就活が終わってから留学はできる?卒業前に行ける時期と費用
就活が終わって内定を得た大学4年生が、卒業までに留学できる時期と、出発前に確かめる卒業の条件・内定先の予定・大学の研修の応募資格をまとめました。期間別の留学の形と学生ビザの要否、4週間の授業料の目安、準備の順番も分かります。

「就活が終わったし、卒業までに留学したいけど、今からで間に合うのかな」。卒論や内定式と重ならないか、数週間の留学に意味があるのか、迷いながら時間だけが過ぎていくこともあるでしょう。内定先にどう伝えればよいのか、費用がいくらかかるのかも気になるはずです。
そこで本記事では、内定後から卒業までに留学できる時期と、出発前に確かめる3つのことを整理します。1か月未満の研修から卒業後の長期まで、期間ごとに選べる留学の形を、国の手続きの違いとあわせて比べられるはずです。
あわせて、4週間の授業料の目安と、準備を進める順番も同じ流れで解説します。
就活が終わってから留学できる時期
就活が終わってからでも、留学はできます。正式な内定が出る10月から卒業までの約半年が使え、なかでも冬休みと、卒論を出したあとの2〜3月なら予定を組みやすいでしょう。
内定式後の10月から卒業までが使える期間
就活後に留学に使えるのは、主に正式な内定が出たあとの10月から、卒業する3月までです。政府が毎年経済界へ要請している就活の日程では、正式な内定日は卒業する年度の10月1日以降が原則とされています。この日程は2017年度の卒業生から変わっておらず、法的な拘束力はありません。
最初の内々定は、それより早く出る人が多数です。内閣府が令和7年度に大学4年生と大学院2年生へ行ったアンケート(有効回答4,415人)では、内々定を得た学生のうち約9割が5月までに最初の内々定を受けていました。夏に就活を終えてから準備を始めても、冬休みや2〜3月の短期留学なら間に合わせやすいでしょう。
冬休みと卒論提出後の2〜3月が行きやすい
4年生の後期は授業や卒論があるため、まとまった期間をとりやすいのは冬休みと、卒論を出したあとの2〜3月です。授業のある期間に長く休むと、残りの単位に響くおそれがあるからです。
大学の短期研修も、この時期に組まれています。たとえばある国立大学の春の語学研修は、1〜3月に3〜5週間、アメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドの大学へ派遣する内容でした。南半球のオーストラリアやニュージーランドは、日本の2月が夏にあたります。
実際の留学も1か月未満が約3分の2
数週間の短い留学は、決して珍しくありません。JASSO(日本学生支援機構)によると、2024年度に留学を始めた日本人学生91,054人のうち、1か月未満は60,301人で約3分の2を占めました。
この数字は全学年をまとめたもので、4年生だけの内訳はありません。それでも、数週間の留学が多いことは分かります。4年生でも短期なら、卒業までの休みに組み込めるでしょう。
卒業後ならワーホリや長期留学も選べる
半年以上の長い留学やワーキングホリデーをしたいなら、卒業後に行く道もあります。外務省によると、ワーキングホリデーは申請時18〜30歳が原則(一部の国は取り決め上25歳以下で、相手国が認めれば30歳まで)で、日本は32か国・地域と協定を結んでいます(2026年4月1日現在)。
卒業後に帰国してから就職する場合、国の指針は企業に、卒業後少なくとも3年間は新卒枠に応募できるよう努めることを求めています。ただし企業の努力義務にとどまり、すべての企業が受け付けるわけではない点に注意が必要です。
就活後の留学の前に確かめる3つのこと
就活後の留学を決める前に、卒業の条件、内定先の予定、大学の研修の応募資格の3つを確かめます。どれか1つでも見落とすと、卒業や入社の予定が崩れかねません。
卒業に必要な単位と卒論の締め切り
いちばん先に確かめるのは、3月に卒業できるかどうかです。大学設置基準は、卒業の要件を124単位以上の修得と、大学が定めることとしています。残りの単位と卒論の提出日を、学生便覧や教務の窓口で確認しましょう。
内定は、卒業を前提にした約束です。大阪府の労働相談の資料は、内定の取消しが認められうる例に「採用までに学校を卒業できなかった場合」を挙げています。留学の計画は、卒業の条件を崩さない範囲で組むのが大前提です。
内定式や入社前研修の日程を内定先に相談する
次に、内定式や入社前研修、内定者の課題などの予定を内定先に確かめます。留学の日程を決める前に人事の担当者へ伝え、重なる行事がないかを相談するのが確実です。
研修より学業を優先してよいとした裁判例もありますが、大学院生の論文審査の事例で、留学にそのまま当てはまるとは限りません。扱いは会社や事情で変わるので、早めに話しておけば双方が予定を立てやすくなるはずです。
大学の研修は卒業予定者が対象外のことがある
大学が募集する春休みの短期研修は、卒業予定の4年生が申し込めない場合があります。ある国立大学の春の研修の募集要項では、2026年3月に卒業する予定の人は応募できないと定めていました。
一方で、1〜4年生が応募できる研修を用意する大学もあり、扱いは大学ごとに違います。応募の受付が7月下旬〜10月上旬、締め切りが10月ごろという例もあり、就活が長引くと間に合わないことがあります。国際交流の窓口で、応募資格と締め切りを早めに確かめましょう。
期間別に選べる就活後の留学の形
就活後の留学は、期間で選べる形が変わります。卒業前の短い休みなら研修や語学学校、3か月までなら学生ビザなしで学べる国、半年以上なら入社を遅らせる長期、と分けて考えると選びやすくなります。
期間 | 主な形 | 手続きの目安 |
|---|---|---|
1か月未満 | 大学の研修・語学学校 | 短期滞在の手続き |
1〜3か月 | 語学学校 | 豪・NZは短期滞在の手続きで3か月まで |
3〜6か月 | 語学学校 | カナダ・英国は6か月まで |
半年以上 | 長期留学・ワーホリ | 学生ビザ・ワーホリビザ |
各国政府の公式サイトをもとにした2026年10月時点の目安です。アメリカの語学学校でフルタイムの学生として学ぶには、学生ビザが必要だと在日米国大使館は案内しています。条件は変わることがあるため、最新は各国政府の公式サイトでご確認ください。
1か月未満なら大学の研修か語学学校の短期
1か月未満なら、大学が募集する短期研修か、語学学校の短期コースが選べます。大学の研修には、単位が認められたり給付型の奨学金を使えたりするものもあります。
語学学校は週単位で申し込めるところが多く、冬休みや卒業式前の空いた週に合わせやすいのが利点です。大学の研修に応募できなかった4年生でも、自分で学校を選べば日程を組めるはずです。
3か月までなら学生ビザなしで学べる国がある
3か月までなら、学生ビザを取らずに語学学校に通える国も選べるでしょう。オーストラリアは短期滞在用の電子渡航許可(ETA。豪州の制度上はビザの一種)でも合計3か月まで学べますが、学業が主な目的なら学生ビザを申請するよう案内しています。ニュージーランドはビザ免除の訪問者として、3か月までの短期コースに通うことが認められています。
カナダは6か月以下のプログラムなら学生許可が要らず、イギリスも短期訪問者として最長6か月まで学ぶことが可能です。ただし、どの国もこの方法で入国した場合は現地で働けません。働きながら滞在したい場合は、ワーキングホリデーなど別の制度が必要です。
入社を遅らせる長期は内定先との合意が前提
半年以上の長期留学やワーキングホリデーを卒業直後に入れるなら、入社の時期を内定先と話し合う必要があります。入社日を遅らせられるかについて国の一律のルールはなく、会社の判断しだいです。
認められない場合に内定を辞退するのは、原則として本人の自由とされています。ただし、信義に反するほど遅い・不誠実な辞退は損害賠償を求められることもあるため、決めた時点で早めに伝えましょう。在学中に休学して長く留学する場合の影響は休学留学のメリットとデメリットで解説していますが、内定者が休学すると卒業が遅れる点に注意してください。
就活後の短期留学にかかる費用
就活後に4週間ほど語学学校へ通う場合、授業料だけで約11万〜20万円が目安です。ここに入学金・教材費、航空券・滞在費・保険が加わるため、総額は授業料の2倍以上になると考えておきましょう。
国 | 4週間の授業料 | 円の目安 |
|---|---|---|
オーストラリア | 1,840豪ドル | 約20.2万円 |
カナダ | 1,000〜1,500カナダドル | 約11.2万〜16.8万円 |
ニュージーランド | 1,400ドル | 約12.5万円 |
フィリピン | 810米ドル | 約12.7万円 |
JASSOの海外留学情報サイトが2024年に調べた語学学校の授業料の例を4週間分にし、三菱UFJ銀行の2026年10月23日の為替相場(仲値)で円に換算して試算しました。オーストラリアは大学付属の一般英語コース、カナダは私立の語学学校(大学・カレッジ付属は4週1,300〜1,800カナダドル)、フィリピンは宿舎を含まない一般英語の例です。実際の料金は、各校の最新の案内でご確認ください。
4週間の授業料は約11万〜20万円が目安
表のとおり、4週間の授業料は国によって約11万〜20万円の幅があります。ただし学校の種類で料金は変わるため、大学付属どうし、私立どうしのように同じ種類の学校で比べることが大切です。
同じ国でも、大学付属のコースか私立の学校か、授業の時間数でも料金は変わります。予算に限りがあるなら、候補の学校の1週間あたりの料金を並べて比べるところから始めましょう。
航空券・滞在費・保険は別にかかる
授業料のほかに、航空券、滞在費、海外旅行保険などが別にかかります。JASSOは留学の費用を、学費・生活費・渡航関係費の3つに分けて考えるよう案内しています。
滞在費の目安として、Study Work Hub が2026年版として留学・ワーホリ経験者のアンケートと体験談を集計した「ワーホリ・留学実態調査2026」では、月の生活費の中央値がオーストラリア18.2万円(31人)、カナダ15.5万円(18人)、フィリピン10.5万円(7人)でした。1か月の留学なら、授業料と同じくらいの滞在費を見込んでおくと計画が立てやすいでしょう。ただし長期滞在の人が多い調査のため、短期のホームステイや寮では金額が変わることがあります。
在籍中なら大学経由の奨学金も使える
大学に在籍しているうちは、大学を通して申し込む奨学金を使える場合があります。JASSOの海外留学支援制度(協定派遣)は、大学が協定に基づいて学生を在籍のまま送り出す8日以上1年以内のプログラムが対象です。
月額は派遣先の地域により8万〜12万円で、学生が個人で申し込むことはできません。卒業すると対象から外れる支援もあるため、在学中の短期研修に奨学金があるかを国際交流の窓口で確かめておきましょう。
就活後の留学の準備の順番
就活後の留学は、内定先と大学へ予定を伝える、目的を絞って学校を選ぶ、ビザと保険を確かめる、の順に進めると抜けが出にくくなります。卒業までの時間は限られるので、決まったことから順に手を付けるのがコツです。
最初に内定先と大学へ予定を伝える
行き先や学校を決める前に、内定先と大学へ、留学したい時期を伝えておきます。内定先の行事と、卒論や授業の日程の両方が分かってはじめて、出発と帰国の日を決められるからです。
伝える順番は、卒業の条件を確かめられる大学を先にし、その日程をふまえて内定先へ話すとまとまりやすいでしょう。相談の結果はメールなどで残しておくと、あとで行き違いを防げます。
目的を1つに絞ってから学校を選ぶ
期間が短い留学ほど、目的を1つに絞ってから学校を選びましょう。JASSOも、留学の準備で最も大切なのは「なぜ留学したいのか」をよく考えることだとしています。
留学・ワーホリ経験者94人の体験談を集計した Study Work Hub の2026年版の実態調査で、良かった点として多く挙がったのは、語学力の向上71%、経験・楽しさ62%、友達・出会い46%でした。入社後に英語の会議へ出る準備をしたいのか、海外の暮らしを知りたいのかで、合う学校や都市は変わってきます。目的の整理には、留学したい理由の見つけ方も参考にしてください。
ビザと保険と在留届の要否を確かめる
学校が決まったら、その期間に必要な入国の手続きと保険を確かめます。ビザなしで学べる期間は国ごとに違い、この記事で挙げたオーストラリア・ニュージーランド・イギリス・カナダは、短期でも出発前に電子渡航許可(ETA・NZeTA・eTA)の申請が必要です。
3か月以上外国に住む場合は、旅券法にもとづいて現地の日本大使館や総領事館に在留届を出す義務があると外務省は案内しています。保険は、授業料や航空券と同じく留学費用の一部として、出発前に必ず手配しましょう。
よくある質問
就活を終えて留学を考えるときに出やすい疑問に答えます。
内定先に留学することを伝えるべきですか?
伝えて相談するのが確実です。内定式や入社前研修と重ならないよう、日程を決める前に人事の担当者へ話しておきましょう。厚生労働省は、客観的に合理的な理由がなく社会通念上も相当と認められない内定の取消しは無効になると説明しています。ただし卒業できないなど内定の前提が崩れると取消しが認められる場合があるので、卒業の予定を崩さない計画を立てたうえで早めに伝えましょう。
卒論があっても留学できますか?
提出日と指導の日程しだいで、留学できます。冬休みや、卒論を出したあとの2〜3月に数週間の短期で行く形なら、両立しやすいでしょう。出発前に指導教員へ予定を伝え、提出や発表の日と重ならないか確かめてください。
ワーホリに行くなら内定は辞退すべきですか?
先に、入社の時期を遅らせられないか内定先に相談しましょう。認められない場合に辞退するのは原則として本人の自由ですが、不誠実な辞退は損害賠償を求められることもあるため、早めに伝えましょう。ワーホリは国により条件が違いますが原則30歳まで申請できるので、入社して数年働いてから行く道もあります。
まとめ
就活が終わってからでも、正式な内定が出る10月から卒業までの期間を使えば留学はできます。行きやすいのは冬休みと卒論提出後の2〜3月で、1か月未満の研修や語学学校なら卒業や入社の予定も崩しにくいでしょう。出発前には、卒業の条件・内定先の予定・大学の研修の応募資格の3つを確かめておくことが大切です。
まずは大学の教務と国際交流の窓口で卒業の条件と研修の募集を確かめ、内定先へ留学したい時期を伝えるところから始めてください。
この記事の出典
- 厚生労働省「大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期について」
- 就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」
- 内閣府「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果について(概要)」(令和7年12月)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」採用内定に関するQ&A
- 大阪府「労働相談の手引き 内定(採用内定)」
- 厚生労働省 愛知労働局「若者の募集・採用等に関する指針」
- 労働新聞社「宣伝会議事件(東京地判平17・1・28)」
- e-Gov法令検索「大学設置基準」
- JASSO「2024(令和6)年度日本人学生留学状況調査結果」
- JASSO 海外留学支援サイト「はじめての留学」
- JASSO 海外留学情報「語学留学(オーストラリア)」
- JASSO 海外留学情報「語学留学(カナダ)」
- JASSO 海外留学情報「語学留学(ニュージーランド)」
- JASSO 海外留学情報「語学留学(フィリピン)」
- JASSO「海外留学支援制度(協定派遣)」
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「外国為替相場」
- 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
- オーストラリア内務省「Electronic Travel Authority(subclass 601)」
- カナダ移民・難民・市民権省「Study in Canada without a study permit」
- GOV.UK「Visit the UK as a Standard Visitor: Visit to study」
- ニュージーランド移民局「Visa waiver countries and territories」
- 在日米国大使館「語学留学」