大学に行かずに留学する方法|学位が取れる道と帰国後の進路
日本の大学に行かずに留学する6つの方法を、終わったときに残る学位・資格・語学力で比べました。学歴と帰国後の進路への影響、大学に落ちた人や辞めたい人の選び方、海外大学の学費とJASSOの奨学金の条件、準備の順番も分かります。

「日本の大学に行かずに留学しても、大丈夫なのかな」。受験がうまくいかなかったり、今の大学が合わなかったりして海外に目が向く一方で、学歴が残らないのではないか、帰国後に困るのではないか、不安が先に立つ方は多いのではないでしょうか。親にどう説明すればいいのかという迷いも重なります。
そこで本記事では、大学に行かずに留学する6つの方法を、終わったときに手元に残るもの(学位・資格・語学力・経験)で比べます。学歴と帰国後の進路への影響も公的な情報で確かめられるので、自分に合う道を選びやすくなるはずです。
あわせて、大学に落ちた人・辞めたい人の選び方や、費用と奨学金、準備の順番も同じ流れで解説します。
大学に行かずに留学する方法と得られるもの
日本の大学に行かずに留学する方法は、海外の大学に入る道・準備課程やカレッジを経て大学に入る道・職業系のカレッジ・語学留学・ワーキングホリデーに分かれます。終わったときに手元に残るもの(学位・資格・語学力・経験)がそれぞれ違うので、まずそこから比べましょう。
方法 | 終わったときに残るもの | 期間の目安 |
|---|---|---|
海外の大学に直接入る | 学士号 | 国により3〜5年 |
準備課程から大学に入る | 学士号 | 準備課程+学士課程 |
コミュニティカレッジから編入 | 準学士と学士号 | 2年+2年 |
職業系のカレッジ | 修了証やディプロマ | 6か月〜3年 |
語学留学 | 語学力 | 数週間から選べる |
ワーキングホリデー | 海外で暮らし働いた経験 | 国ごとに決まる |
JASSO(日本学生支援機構)の海外留学情報サイトと各国政府の留学情報をもとにした目安です。期間や条件は国と学校で違うため、最新は各校の公式サイトでご確認ください。
海外の大学に入れば学士号が取れる
日本の大学に行かなくても、海外の大学に入学すれば学士号を取れます。JASSOによると、学士課程の長さはアメリカが4年、カナダが3〜4年、オーストラリアが3〜5年、イギリスは通常3年です。
アメリカやオーストラリアの大学には日本のような入学試験がなく、高校の成績や英語の試験のスコアなどの書類で選考されます。アメリカではSATやACT、エッセイ、推薦状を求める大学も多く、書類を総合的に見て決まります。英語で専門を学び、学位を持って帰国できるのが、この道の大きな特徴です。
イギリスや豪州は準備課程を経て大学に入る
イギリスやオーストラリアの大学には、日本の高校を卒業しただけでは直接入りにくく、ファウンデーションと呼ばれる大学進学の準備課程を経るのが一般的です。JASSOは、一般の日本の高校を卒業した人がイギリスの大学に直接進学するのは難しいと説明しています。
オーストラリアのファウンデーションは6か月〜1年ほどで、アカデミックな英語と大学で学ぶための技能を身につけます。準備課程の期間も含めて、卒業までの年数と費用を見積もっておきましょう。
アメリカはコミュニティカレッジから編入できる
アメリカには、公立の2年制大学であるコミュニティカレッジから4年制大学へ編入する道があります。アメリカ国務省の留学情報サイトEducationUSAによると、2年で準学士を取り、編入して2年学ぶ「2+2」の形で学士号を目指せます。
JASSOによると、コミュニティカレッジは最低限の条件を満たせば入学できる考え方で運営され、学費も4年制より安めです。ただし編入時に移せる単位には条件があるので、編入先の大学との協定を事前に確かめましょう。
語学留学とワーホリでは学位は得られない
語学留学とワーキングホリデーは始めやすい一方、学位や資格は得られません。語学留学は数週間から選べて、JASSOは語学留学でも約半年前から準備を始めるよう勧めています。
ワーキングホリデーは、休暇を過ごしながら滞在資金を補うために働ける制度で、外務省によると協定を結ぶのは32か国・地域です(2026年4月1日現在)。アメリカは対象外です。帰国後に進学や就職をどうするかを、行く前から考えておくことが大切です。学位を取る留学とほかの留学の違いは、正規留学と語学留学・交換留学の違いで比べています。
大学に行かない留学で学歴と進路はどうなるか
海外の大学で学士号を取れば、日本の大学を出た人と同じように大学院へ進む道が開けます。一方で、語学留学やワーホリだけでは最終学歴は高校卒業のままなので、帰国後の進路を考えて方法を選ぶことが大切です。
海外の学士号で日本の大学院に進める
海外の大学で学士号を取れば、日本の大学院に出願できます。文部科学省によると、外国の大学で修業年限3年以上の課程を修了して学士に当たる学位を得た人にも、修士課程の入学資格があります。
イギリスやオーストラリアのような3年制の学士でも対象になるということです。JASSOの体験レポートには、オーストラリアの大学で3年学んで学士を取り、東京大学の大学院の修士課程に進んだ人の例も載っています。
高認に合格しても最終学歴は高校卒業にならない
高等学校卒業程度認定試験(高認)に合格しても、最終学歴は高校卒業にはなりません。文部科学省は、高認は高校卒業者と同じ以上の学力があると認めるもので、学歴そのものは変わらないと説明しています。
高認の合格証明書は英文でも発行してもらえるため、海外の学校への出願に使える場合があります。ただし受け入れるかどうかは学校ごとに違うので、次の章で触れるように志望校に確かめましょう。
日本の高校卒業後の留学は帰国生入試に注意
帰国後に日本の大学を受けるとき、帰国生入試は使えない場合があると考えておきましょう。例えば北海道大学の帰国生選抜は、外国の高校に最終学年を含めて2年以上続けて在学したことを条件にしています。
日本の高校を卒業してから海外へ出た人は、この条件に当てはまりにくくなります。条件は大学ごとに違うため、志望校の募集要項で確かめてください。
日本の大学を受ける資格は留学後も残る
日本の高校を卒業した人は、留学から帰った後も日本の大学の一般入試を受ける資格を持ち続けます。文部科学省は、高校卒業者のほか、外国で12年の学校教育を終えた人や高認の合格者などにも大学の入学資格を認めているためです。
また、海外の短期大学を卒業した人は、日本の大学への編入学の対象にもなります。留学が合わなかったときの戻り道があることを知っておくと、家族にも説明しやすくなるでしょう。
大学に落ちた人・辞めたい人の選び方
大学に落ちた人は海外大学の出願時期を、大学を辞めたい人は辞める前に在籍したまま行ける制度を、高認の人は志望校の受け入れ条件を、それぞれ先に確かめます。状況によって、取れる道と使える奨学金が変わるためです。
大学に落ちたら海外大学の出願時期を確かめる
海外の大学の出願時期は、日本の受験の時期と重なることがあります。JASSOが2024年に調べた例では、アメリカの秋入学は前年の11月〜3月の出願が多く、カナダは多くの大学が1月、メルボルン大学は2月入学なら前年11月30日が期限でした。
日本の大学に落ちてから出願すると、その年の入学には間に合わないこともあります。その場合は翌年度の入学を目指すか、語学学校や準備課程から始める方法を考えましょう。浪人中や高校卒業後に働いている人も、JASSOの給付奨学金の条件を満たせば応募できます。
大学を辞める前に交換留学と休学を確かめる
いま日本の大学に通っていて留学したいなら、辞める前に在籍したまま行ける制度を確かめましょう。JASSOによると、大学には交換留学・認定留学・休学留学があり、交換留学と認定留学なら留学した期間も在学年数に数えられます。
中退すると最終学歴は高校卒業になります。また、一度でも大学に在籍した人は、辞めても辞めなくても、後で触れるJASSOの給付奨学金には応募できません。まず大学の国際交流の窓口で制度を聞き、それでも辞めるかどうかを決めても遅くありません。在学中の留学の選び方は大学3年の留学の記事でも紹介しています。
高認の人は志望校に受け入れを確かめる
高認の合格者が海外の大学に出願できるかは、大学によって違います。JASSOのアメリカのページは、高認に合格していれば受け入れてくれる大学もあると説明していますが、どの大学でも出願できるとは書かれていません。
志望校の入学条件を公式サイトで確かめ、分からなければ大学に直接問い合わせましょう。JASSOの給付奨学金は、高認に合格してから3年以内の人も応募の対象です。
大学に行かない留学の費用と奨学金
海外の大学の学費は、国と大学の種類によって年に数十万円から数百万円まで大きく違います。返さなくてよいJASSOの給付奨学金もありますが、日本の大学に入ったことがない人が対象など条件が細かいため、早めに確かめておきましょう。
海外大学の学費は国と課程で大きく違う
同じ海外の大学でも、国と課程によって1年の学費は大きく変わります。公的な統計とJASSOの海外留学情報サイトが示す目安は次のとおりです。
国と課程 | 1年の学費の目安 |
|---|---|
アメリカの公立2年制 | 学区内の学生で4,150ドル |
アメリカの公立4年制 | 州外の学生で31,880ドル |
アメリカの私立4年制 | 45,000ドル |
オーストラリアの学士課程 | 2万〜4万5,000豪ドル |
カナダの学部の留学生 | 平均4万1,746カナダドル |
アメリカはCollege Boardが2025年10月に公表した2025-26年度の授業料と諸費用の平均で、州立大学に通う留学生は通常、州外の学生の料金を払います。オーストラリアはJASSOの2024年の調査、カナダはカナダ統計局が2025年9月に公表した2025/2026年度の見込みです。このほか生活費や渡航費もかかるので、最新は各大学の公式サイトで総額を確かめてください。
JASSOの給付奨学金は大学在籍歴がない人が対象
海外の大学に直接入学して学士を目指す人には、返さなくてよいJASSOの「海外留学支援制度(学部学位取得型)」があります。2026年度の月額は、アメリカやイギリス、カナダなどで35万2,000円、オーストラリアやニュージーランドで29万7,000円でした。
応募できるのは、高校を卒業して3年以内で、国内外の大学や専門学校などに在籍したことがない人です。英語のスコアや高校の成績の基準もあり、コミュニティカレッジなどから編入して学士を目指す道や語学学校は対象外です。イギリスや豪州のように日本の高校卒業だけでは学士課程に入れない場合は、学士課程の条件付きの入学許可を得たうえで、大学の準備課程から支援の対象になります。2026年度の募集では、応募408人のうち140人が採用されました。2027年度の募集は2026年10月に締め切られているため、次の募集の時期を公式サイトでご確認ください。
返す奨学金や国の教育ローンも使える
給付の奨学金が使えない場合は、返す必要がある奨学金や国の教育ローンも選択肢です。JASSOの「第二種奨学金(海外)」は利子のつく貸与型で、海外の大学で学ぶ人は月2万〜12万円から選べます。
イギリスやオーストラリアのように準備課程が義務づけられている国では、準備課程から借りることも可能です。日本政策金融公庫の国の教育ローンも、3か月以上の留学なら申し込めます。返す期間と総額を家族と話し合ってから決めましょう。
大学に行かない留学の準備の順番
準備は、目的と留学後の進路を決めることから始め、約1年半前から情報を集めて英語の試験に備えます。留学会社を使う場合は、料金の明細と契約の内容を比べてから決めましょう。
目的と留学後の進路を先に書き出す
最初にやるべきなのは、なぜ留学したいのかと、留学後にどうしたいのかを書き出すことです。JASSOも、留学の準備で最も大切なのは留学したい理由を考えることだとし、就職するのか、日本の学校に戻るのかといった留学後の進路を、出発前から計画するよう勧めています。
目的が「学位を取る」なら海外の大学、「英語を伸ばしたい」なら語学留学、と方法も決まってきます。書き出した目的と費用、帰国後の計画は、そのまま家族に説明する材料にもなるでしょう。
約1年半前から情報収集と英語の試験を始める
海外の大学を目指すなら、入学の約1年半前から準備を始めます。JASSOは、大学などへの留学は約1年半前、語学留学でも約半年前から準備を始めるよう勧めています。
英語の試験は、目標のスコアに届くまで何度か受けることも考えて、早めに1回目を受けましょう。TOEFL iBTは2026年1月21日以降の受験分から点数の表し方が変わっているため、志望校がどちらの基準で条件を示しているかも確かめておくと安心です。高校在学中から始める準備は、高校生が海外の大学に行くための準備で学年ごとに紹介しています。
留学会社は料金の明細と契約内容で比べる
留学会社(エージェント)を使うなら、知名度や総額だけでなく、料金の明細とサービスの中身で比べます。JASSOによると、留学のあっせん業者には国や自治体の許可や登録が要らず、基本的にクーリングオフも適用されません。
外務省も、ワーホリの申請代行業者による書類のトラブルが報じられていると注意しています。複数の会社から見積もりを取り、契約書の内容を確かめてから決めましょう。自分で手続きすれば、学校の選択肢を自由に選べるという良さもあります。
よくある質問
大学に行かずに留学したい人から、よく寄せられる疑問への答えです。
英語が苦手でも海外の大学に入れますか?
入る道はあります。JASSOによると、アメリカには英語の条件に届かない留学生に、英語の研修コースを受けることを条件に入学を認める大学もあります。カナダでも、語学学校で英語を学んでから大学に入る流れが一般的です。
ワーホリは何歳から行けますか?
原則として、申請するときに18歳以上30歳以下なら行けます。ただし外務省によると、オーストラリア・カナダ・韓国・アイルランドは原則18〜25歳で、各国が認める場合は30歳まで申請できます。外務省が示す主な要件に学歴の条件は含まれていません。
留学から帰って日本の大学に入り直せますか?
入り直せます。日本の高校を卒業していれば、留学後も日本の大学の一般入試を受けられ、海外の短期大学を卒業した人は日本の大学への編入学の対象にもなります。帰国生入試は条件が限られるので、志望校の要項で確かめましょう。
まとめ
日本の大学に行かなくても、海外の大学や準備課程、コミュニティカレッジを経れば学士号を取れます。語学留学やワーホリは始めやすい反面、学位は得られません。一度でも日本の大学に在籍するとJASSOの給付奨学金に応募できない点にも注意しましょう。帰国後に日本の大学を受け直す道も残っています。
まずは留学の目的と帰国後の進路を書き出し、志望する国の入学条件と出願時期を確かめてください。ワーホリも考えるなら、ワーホリ国診断で行き先の候補を絞れます。
この記事の出典
- JASSO 海外留学情報サイト「はじめての留学」
- JASSO 海外留学情報サイト「留学までのタイムスケジュール」
- JASSO 海外留学情報サイト「日本の大学での手続き」
- JASSO 海外留学情報サイト「大学・大学院留学(アメリカ)」
- JASSO 海外留学情報サイト「大学・大学院留学(イギリス)」
- JASSO 海外留学情報サイト「大学・大学院留学(オーストラリア)」
- JASSO 海外留学情報サイト「大学・大学院留学(カナダ)」
- JASSO 海外留学体験レポート(オーストラリア)
- JASSO「2027年度海外留学支援制度(学部学位取得型)」
- JASSO「2027年度海外留学支援制度(学部学位取得型)募集要項」
- JASSO「2026年度海外留学支援制度(学部学位取得型)選考結果」
- JASSO「第二種奨学金(海外)制度概要」
- JASSO 海外留学情報サイト「金融機関による教育ローン」
- JASSO 海外留学情報サイト「留学あっせん業者の利用について」
- College Board「Trends in College Pricing and Student Aid 2025」
- カナダ統計局「Tuition fees for degree programs, 2025/2026」
- EducationUSA「Community College」
- Study Australia「オーストラリアの教育と学習の選択肢」
- EduCanada「Common pathways to college and university in Canada」
- 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
- 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験とは(Q&A)」
- 文部科学省「証明書の発行について(Q&A)」
- 文部科学省「大学入学資格について」
- 文部科学省「大学への編入学について」
- 文部科学省「修士課程・博士課程(前期)の入学資格について」
- 北海道大学「令和9(2027)年度帰国生徒選抜基本方針」