大学院留学の奨学金 完全ガイド|給付型・貸与型の選び方と併願戦略【2026年版】

海外大学院留学に使える奨学金を、給付型(返済不要)と貸与型(要返済)に分けて完全網羅。Fulbright・Chevening・DAAD・トビタテ・伊藤国際教育交流財団等の応募要件・金額・締切・採用数を公式情報で一覧化し、併願戦略まで解説します。

約11分で読めます更新 2026-10-19大学院留学志望者・MBA志望者
目次(8項目)▼

大学院留学奨学金の全体像

海外大学院の総費用は欧州1年制で500〜2,500万円、米国2年制で1,500〜5,000万円。自己資金だけで賄うのは困難で、給付型奨学金(返済不要)と貸与型奨学金(要返済)を組み合わせるのが標準です。

給付型の多くは留学開始の約1年〜1年半前に募集が始まるため、出願校を決める前から準備が必要です。複数併願が基本で、Fulbright(米国)・Chevening(英国)・DAAD(独)など主要なものを併願しつつ、財団系・企業派遣も検討します。

給付型奨学金(返済不要)— 主要9つ

名称対象金額締切採用数・倍率備考
Fulbright(フルブライト)米国大学院(修士・博士)1年目は授業料全額+滞在費 月2,831〜4,300ドル(2025年度実績)・往復渡航費など。2年目は総額2.5万ドルまで(更新は審査)7月1日(書類提出。オンライン登録は3月1日〜5月1日。2026年の選考)約20名(採用予定・博士論文研究プログラムを含む)J-1ビザで渡米し、終了後は日本へ帰国。帰国後通算2年間は移民・H・Lビザなどを申請できない。TOEFL iBT 80点またはIELTS 6.0以上で応募可
Chevening(チーブニング)英国の1年制修士授業料+毎月の生活費(ロンドンかどうかで額が異なる)+往復航空券・到着/帰国時の手当など。MBAの授業料は2.2万ポンドまで10月(2027-28年入学分。受付は2026年8月から)—奨学金の終了後、2年以上の帰国が条件。学部卒業後2年以上(2,800時間相当)の職務経験が必要
DAADドイツの大学院(修士)月992ユーロ+研究補助費 年460ユーロ・保険・旅費補助(学費の補助はなし)10月(2027/28年分は2026年10月21日)—給付期間10〜24か月。語学証明書が必要(一律の基準点はなく、留学先の入学要件に合わせる)。博士向けの奨学金は別にある
トビタテ!留学JAPAN(大学生等対象)日本の大学・大学院に在籍したまま行う留学(28日以上1年以内)月12万円または16万円(地域で異なる。家計基準を超える人は月6万円)+留学準備金15万・25万円(増額6万・10万円あり)+授業料30万円在籍大学が決める(第19期の大学から機構への申請期限は2027年2月25日)応募1,481人・採用277人(第18期・5.3倍)2027年4月1日時点で30歳以下。留学後は日本の在籍校で学業を続けることが条件
伊藤国際教育交流財団海外の大学院修士課程(専攻不問)生活費 月1,500〜2,100ドル相当の円貨+学費の実費(年390万円以内)+往復旅費(原則2年以内)8月(2027年度分は2026年6月29日〜8月26日)応募185名・採用10名(2026年度)29歳以下が望ましい。今の職場に在籍したままの留学(休職・復職予定を含む)や、他の奨学金を受ける人は対象外
船井情報科学振興財団海外の大学院博士課程(Ph.D.取得)生活費 年3.6万ドル+授業料の一部(年1.4万ドルまで)+医療保険費9月(2027年度分は2026年6月15日〜9月30日)15名程度(募集人数)情報科学・情報技術を中心に理工系・生命科学・医学・経済・経営。日本の大学院修士課程の修了(見込み)が条件。原則3年(米国は原則2年)
経団連グローバル人材育成スカラーシップ指定66大学の学部2〜4年生・修士1〜2年生一人200万円(一括支給)10月(2027年度分は2026年8月4日〜10月7日)20名(採用人数)交換留学・私費留学などで約1年(8か月以上1年未満)海外の大学・大学院に留学する人が対象。他の奨学金を受ける予定がないこと(併願は可)
ロータリー財団(グローバル補助金奨学金)海外の大学院(ロータリーの重点分野)地区・クラブが予算3万ドル以上のグローバル補助金で支給(額は地区ごとに異なる)地区により異なる—地元のロータリークラブ・地区を通じて申し込む。期間は1〜4年
中島記念国際交流財団海外の大学院(修士・博士の学位取得)月40万円+支度金50万円+授業料(当初2年・年300万円以内)+帰国時の航空賃8月(2027年度分は2026年8月1日〜20日)申請93名・採用9名(2026年度)情報科学・生命科学・経営科学が対象。30歳以下。修士は最長2年・博士は最長5年。帰国義務なし

※2026年10月時点で各団体の公式サイト・募集要項に載っている最新の募集(多くは2027年度分)によります。採用数・倍率は公式に公表されている数字だけを載せ、確認できないものは「—」としています。ドル・ユーロ建ての額は為替で円換算額が変わります。条件は毎年変わることがあるため、最新は各団体の公式サイトでご確認ください。

貸与型奨学金(要返済)

名称対象金額金利備考
JASSO第二種奨学金(海外)海外の大学院(学位取得)月5万・8万・10万・13万・15万円から選択年3.0%が上限(在学中は無利子)本人(と配偶者)の収入基準あり。機関保証と人的保証の両方が必要
JASSO第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象)海外の大学院(学位取得)修士 月5万・8.8万円/博士 月8万・12.2万円無利子給付型「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」(月17.7万〜38.8万円・2026年度実績)の採用者だけが対象
国の教育ローン(日本政策金融公庫)修業年限3か月以上の外国の教育施設など最大450万円(海外留学の場合)固定4.05%(保証料別)原則として保護者が申し込む。世帯年収の上限あり(海外留学の資金は子2人以内なら990万円まで緩和)

※JASSOは2026年10月時点、日本政策金融公庫は2026年7月1日現在の公式案内によります。金額・金利・基準は変わることがあるため、最新は各機関の公式サイトでご確認ください。

学校独自のFellowship・Scholarship

米英の大学院は、合格者にmerit-based scholarshipを提示することが一般的。給付額は学校・プログラムごとに異なります。出願時に「Need-based」or「Merit-based」のどちらに応募するかを選び、エッセイで強くアピールします。

合格後に提示された奨学金額が低い場合、他校の高額オファーを引き合いに「交渉」も可能(特に米国大学院)。第一志望校に複数の奨学金オファーを持ち込むことで、Fellowship増額を引き出すケースがあります。

企業派遣・研究機関助成

勤務先企業の海外留学派遣制度(社費留学)が利用できれば、給与全額支給+学費補助で総額負担はほぼゼロ。一方で2〜3年の帰国後勤務義務がついてくるのが一般的です。

研究機関では、文部科学省「特別研究員(DC/PD)」、JSPS海外特別研究員、理研・産総研の若手研究員枠など、研究職を目指す方向けの助成も存在します。

併願戦略と応募スケジュール(2027年秋入学の例)

  • ▸〜2026年春: 出願校・専攻・目標を固め、英語・GREなどの対策と推薦者の確保を始める
  • ▸2026年3月1日〜5月1日: Fulbrightのオンライン登録(書類提出は7月1日まで)
  • ▸2026年6月〜8月: 伊藤国際教育交流財団(6月29日〜8月26日)、中島記念国際交流財団(8月1日〜20日)
  • ▸2026年6月〜9月: 船井情報科学振興財団(博士課程向け。6月15日〜9月30日)
  • ▸2026年8月〜10月: Chevening(8月受付開始・10月締切)、経団連スカラーシップ(8月4日〜10月7日)
  • ▸2026年9月〜10月: JASSO大学院学位取得型(9月1日〜10月8日)、DAAD(10月21日締切)
  • ▸2026年秋〜2027年春: 大学院への出願と学校独自のFellowshipへの応募(締切は学校ごと)
  • ▸2027年春〜夏: 合格・奨学金の結果をそろえ、教育ローン・ビザの申請と渡航準備

※2027年秋に入学する人向けの募集について、各団体が公表した日程(2026年10月時点)です。日程は毎年変わるため、最新は各団体の公式サイトでご確認ください。

採用される人の特徴

給付型奨学金は採用枠が少なく、例えば伊藤国際教育交流財団は応募185名に対して採用10名、中島記念国際交流財団は申請93名に対して採用9名でした(いずれも2026年度)。選考を通る人には共通点があります。①明確なキャリアビジョン、②研究計画書の論理性、③推薦者の質、④英語スコアの上位ライン、⑤面接でのストーリーテリング能力。

特に「なぜその国・大学・専攻でなければならないか」「卒業後どう社会に還元するか」の2点を、説得力のあるストーリーで語れることが重要です。模擬面接は最低5回以上行ってください。

よくある質問

Q.大学院留学奨学金の応募はいつから始める?▼
留学開始の1年〜1年半前から準備を始めるのが目安です。2027年秋に入学する人向けの募集では、Fulbrightのオンライン登録が2026年3月1日〜5月1日、伊藤国際教育交流財団が6月29日〜8月26日、Cheveningが8月〜10月、DAADが10月21日締切でした。締切は団体ごとに大きく違うので、年間カレンダーで管理してください(2026年10月時点。最新は各団体の公式サイトでご確認ください)。
Q.英語スコアはどれくらい必要?▼
応募に必要な最低点は奨学金ごとに違います。例えばFulbrightはTOEFL iBT 80点またはIELTS 6.0以上で応募でき、DAADは一律の基準点を設けず、留学先の大学が求めるスコアの提出を勧めています。実際には進学先の大学院の入学基準を満たす必要があり、FulbrightもTOEFL iBT 100点やIELTS 7.0を足切りにする大学院があると案内しています。
Q.社会人でも応募できる奨学金は?▼
Chevening(学部卒業後2年以上・2,800時間相当の職務経験が必要)、Fulbright(社会で得た経験を大学院の学びに生かす人も対象)、中島記念国際交流財団(30歳以下)などは社会人も応募できます。伊藤国際教育交流財団も応募できますが、今の職場に在籍したままの留学(休職・復職予定を含む)は対象外です。トビタテ!留学JAPANは日本の大学などに在籍する学生が対象のため、社会人は応募できません。勤務先の企業派遣制度も選択肢です。
Q.給付型と貸与型はどう組み合わせるのが理想?▼
給付型を優先して複数に応募し、不足分をJASSOの第二種奨学金(海外)や教育ローンで補うのが基本です。ただし伊藤国際教育交流財団や中島記念国際交流財団のように、ほかの奨学金との併給を認めない給付型もあるため、組み合わせる前に各団体の募集要項で併給できるかを確認してください。
Q.採用率を上げるコツは?▼
①出願校・専攻・キャリア目標を明確化、②研究計画書を1ヶ月以上かけて練る、③推薦状を「協力的+実績ある推薦者」から取得、④面接は模擬練習を5回以上、⑤複数併願で機会を最大化。

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