ドイツ留学は英語だけで大丈夫?課程・英語力・ドイツ語の必要性
ドイツに英語で留学できるかを、DAAD(ドイツ学術交流会)や大学の公式情報で2026年10月時点で整理。英語で学べる課程の数(学士は学士全体の4%)と探し方、日本の高校卒業者の出願条件、TOEFL・IELTSの要件の例と新しい点数の表し方、英語の課程の費用、生活・就職で必要になるドイツ語、語学学校とワーホリの注意点まで解説します。

「ドイツの大学に興味があるけれど、ドイツ語ができなくても英語で留学できるのだろうか」。英語だけで学べると聞く一方で、生活や仕事ではドイツ語が必要という話もあり、どこまで英語で通用するのか迷う人もいるでしょう。
そこで本記事では、ドイツに英語で留学できる範囲と、英語の課程の探し方・出願の条件・必要な英語力を、DAAD(ドイツ学術交流会)や大学の公式情報をもとに2026年10月時点で整理します。留学のタイプ別に英語でできることを比べるので、自分に合う道が見えてくるはずです。
あわせて、英語の課程の費用と、生活・就職で必要になるドイツ語、渡航前の準備も解説します。
ドイツに英語で留学できるか
ドイツには英語だけで学べる大学・大学院の課程があり、授業を受けて学位を取ることはできます。ただし英語の課程は修士が中心で、学士の課程のうち英語で学べるのは4%(約420課程)だけで、生活や就職ではドイツ語が必要な場面も多いのが実情です。
英語の課程なら授業と学位は英語で取れる
DAAD(ドイツ学術交流会)によると、ドイツの大学の大半の課程はドイツ語で教えられ、多くの大学は少なくともB2(中上級)のドイツ語を求めます。一方、英語で教える国際的な課程や大学院の課程はこのドイツ語の条件から外れ、代わりに英語力の証明で出願できる仕組みです。
ドイツ高等教育・科学研究センター(DZHW)によると、2025年にドイツで開かれていた英語の課程は2,381で、国際的な課程は年々増えています。ただしDAADは、ドイツ語が求められない場合でも、少しドイツ語を話せれば生活が確実に楽になると説明しています。
英語で学べる学士は学士全体の4%
DAADの2025年11月の発表によると、2025年夏の時点で英語の課程は2,400弱(前述の2,381とほぼ同じ)あり、そのうち学士は約420、修士は約1,930でした。英語の課程が占める割合は、修士では18%を超える一方、学士ではわずか4%です。
つまり、英語で学ぶ留学は修士(大学院)が中心的な選択肢で、学士から英語で入れる課程は限られます。ほぼすべての大学が少なくとも1つは英語の課程を持っているため、志望分野で学士と修士のどちらに英語の課程があるかを最初に確かめましょう。
留学のタイプ別に英語でできること
留学のタイプごとに、英語でできることをまとめると次のとおりです。
留学のタイプ | 英語でできるか | 主な条件 |
|---|---|---|
修士の正規留学 | できる・選択肢が多い | 英語力の証明が必要 |
学士の正規留学 | できるが選択肢は少ない | 共通テストの条件などが必要 |
交換留学 | 英語の授業を選べることがある | 所属大学の協定による |
大学準備課程 | できない | 授業はドイツ語 |
ドイツ語の語学学校 | 授業はドイツ語が基本 | 英語の補助は学校に確認 |
大学の短期コース | 英語のコースがある | DAADの検索で探せる |
交換留学生はドイツに2〜3学期しかいないことが多いため、ドイツ語の条件が免除されることもあります。大学準備課程(Studienkolleg)は授業がドイツ語で、入るにはB1〜B2のドイツ語が必要なため、英語で学士に進む道にはなりません。
英語で学べる課程の探し方と出願の条件
英語の課程は、DAADの課程検索で授業の言語を「English only」に絞って探せます。日本の高校卒業者が学士に出願するには共通テストなどの条件があり、出願はuni-assistか大学に直接行います。
DAADの検索で英語の課程を探す
DAADの「International Programmes」は、英語での授業や支援サービスなど、留学生に向いた課程を集めたデータベースです。課程の種類(学士・修士・博士・語学コースなど)と授業の言語(English onlyなど)で絞り込めます。すべての課程から探すなら、ドイツ大学学長会議の大学情報を使った「All Study Programmes」も便利です。
課程によっては、必修科目はすべて英語でも、一部の選択科目がドイツ語ということもあります。気になる課程が見つかったら、課程ページの授業言語(Language of instruction)と科目の一覧を確かめておくと安心です。
日本の高校卒業者が学士に出願する条件
DAAD東京事務所の「大学入学条件」によると、日本の高校卒業者がドイツの学士課程に出願するには、大学入学共通テストを5科目以上受け、うち5科目の合計が420点以上であることが必要です。そのうち専攻に関連する2科目がそれぞれ62%以上なら、その学科と関連学科に出願できます。
共通テストの条件を満たさない場合でも、日本の大学の学部で1年以上(35単位以上)を修了すれば、その専攻学科と関連学科に出願できます。共通テストを受けていない場合の扱いはページに書かれていないため、志望大学かDAAD東京事務所に確かめましょう。修士については、多くの場合、日本の学士はドイツの6学期制の学士に相当するとされています。
出願はuni-assistか大学に直接
多くの大学では、留学生の出願書類をuni-assistという機関が審査します。uni-assistは外国の学校の証明書をドイツの基準と比べる非営利の団体で、手数料は1学期に最初の志望課程が75ユーロ、2つ目以降は1課程30ユーロです。
すべての大学がuni-assistを使うわけではなく、大学に直接出願する場合もあります。入学を決めるのは志望大学なので、課程ページで出願先と締切を確かめましょう。
ドイツ留学に必要な英語力の目安
英語の課程の多くはB2程度の英語力を求めますが、例に挙げた課程だけでもTOEFL iBTで72〜100点、IELTSで5.5〜7.0と差が大きく、C1を求める課程もあります。2026年1月からTOEFL iBTの点数の表し方が変わった点にも注意が必要です。
多くの課程はB2程度の英語力を求める
2026年10月時点の各課程ページに載っている英語の要件の例は、次のとおりです。
大学・課程 | TOEFL iBT | IELTS |
|---|---|---|
工科大学ミュンヘン・全学の基準 | 88 | 6.5 |
ベルリン工科大学・情報科学の修士 | 87 | 6.5 |
ハイデルベルク大学・経済学の修士 | 90 | 6.5 |
ハイデルベルク大学・数学系の修士 | 72 | 5.5 |
ベルリン工科大学・IMESの修士 | 100 | 7.0 |
同じ大学でも課程によって基準が違い、ハイデルベルク大学には、TOEFL iBT 72点で出願できる数学系の修士(Mathematics of Machine Learning and Data Science、数学の学士が前提)と、90点の経済学の修士があります。工科大学ミュンヘン(TUM)のように、授業の半分以上を英語で受けた学位を英語力の証明に使える場合もあるため、志望課程のページで最新の要件をご確認ください。
TOEFL iBTの点数の表し方が変わった
TOEFLを実施するETSによると、2026年1月21日からTOEFL iBTの点数は1〜6(0.5刻み)で表されるようになりました。2028年1月までは、これまでの0〜120点に相当する推定点も成績表に並んで載ります。
ETSの対応表では、B2が4〜4.5(旧尺度で72点以上・86点以上)、C1が5〜5.5(95点以上・107点以上)です。大学の要件は旧尺度で書かれていることが多く、TUMのように「88点、または新しい尺度の相当点」と書く大学もあるため、成績表の推定点と見比べましょう。
英語の課程でもドイツ語が必修の例
英語の課程でも、ドイツ語の学習が課程に組み込まれていることがあります。アーヘン工科大学のComputer Engineeringの修士は、入学にドイツ語はいりませんが、B1以上のドイツ語を示せない留学生は課程の一部として8単位分のドイツ語講座が必修です。
ドルトムント工科大学のData Scienceの修士は英語だけで修了できますが、日常生活のために基礎のドイツ語を学ぶことをすすめ、入門のドイツ語講座を用意しています。出願前に、課程にドイツ語の必修があるかも確かめておきましょう。
英語の課程の費用
授業料がかかるかどうかは授業の言語ではなく、州・大学・課程の種類で決まり、州立大学の英語の課程は授業料がかからないところが多いのが特徴です。ただし学期納付金と、滞在に必要な資金の証明は誰にでも必要です。
授業料は言語ではなく州と大学で決まる
DAADによると、州立大学の学士と大半の修士は原則として授業料がかかりません。例外として、BW州(バーデン=ヴュルテンベルク州)はEU域外の学生から1学期1,500ユーロを、バイエルン州の工科大学ミュンヘン(TUM)は非EUの新入生から、学士でふつう1学期2,000または3,000ユーロ、修士で4,000または6,000ユーロをとっています。
これらは英語の課程に限らず、国籍と課程の種類で決まる授業料です。一方、アーヘン工科大学やドルトムント工科大学の英語の修士は授業料がかからず、私立大学や継続教育型の修士は授業料がかかることがあります。TUMは2027/28冬学期から値上げし、BW州も授業料の見直しを掲げているため、最新は各大学の公式サイトでご確認ください。州ごとの授業料や学期納付金、モデルケースの総額は、ドイツの大学の学費の解説で詳しく紹介しています。
学期納付金と資金の証明は必要
授業料がかからなくても、学期納付金は全員が毎学期払います。DAADによると額は大学ごとに1学期70〜430ユーロで、学生福祉会・学生自治会の会費のほか、多くの大学では公共交通の定期券代も含まれるのが特徴です。
在日ドイツ大使館によると、学生ビザでは1か月992ユーロ以上、1年で11,904ユーロ以上の資金を、奨学金の証明やドイツの閉鎖口座(Sperrkonto)などで示します。日本国籍の人はビザなしで入国したあと滞在許可を申請することもでき、入国直後から授業に参加できます。資金の証明の額は2027年に変わる可能性があるため、申請の前に最新額を確かめましょう。
アルバイトだけで生活費はまかなえない
学生の滞在許可で働けるのは1年に全日140日、半日なら280日までで、大学の学生助手の仕事はこの日数に数えません。最低賃金は2026年1月から時給13.90ユーロですが、DAADはアルバイトだけで生活費のすべてをまかなうのはほぼ無理だと説明しています。
DAADが示す生活費の目安は、住む場所によって月900〜1,200ユーロです。アルバイトの収入は補助と考え、生活費は資金の証明や奨学金、家族の支援で用意しておきましょう。
生活と就職で必要になるドイツ語
英語の課程で学ぶ留学生の6割弱はドイツ語が初級のまま入学し、英語の修士の学生の4割は、1学期目に語学力が生活には足りないと感じています。就職では半数以上の事業所がB2以上のドイツ語を求めるため、英語の課程でもドイツ語の学習は欠かせません。
英語の課程の学生の6割弱は入学時に初級
DAAD(ドイツ学術交流会)が2023/24冬学期に132大学の留学生約21,000人に行った調査の報告(2025年7月)では、英語の課程の学生の58%が、入学時のドイツ語がA1〜A2の初級でした。調査時点でも44%がA1〜A2で、英語の課程でもドイツ語は伸びるものの、ドイツ語の課程に比べてかなり小さく遅いとされています。
DAADなどが2017/18冬学期に入学した留学生を追った調査(2022年5月の報告)では、英語の修士の学生で「語学力は勉強に十分」と答えた人が1学期目に92%いた一方、「生活に十分」と答えた人は60%でした。授業は英語で困らなくても、生活では言葉の壁を感じやすいといえます。
住まいや役所ではドイツ語の場面が多い
ベルリンで1年1か月ワーキングホリデーをした人の体験談には、次のように書かれています。
言葉の壁も高く、ベルリンは英語が通じるとはいえ、現地のコミュニティに深く入り込んだり、賃貸契約をしたりするにはドイツ語の理解が不可欠です。
地方の大学都市ヴュルツブルクに大学留学した人の体験談でも、英語が通じないことがあり、最初に英語で試みると困ることがあったと振り返っています。ライプツィヒでワーキングホリデーをした人の体験談にも、住民登録や銀行口座の開設は基本的にドイツ語で進み、何度も足を運んだと書かれていて、手続きの場面でドイツ語が求められた例といえます。
就職では事業所の57%がB2以上を求める
連邦雇用庁の研究所(IAB)が2025年4〜6月に9,549の事業所から回答を得た調査(2026年4月公表)では、最後に募集した仕事でB2以上のドイツ語を求めた事業所は57%でした。宿泊・飲食業では30%と低い一方、金融・保険では79%と高く、業種で大きな差があります(留学生に限らない採用全般の調査)。
DAADも、研究職やITの仕事を探すのでない限り、雇用主はおそらく流ちょうなドイツ語を期待すると説明しています。卒業後は最長18か月、仕事を探すための滞在許可を得られるため、ドイツで働きたい人は在学中からドイツ語を学んでおきましょう。
語学学校・ワーホリと渡航前の準備
ドイツの語学学校の授業はドイツ語で進むのが基本で、ドイツ外務省が語学コースの滞在許可として案内しているのもドイツ語の集中コースです。ワーキングホリデーで行く場合も含め、渡航前に初級のドイツ語を始めておくと現地で困りにくくなります。
ドイツの語学学校はドイツ語で教えるのが基本
ドイツ政府が支援するゲーテ・インスティトゥートは、授業の言語は最初の授業からドイツ語だとしています。ほかの語学学校の授業の進め方は学校ごとに違うため、初級クラスで英語の説明があるかは申し込む前に学校へ確かめましょう。
大学に進まず、まずドイツ語を学びたい人は、ドイツ語の集中コースに参加するための滞在許可を得られ(ドイツ外務省)、この滞在許可で働けるのは週20時間までです。英語力を伸ばすことが目的なら、英語圏への留学も比べてみましょう。
ワーキングホリデーで行く場合の注意
在日ドイツ大使館によると、日独のワーキング・ホリデーは18歳以上で申請時に31歳になっていない日本国籍の人が対象で、3か月以上1年以内の滞在ができ、申請は1回限りです。1年滞在するなら最低2,000ユーロの資金と、全期間有効な旅行者用医療保険・賠償責任保険が求められます。
ただし、入国と滞在の第一の目的はドイツで休暇を過ごすことです。語学学校に長く通うことが中心の滞在なら、語学コースの滞在許可も含めて大使館に確かめておきましょう。
渡航前に初級のドイツ語を始める
DAADは、一部または全部を英語で教える国際的な課程も多いものの、日常生活ではドイツ語の知識がとても役に立つとして、渡航前に大学やゲーテ・インスティトゥートなどでドイツ語講座を受けることをすすめています。初心者向けとして紹介されているのが、ドイチェ・ヴェレの無料オンライン講座「Nicos Weg」です。
ベルリンでワーキングホリデーをした人の体験談にある、次の助言も参考になるはずです。
渡航前に少しでもドイツ語の基礎を勉強しておくことを強く勧めます。A1レベルでも知っているだけで、役所やお店での対応が劇的に変わります。
よくある質問
ドイツに英語で留学することについて、よく出る質問への答えをまとめました。
TOEFLやIELTSがなくても出願できますか?
英語の課程の多くは英語力の証明を求めますが、TUMのように授業の半分以上を英語で受けた学位を証明として認める大学や、適性審査の中で英語力を確かめる学士課程もあります。条件は課程ごとに違うため、志望課程のページで確かめましょう。
英語だけでドイツで就職できますか?
研究職やITでは英語で働ける道もありますが、DAADは、それ以外の仕事では雇用主がおそらく流ちょうなドイツ語を期待すると説明しています。IABの調査でも事業所の57%がB2以上を求めているため、在学中にドイツ語を学んでおくと安心です。
ドイツで英語を学ぶ留学はできますか?
ドイツ外務省が語学コースの滞在許可として案内しているのは、ドイツ語の集中コースです。ドイツの語学学校はドイツ語を教えるのが基本のため、英語力を伸ばしたいなら英語圏への留学も比べてみましょう。
まとめ
ドイツには英語だけで授業を受けて学位を取れる課程があり、とくに修士では選択肢が多い一方、英語で学べる学士は学士全体の4%にとどまります。必要な英語力は課程ごとに違い、授業料は言語ではなく州・大学で決まります。生活や就職ではドイツ語が求められる場面が多いため、英語の課程を選ぶ人も渡航前から初級のドイツ語を始めましょう。
次にやることは、DAADの検索で英語の課程を探し、志望課程の英語の要件と締切を確かめることです。ドイツの都市や暮らしの様子はドイツの基本情報・都市・生活環境で確認できます。
この記事の出典
本記事の制度・数値は、2026年10月21日時点の各公式サイトの情報です。入学条件・英語の要件・授業料は変わることがあるため、最新は各公式サイトでご確認ください。
- DAAD「Requirements overview」
- DAAD 日本「よくある質問」
- DZHW「Wissenschaft weltoffen kompakt 2026」
- DAAD「Erneut hohe Zahl internationaler Studierender in Deutschland」
- DAAD「International Programmes in Germany」
- DAAD「All Study Programmes」
- DAAD「Language and Short Courses」
- DAAD 日本「大学入学条件」
- uni-assist「Profile」
- uni-assist「Pay & submit」
- TUM「Language Certificates」
- TU Berlin「English proficiency for Faculty IV master's programs」
- TU Berlin「MSc IMES Prospective Students」
- Heidelberg University「M.Sc. Economics」
- Heidelberg University「Mathematics of Machine Learning and Data Science」
- ETS「Understanding TOEFL iBT Score Displays in 2026」
- ETS「TOEFL iBT Score-Skala 1 bis 6」
- DAAD「Computer Engineering(RWTH Aachen)」
- RWTH Aachen「Computer Engineering M.Sc. Sprachliche Voraussetzungen」
- DAAD「Data Science(TU Dortmund)」
- DAAD「Costs of education and living」
- TUM「Tuition Fees for Students from Non-EU Countries」
- 在日ドイツ大使館「学生ビザ」
- 滞在法「§ 16b AufenthG」
- DAAD「Side jobs」
- DAAD「Ankommen, Studieren, Bleiben」
- DAAD「Accompanying international students in Germany to academic success」
- IAB「IAB-Kurzbericht 7/2026」
- DAAD「Career Planning」
- 滞在法「§ 20 AufenthG」
- Goethe-Institut「Unser Lernkonzept」
- ドイツ外務省「Längerfristige Aufenthalte: Studium, Schulbesuch, Sprachkurs und Ausbildung」
- 滞在法「§ 16f AufenthG」
- 在日ドイツ大使館「ワーキングホリデー・ビザ」
- DAAD「Learning German」