留学できる高校は5つの型から選ぶ|私立・公立・国立の例と確認点
留学できる高校を、全員留学の私立・希望制の私立・国立大学の附属校・公立と都道府県の事業・短期研修中心の5つの型に分けて比べました。2026年10月時点の公式サイトで確かめた学校の例と費用、単位の扱い、説明会で聞く質問も分かります。

「子どもが高校で留学したいと言うけれど、留学できる高校はどう選べばいいのだろう」。パンフレットの「留学制度あり」が全員参加なのか希望者だけなのか、費用はいくらで3年で卒業できるのか、不安が先に立つのは当然です。近くの公立高校でも留学できるのか、という迷いも重なります。
そこで本記事では、留学できる高校を5つの型に分け、2026年10月時点の公式サイトで制度の中身を確かめた私立・国立・公立の例を紹介します。期間・費用・単位の扱いを同じ物差しで比べられるので、志望校の候補を絞り込めるはずです。
あわせて、都道府県の留学支援や、説明会でそのまま使える質問も同じ流れで紹介します。
留学できる高校は5つの型から選ぶ
留学できる高校は、コース全員で留学する私立、希望者が選べる私立、国立大学の附属校、都道府県の事業を使う公立、短期研修が中心の学校の5つの型に分けて比べるのが近道です。長期の留学は私立に多い一方、公立でも在籍校の許可を得て、団体の交換留学や都道府県の事業を使う道があります。
型 | 長期留学する人 | 期間の例 | この記事で紹介する例 |
|---|---|---|---|
全員留学の私立 | コースの全員 | 約1年 | 立命館宇治・佼成学園女子など4校 |
希望制の私立 | 希望者・選考あり | 約10か月〜1年 | 愛知啓成・郁文館グローバルなど3校 |
国立大学の附属校 | 許可を得た希望者 | 1年以内〜2年 | 東京学芸大附属国際中等など2校 |
公立と都道府県の事業 | 在籍校の許可を得た生徒 | 約11か月など | 東京都の派遣事業など4事業 |
短期研修が中心 | 研修の参加者 | 短期の研修 | 埼玉県立和光国際 |
例はいずれも2026年10月時点の各校・各自治体の公式サイトの記載によるもので、順位ではありません。東京都の派遣事業には選考があります。制度は年度で変わるため、最新は各校の公式サイトでご確認ください。
3か月以上の留学をした高校生は3,174人
文部科学省の調査(2025年3月公表)によると、2023年度に3か月以上の留学をした高校生は3,174人で、生徒を送り出した学校は809校でした。3か月未満の研修旅行は3万1,711人で、高校の海外経験は短期が中心です。
国の統計では、3か月以上を「留学」、それより短いものを「研修旅行」と分けて数えています。パンフレットの「留学」が3か月以上か未満かは、期間を見て確かめましょう。行き先はカナダ998人、アメリカ653人、ニュージーランド551人、オーストラリア349人の順でした。
長期留学する生徒の約7割は私立高校
3か月以上留学した高校生のうち、私立は2,361人で全体の約74%を占め、公立は776人、国立は37人でした。コース全員で長期留学する形は私立高校に見られ、私立の行き先はカナダが最も多くなっています。
一方で、公立高校からも388校が生徒を送り出していて、公立の行き先ではアメリカが最も多い結果でした。公立の生徒には、在籍校の許可を得て、団体の交換留学や都道府県の事業を使って留学する道があります。
1年留学しても3年で卒業できる仕組みがある
学校教育法施行規則の第93条では、校長が許可した留学について、海外の高校での学びを36単位まで日本の高校の単位として認められます。単位を認められた生徒は、学年の途中でも進級や卒業を認められる場合があるため、1年留学しても3年で卒業する道があるわけです。
ただし、どれも「認めることができる」という決まりで、何単位をどの科目として認めるかは在籍校が決めます。志望校が「3年で卒業」と案内していても、条件は説明会で確かめておきましょう。
コース全員で1年留学する私立高校の例
コースに入った生徒全員が約1年、海外の高校で学ぶ私立高校は、留学中の単位を認めて3年で卒業できるよう組んでいて、高1の1月に出発する学校もあります。以下は例として挙げる4校で、2026年10月時点の公式サイトの記載によるものです。
立命館宇治高校|IMコースは全員が1年留学
京都府の立命館宇治高校のIMコースは、全員が1年間留学します。カナダのクラスとオーストラリア・ニュージーランドのクラスがあり、1人が1校に通って1家族のもとでホームステイをし、日本人スタッフのサポートも受けられる仕組みです。
費用は行き先がどの国でも380万円(2025年度実績)で、ホームステイ費・食費、現地の授業料、航空運賃、ビザの費用などを含み、2026年度以降の入学生は為替や物価で変わる可能性があると案内しています。理系の学部に進む生徒は7か月の短縮プログラムを選べます。オーストラリアに行くには、中3の2月以降に受けた英検2級でCSEスコア2210以上、またはIELTS(General Training)5.5が必要です(2025年8月に基準が変わりました)。最新は学校の公式サイトでご確認ください。
佼成学園女子高校|クラスまるごとNZへ
東京都の佼成学園女子高校の留学コースは、クラスまるごとニュージーランドへ1年留学します。期間は高1の1月から高2の11月までで、北島の4つの地域にある提携校に2〜3人ずつ分かれ、1家庭に日本人1人のホームステイです。
現地のアドバイザーが日常生活を支え、病気やけが、トラブルには24時間体制で対応し、担任も年4回現地を訪ねます。高2の留学は36単位として認められ、高1の4〜12月は留学の準備、帰国後は進路の準備に充てる流れです。
至学館高校|留学コースは3年間で卒業
愛知県名古屋市の至学館高校の普通科留学コースは、クラス丸ごと1年間、ニュージーランドの高校に留学します。滞在はホームステイで、留学中の日常生活は日本人のカウンセラーが支える体制です。
2年次に留学して3学期に帰国し、2年次は34単位をまとめて認めて、3年間で卒業できると案内しています。出発の日や費用は説明会で確かめましょう。
日本大学三島高校|オーストラリアに約1年
静岡県の日本大学三島高校のグローバル留学コースは、3か月以上1年以内の海外生活を必須としていて、入学する生徒にもその理解を求めています。高1の1月から高2の12月まではオーストラリアで、集中英語研修のあと、現地の公立高校5〜6校に少人数で分かれて学ぶ流れです。
高1の夏にはフィリピンでの4週間の語学研修もあり、2年次の留学は36単位としてまとめて認められます。入学時の英語の目安は英検3級以上かそれと同じ程度です。
希望者が選べる私立高校と国立附属校の例
留学するかを入学後に本人が選べる私立高校や、許可を得た生徒が個別に留学する国立大学の附属校もあります。選考や英語の基準があり、認められる単位数も学校で違うため、条件を見比べて選びます。
- 愛知啓成高校|長期・中期・短期から選べる
- 郁文館グローバル高校|2026年度から希望制
- 大阪学芸高校|選考ありで留学中の授業料なし
- 東京学芸大附属国際中等|学年を下げず卒業も可能
- 筑波大附属駒場|1学年分で30単位まで認定
愛知啓成高校|長期・中期・短期から選べる
愛知県の愛知啓成高校は、グローバルコースでも留学を必須とせず、希望者が制度を使う形です。長期は9月から7月までの約10か月で、カナダの姉妹校やオーストラリア・ニュージーランドの学校に通い、ほかに約6か月の中期、約1か月の短期もあります。
ロータリーやYFU、AFSといった団体を通じた約1年の留学も単位として認められ、1年留学しても3年で卒業できると案内しています。入学してから英語力の伸びや本人の気持ちを見て決めたい家庭に合う形です。
郁文館グローバル高校|2026年度から希望制
東京都の郁文館グローバル高校は、1年留学を2026年度から希望者のみとしました。入学時点で英検準2級プラス相当(4技能の合計スコア1,800点以上)が必要で、高1の7月末までにCEFRのB1(英検2級相当)を取れないと参加できません。そのうえで高1の3学期から高2の2学期までカナダかニュージーランドの現地校に1人1校で通います。
費用はニュージーランドが約570万円、カナダが約630万円(2026年度実績、海外留学保険料は除く)で、留学中の授業料は通常の半額です。費用は変わることがあるため、最新は学校の公式サイトでご確認ください。アメリカへの留学は2027年度の入学生から行わないとしていて、制度が年度で変わる一例です。
大阪学芸高校|選考ありで留学中の授業料なし
大阪府の大阪学芸高校の国際科1年留学コースは、英語力・成績・生活面を総合的に見る選考があります。高1の1月から高2の12月まで、カナダのオタワかニュージーランドのネルソンの公立高校に通い、1家庭に生徒1人のホームステイです。
留学中は大阪学芸高校の授業料を徴収せず、教員が現地まで同行して一定期間生徒を支えます。留学の単位は最大31単位まで認められ、3年間で進級・卒業できると案内しています。
東京学芸大附属国際中等|学年を下げず卒業も可能
東京都の東京学芸大学附属国際中等教育学校は、後期課程(高校段階)で1年以内の留学に取り組む生徒を応援する学校です。留学先の学校で標準的な1年分のカリキュラムを終えた場合に単位を認め、留学前と同じ学年の仲間のもとに戻れて、学年を下げずに卒業することもできます。
2025年度は4年生7人がアイルランド・カナダ・ニュージーランドに留学していて、2025年夏は男子校・女子校とも派遣予定と案内していた、ニュージーランドの提携校での約1か月の短期留学もあります。高校段階(4年次)からは、海外の学校に続けて1年以上在籍したことなどを条件にした編入学だけで、日本の中学に通う生徒が高校から入る一般の入試はないため、中1からの入学を考える家庭向けの例です。
筑波大附属駒場|1学年分で30単位まで認定
東京都の筑波大学附属駒場中・高等学校では、留学を希望する生徒は許可を得て、1年以上2年以内の期間で留学できます。留学中の単位は1学年分で30単位まで認められます。
1年の留学なら、国の上限(36単位)より少ない30単位までと学校が決めている例です。志望校ごとに、認定の上限を確かめておきましょう。行き先や費用は公式サイトに書かれていないため、学校に確かめましょう。
公立高校は交換留学や都道府県の事業で留学する
公立高校の生徒が長期留学するときは、在籍校の許可を得て、団体の交換留学や都道府県の派遣事業、費用の支援を使う形があります。文部科学省の調査では、2023年度に公立高校388校から776人が3か月以上の留学をしています。
東京都は都立高校生を約11か月派遣する
東京都教育委員会の「次世代リーダー育成道場」は、都立高校などの生徒150人以内を約11か月海外へ派遣する事業で、校長の推薦が必要です。2026年度募集の第15期は、オーストラリアかニュージーランドに行くAコースと、アメリカかカナダに行くBコースに分かれ、国や学校は選べません。
受講料80万円と、パスポート・ビザ、基本契約以外の保険料などの諸経費70万円程度は自己負担で、受講料の減免制度もあります。在籍校が「留学扱い」にすれば単位を認められますが、「休学扱い」だと帰国後は元の学年に戻ります。2026年度の募集は終わっているため、次の募集は東京都の公式サイトでご確認ください。
2023年度に留学費用を支援した都道府県は21
文部科学省の調査では、2023年度に高校生の留学に何らかの取り組みをした都道府県は47すべてで、留学の費用を支援したのは21でした。たとえば佐賀県は、6か月以上の留学に自己負担額の30万円を上限に助成し、熊本県は約1年の留学に45万円を上限に支給しています。
福井県には、1年か2年の留学に返済不要の奨学金を出す制度があります。対象が公立だけか私立も含むか、金額や募集の時期は県と年度で違うため、お住まいの都道府県の教育委員会や私学担当のページでご確認ください。
短期研修が中心の公立高校もある
国際系の学科がある公立高校には、長期留学ではなく短期の海外研修や海外への修学旅行を中心にする学校もあります。たとえば2026年4月に開校した埼玉県立和光国際高校は、短期海外研修や国際交流活動に力を入れ、2年生でシンガポールへの修学旅行を行います。
2023年度の国の統計でも、3か月未満の研修旅行に参加した公立高校の生徒は1万3,274人で、長期留学の約17倍でした。まず短期で海外を体験し、長期留学は団体の交換留学などで考えるという順番もとれます。
留学できる高校を説明会で比べる確認点
留学できる高校を比べるときは、パンフレットの「留学制度あり」だけで決めず、説明会で費用・単位・大学受験・現地のサポートを同じ質問で確かめましょう。同じ「1年留学」でも、学費との関係や帰国後の学年は学校によって違います。
留学費用の総額は説明会で確かめる
長期留学の費用は、公式サイトに金額が書かれていない学校もあるため、説明会で総額と内訳を聞きましょう。公式に載っている例では、立命館宇治が380万円(2025年度実績。2026年度以降の入学生は変わる可能性あり)、郁文館グローバルがニュージーランド約570万円・カナダ約630万円(2026年度実績、海外留学保険料は除く)です。東京都の派遣事業の受講料80万円と諸経費70万円程度は家庭の自己負担分で、学校の留学費用の総額とは中身が違うため、そのまま比べられません。
これらは高校の学費とは別にかかる留学の費用で、為替や物価で変わることがあります。留学中の高校の授業料を払うかどうかも学校で違うため、3年間でかかるお金を合わせて比べましょう。最新の金額は各校の公式サイトでご確認ください。
留学扱いか休学扱いかで帰国後の学年が変わる
在籍校が「留学扱い」にすれば、海外で学んだ分を単位として認めてもらえますが、「休学扱い」だと単位にならず、帰国後は元の学年に戻ります。東京都の派遣事業の案内でも、休学扱いなら1年間の原級留置になるという説明です。
認める単位数も、36単位や34単位をまとめて認める学校、最大31単位とする学校、1学年分で30単位までとする学校と分かれます。「3年で卒業できるか」だけでなく、何単位をどんな条件で認めるかまで聞いておきましょう。
帰国生入試は1年の留学では対象外の大学もある
高校の1年留学は、大学の帰国生入試の出願資格を満たさない場合があります。たとえば学習院大学の2027年度の帰国生徒向け総合型選抜は、海外で外国の教育課程を「2学年以上継続又は通算して3学年以上」受けたことなどを条件にしています。
留学の経験をどう生かせるかは大学や入試の方式で違うため、留学が受験に有利だとは言い切れません。立命館宇治のように、理系に進む生徒向けに留学期間を短くする選択肢を用意する学校もあるので、志望する進路と帰国の時期を合わせて考えましょう。
説明会でそのまま使える6つの質問
学校の説明会や個別相談では、次の6つを同じ順番で聞くと、学校どうしを比べやすくなります。
- 全員が行くのか、希望者だけか
- 選考と英語の基準はあるか
- 留学費用の総額と学費との関係
- 留学扱いか休学扱いか、何単位か
- 現地のサポートと緊急時の連絡方法
- 帰国後の学習と進路の支援
現地のサポートは、24時間対応の現地アドバイザーと担任の訪問、日本人カウンセラー、教員の同行など学校ごとに形が違います。答えをメモして家族で見比べると、子どもに合う学校を選びやすくなるはずです。
よくある質問
留学できる高校について、保護者が気になる4つの質問への答えです。
公立高校でも長期留学はできますか?
できます。2023年度には公立高校388校から776人が3か月以上留学しました。在籍校の許可を得て、団体の交換留学や都道府県の派遣事業を使う形があり、団体の仕組みは高校の交換留学の記事で紹介しています。
近くに留学コースのある高校がないときは?
入学後に団体の交換留学や都道府県の支援を使う道があります。国の「トビタテ!留学JAPAN」の高校生向け第12期は、新高校1年生も、進学先の高校に確認のうえ、第一日程(2026年12月〜2027年1月)か第二日程(2027年4月)に在籍校を通じて応募でき、14日以上1年以内の留学が対象です。最新の条件は公式サイトでご確認ください。
英語が苦手でも留学コースに入れますか?
学校によって基準が違います。入学時の目安は、日本大学三島が英検3級以上、郁文館グローバルの留学プログラムが英検準2級プラス相当です。中学のうちに短期の留学で慣れておく方法もあり、中学生の留学の記事で形と費用を比べると参考になるはずです。
留学中の高校の授業料はどうなりますか?
扱いは学校によって違い、大阪学芸は留学中の授業料を徴収しないとし、郁文館グローバルは通常の半額としています。休学扱いで授業料がかからない間は、就学支援金の支給を止める申し出ができ、その間は支給期間の計算も止まります。扱いは学校に確かめ、最新は各校の公式サイトでご確認ください。
まとめ
留学できる高校は、コース全員で留学する私立、希望者が選べる私立、国立大学の附属校、都道府県の事業を使う公立、短期研修が中心の学校の5つの型で比べると選びやすくなります。長期の留学は私立に多いものの、公立でも在籍校の許可を得て、交換留学や都道府県の事業で留学できます。
まずは候補の学校の説明会で、費用の総額と単位の扱いを同じ質問で確かめましょう。海外の高校で学ぶ形を詳しく知りたいときは、オーストラリアの高校留学の記事も参考になります。