。入国にはNZeTAという電子渡航認証が必要です。
6か月までならカナダとイギリス
カナダとイギリスは、6か月以内のコースなら学生ビザなしで学べるので、休職して数か月行く人に向いています。カナダ移民局は、6か月以内のプログラムなら就学許可は不要と明記しています。飛行機で入国するときは電子渡航認証のeTAが必要で、費用は7カナダドルです。
イギリスは、訪問者の資格で認定校の6か月以内のコースを受けられ、日本国籍の人は事前に電子渡航認証のETAを取ります。費用は20ポンドです。6か月を超えて11か月までの英語コースには短期学生ビザがあり、申請料は228ポンドで、このほかに医療付加金が通常776ポンドかかります。このビザでは働けません。
アメリカとフィリピンは短期でも手続きが要る
アメリカで語学学校のコースに通うなら、期間が短くてもF-1という学生ビザが必要です。米国務省は、ESTAや観光ビザで認められる学習を、旅行のついでの単位にならない娯楽的な講座に限っています。
フィリピンは、日本人なら観光でビザなしで最大30日滞在できますが、語学学校で学ぶには特別就学許可(SSP)が必要です。フィリピンは日本とのワーキング・ホリデー協定がなく、語学留学で滞在している間に現地で働くことはできない点も覚えておきましょう。
国 | 学生ビザなしで学べる範囲 | 事前の手続き |
|---|---|---|
オーストラリア | 合計3か月まで | ETA |
ニュージーランド | 12か月のうち3か月 | NZeTA |
カナダ | 6か月以内のコース | eTA |
イギリス | 6か月以内のコース | ETA |
マルタ | 90日以内のコース | なし |
アメリカ | 語学学校は不可 | F-1ビザ |
フィリピン | 就学には許可が必要 | 現地でSSP |
表は2026年10月時点の各国政府の公式案内をもとにした目安です。マルタは90日を超えて学ぶと、居住許可や1年の国のビザが必要になる場合があり、ヨーロッパの電子渡航認証ETIASも今後始まる予定です。ビザの条件は変わることがあるため、最新は各国の大使館や移民局の公式サイトでご確認ください。
社会人に合う語学学校と行き先の選び方
社会人の語学留学では、国より先に「どんな人と、どんな授業を受けるか」で学校を選ぶと失敗が減ります。年齢の近い人と学べる30歳以上のクラス、話す量を増やせるマンツーマン、仕事に直結するビジネス英語が主な選択肢です。
30歳以上だけのクラスを設けた学校がある
学生ばかりの教室で浮かないかが心配なら、30歳以上だけが入れるクラスや校舎を選ぶ方法があります。たとえば語学学校のECは、ロンドン・トロント・ダブリン・マルタで、最低年齢を30歳とする「30+」の校舎を設けています。
ECが公表している受講者の年齢構成では、ロンドンの30+校は41〜50歳が33%で最も多く、51歳以上も2割いました。マルタのESEも、30歳以上・最大8人の少人数クラスを初級から用意しています。
年齢構成やクラスの人数は2026年10月時点の学校の公表値で、時期によって変わります。申し込む前に、自分が通う時期の受講者の年齢や国籍の割合を学校に問い合わせておくと安心です。
短期で話す量を増やすならマンツーマン
短い留学で話す量を増やしたいなら、マンツーマンの授業が中心の学校が向いています。フィリピンのセブで学んだ34歳の医療業界の営業職の人は、1日6時間以上を先生と1対1で話す環境で、英語を話すことへの心理的なハードルが大きく下がったと振り返っていました。この人は帰国後も学習を続け、その結果を次のように書いています。
この短期留学でスピーキングの土台と度胸が身につき、帰国後もしばらく学習を継続した結果、無事にTOEICで700点を取得することができました。
セブで語学留学をした人の体験談です(体験談を読む)。一方で同じ人は、食事や衛生面、寮のインターネットの不安定さに苦労したことも書いています。快適さより「英語の特訓」と割り切れるかどうかが、向き不向きの分かれ目です。
ビジネス英語は中級からが受講の目安
仕事で英語を使いたい人向けのビジネス英語コースは、中級程度の英語力を受講の条件にしていることがあります。マルタのESEのビジネス英語コースは、CEFRのB1以上を条件に、最大6人のクラスで週15時間学ぶ内容です。
英語の基礎に不安があるなら、最初の数週間は一般英語で土台を作り、後半にビジネス英語へ切り替える組み方もあります。ESEのように毎週月曜に入学でき、1週間単位で申し込める学校なら、休みに合わせて組み立てやすいはずです。
国や費用帯から学校を比べたいときは、語学学校を探すのページが使えます。
留学中も日本で払うお金と手続き
退職して語学留学する場合、収入がなくなっても住民税や健康保険料の支払いは続きます。どれだけ払い続けるかは、海外に1年以上住むかどうかで変わるため、出発前に役所で確かめておきましょう。
住民税は前の年の所得分がかかる
住民税は前の年の所得をもとに計算されるため、退職して収入がなくなった年にも請求が届きます。総務省によると、住民税はその年の1月1日に住所がある市区町村で、前年1〜12月の所得に対してかかる税金です。
横浜市は、年の途中で海外へ転出しても、その年度の住民税は全額納める必要があると案内しています。出国後も支払いが続く場合は、家族などを納税管理人として届け出る必要が出てくる場合もあるでしょう。届け出ると、本人の代わりに納付などの手続きをしてもらえます。
反対に、1月1日の時点で海外へ転出していれば、その年度の住民税はかかりません。会社員時代の収入が高いほど住民税も大きくなるので、退職の時期と出発の時期は住民税の額も見ながら決めましょう。
年金と健康保険は1年以上かどうかで変わる
海外での滞在がおおむね1年以上になるなら、市区町村に海外転出届を出します。転出すると国民年金への加入は義務でなくなり、国民健康保険の資格もなくなる仕組みです。
日本年金機構によると、海外に住む日本人は国民年金に任意で加入でき、令和8年度の保険料は月17,920円です。将来の年金額を減らしたくなければ、任意加入を選ぶ方法があります。
1年未満の留学で住民票を残すなら、国民年金と健康保険は国内にいるときと同じく払い続けることになります。退職後の健康保険は、会社の保険を最長2年続ける任意継続、国民健康保険、家族の扶養に入るの3つから選ぶ形です。全国健康保険協会によると、任意継続は退職日の翌日から20日以内に申し出が必要です。会社が負担していた分も自分で払うため、保険料は在職中のおよそ2倍になります。ただし上限があるので、給与が高かった人は2倍より低くなることがあります。
失業給付は留学中には受けられない
雇用保険の失業給付は、すぐに働ける状態で仕事を探している人のための給付なので、語学留学の間は受け取れません。大阪労働局は、語学の勉強のための留学は、受給期間を延ばす理由にならないとしています。
受給期間は原則として退職の翌日から1年なので、半年以上留学すると、帰国後に受け取れる期間が短くなったり、なくなったりします。退職して留学するなら、失業給付は当てにせず、留学中と帰国後の数か月分の生活費まで貯金で用意しておくのが安全です。
出発前に確かめておきたい手続きを、次にまとめました。
- 住民税の納め方と納税管理人
- 1年以上なら海外転出届
- 国民年金に任意加入するか
- 健康保険は任意継続か国保か
制度の内容は2026年10月時点のものです。最新は日本年金機構・厚生労働省・お住まいの市区町村の公式サイトでご確認ください。
よくある質問
社会人の語学留学について、よく出る4つの質問への答えです。
30代や40代から語学留学しても遅くないですか?
遅くありません。ECのトロントの30歳以上向け校では、受講者の25%が36〜40歳、27%が41〜50歳と公表されています。40代以上の留学の組み方は、40代以上の語学留学のページでも紹介しています。
語学留学の費用はどう見積もればいいですか?
授業料に週数を掛け、滞在費・航空券・保険・ビザや渡航認証の費用を足して見積もるのが基本です。たとえばECマルタの30歳以上向けの一般英語は、2026年10月時点で週300ユーロからです。日本銀行の統計では、1ドルの年平均は2019年の109円から、2026年1〜9月の平均で158円台まで円安が進みました。為替の動きも見ながら、余裕を持って計画しましょう。
会社に休職をどう相談すればいいですか?
まず就業規則で、休職や教育訓練休暇の決まりがあるかを確かめます。そのうえで、学びたい内容と帰国後の仕事への生かし方を伝えると話が進みやすいはずです。会社が長期の教育訓練休暇の制度を設けると、国の人材開発支援助成金を受けられる場合があることも相談の材料になります。この長期休暇への助成は2026年度までの期間限定です。
社会人でもワーキングホリデーに行けますか?
原則18〜30歳なら、社会人でも行けます。外務省によると、ワーキング・ホリデーの協定国は令和8年4月1日現在で32か国・地域です。31歳以上の人や協定のない国を選ぶ人は、語学留学が基本の選択肢になります。条件は国ごとに違うため、最新は外務省の公式サイトでご確認ください。詳しくは社会人のワーホリ完全ガイドをご覧ください。
まとめ
社会人の語学留学は、有給休暇・休職・退職のどれで行くかで期間がほぼ決まります。英語力を1段階上げるには約200時間が目安なので、1か月なら話す抵抗を減らす期間と考え、帰国後の学習まで計画に入れましょう。行き先は、学生ビザなしで通える期間と授業の形から選ぶと迷いにくくなります。
まずは会社の就業規則で休暇や休職の決まりを確かめてみてください。30歳以下でワーキングホリデーも選択肢に入るなら、ワーホリ国診断で候補の国を絞れます。