中学生の留学は4つの形から選ぶ|費用の目安と学校を休むときの注意
中学生が選べる留学を、長期休みの短期留学・自治体や学校の海外研修・親子留学・現地校への長期留学の4つに分けて比べました。形ごとの費用の目安、学期中に行くと欠席扱いになる注意点、国の選び方、出発半年前からの準備チェックリストも分かります。

「中学生のうちに留学させてあげたいけれど、まだ早いのでは」。費用はどれくらいかかるのか、一人で行かせて本当に大丈夫なのか、不安が先に立つ保護者の方も多いはずです。学期中に休んだら高校受験に響かないか、という迷いも重なります。
そこで本記事では、中学生が選べる留学の4つの形と、それぞれの費用の目安を、文部科学省や各国政府の公式の数字つきでまとめました。期間と現地で見守る大人の違いで比べられるので、わが子に合う形を1つか2つに絞り込めます。
同じ流れで、日本の中学校での出席の扱いや留学先の国の選び方、出発半年前からの準備チェックリストもつかめます。
中学生が選べる留学の4つの形
中学生が選べる留学は、長期休みの短期留学・自治体や学校の海外研修・親子留学・現地校への長期留学の4つです。期間と「現地で誰が子どもを見守るか」が形ごとに違うので、この2点で候補を絞ると選びやすくなります。
長期休みに行く短期の語学留学
いちばん始めやすいのは、夏休みや春休みを使う1週間〜1か月ほどの短期留学です。語学学校のクラスに通い、ホームステイや寮で暮らす形が中心になります。
この長さなら、入国の許可証であるビザを取らず、電子渡航認証というネット申請だけで入れる国が多いのが特徴です。オーストラリアの電子渡航認証では合計3か月まで学習でき、ニュージーランドも3か月以下の短い英語学習を観光と同じ「訪問」として扱います。どちらも2026年10月時点の各国移民局の案内です。
学期中に学校を休まずに行けるので、初めての海外にも選ばれやすい形でしょう。受け入れる年齢や一人で参加できるかはプログラムごとに違うため、申し込む前に確かめてください。
自治体や学校が募集する海外研修
自治体や在籍校が募集する海外研修は、先生や職員の引率がつき、仲間と一緒に行ける形です。文部科学省の令和5年度の調査では、全国の中学校が把握している外国での語学研修や交流は、3か月以上の留学も含めて延べ9,227人でした。
東京都世田谷区は区立中学2年生を、カナダ・アメリカ・オーストラリアなどへ約1週間〜10日派遣します。北海道更別村は中学1・2年生を、シドニー近郊へ4泊7日で送り出す計画です。どちらも令和8年度の募集要項に載っている内容になります。
応募には、出発前の学習会と帰国後の報告会への参加が求められます。作文で選ぶ自治体もあり、本人が「なぜ行きたいか」を言葉にする練習にもなるはずです。募集は市区町村の教育委員会が出すので、住んでいる地域の広報をこまめに見てください。
保護者が一緒に行く親子留学
親子留学は保護者が付き添って現地で一緒に暮らす形で、一人で行かせるのが不安な家庭に向いています。短期であれば、親子ともビザなしで滞在できる範囲で行ける国が多いでしょう。
長く滞在する場合は、保護者にも滞在の許可が要ります。ニュージーランドには学生ビザを持つ子の親1人が使える保護者向けのビザがあり、原則として現地で働けません。条件の変更を申請すれば、平日の日中に限ったパートタイムの仕事が認められる場合もあります(ニュージーランド移民局・2026年10月時点)。
イギリスで親が子と同居できるビザは、子どもが12歳未満の場合に限られます。中学生の長期の親子留学には使いにくいので、国ごとの条件を先に確かめておきましょう。最新は各国の公式サイトでご確認ください。
現地の学校に通う長期留学
長期留学は、1学期から数年かけて現地の中学校や寄宿学校(ボーディングスクール)に通う形です。滞在が国の決める長さを超えると学生ビザが必要になり、多くの国が未成年の子を現地で世話する大人を決めるよう求めています。対象はオーストラリアなら18歳未満、カナダなら17歳未満です。
公立校に通えない国もあります。アメリカでは学生ビザ(F-1)で公立の小中学校に入学できず、公立高校も通算12か月までと決まっています(米国国土安全保障省・2026年10月時点)。
一方で、カナダのバンクーバー教育委員会は2027〜28年度の留学生を8〜11年生の中等学校で受け入れる予定です。中学生の年齢で長く学ぶなら、私立校や寄宿学校、公立校が留学生を受け入れている地域が候補になるでしょう。条件の最新は各国の公式サイトでご確認ください。
4つの形の違いと向いている子
4つの形を、期間と見守る大人の違いで並べると次のとおりです。
形 | 期間の目安 | 一人での参加 | 見守る大人 | 向いている子 |
|---|---|---|---|---|
短期の語学留学 | 1週間〜1か月 | プログラム次第 | 学校・滞在先 | 初めて海外に行く子 |
自治体・学校の海外研修 | 約1週間〜10日 | 引率つきの団体 | 引率の先生・職員 | 仲間と行きたい子 |
親子留学 | 数週間〜 | 保護者が同行 | 保護者 | 一人では不安な子 |
現地校への長期留学 | 1学期〜数年 | 単身が中心 | 現地の世話役 | 目的がはっきりした子 |
初めてなら、学校を休まずに済む短期の語学留学か、自治体の研修から始めるのが現実的です。短期で手応えをつかんだら、高校での長期留学を次の目標に置く考え方もあります。
中学生の留学にかかる費用の目安
中学生の留学費用は形で大きく変わり、短期は予算70万〜100万円を見込む家庭が最も多く、自治体の研修なら自己負担が10万円ほどまでの例もあります。長期は授業料に滞在費・保険・ビザの費用が重なるので、短期とは別の資金計画が必要です。
- 短期の予算は70万〜100万円が最多
- 自治体の海外研修は自己負担を抑えやすい
- 長期は授業料に滞在費と保険が加わる
- パッケージ料金に含まれない出費
- 留学会社の料金内訳と解約の条件
- 奨学金は高校生から選択肢が増える
短期の予算は70万〜100万円が最多
海外留学協議会(JAOS)が2025年9〜10月に、小中高生の子どもを留学させた保護者262人へオンラインで聞いた調査では、1週間〜1か月の短期留学の予算は「70万〜100万円」が45%で最多でした。同じ調査では、70万円未満を見込んでいた家庭の6割が予算を超えています。
これは実際に払った額ではなく、出発前に立てた予算の数字です。とはいえ、短期でも70万円を超える前提で準備しておくと、あとで慌てずに済むでしょう。
自治体の海外研修は自己負担を抑えやすい
自治体の派遣事業は費用の多くを自治体が出すため、家庭の負担は数万〜10万円ほどに収まる例があります。
世田谷区の令和8年度の募集要領では、カナダ派遣は航空券や宿泊費などを区が全額負担します。ただし翌年1〜2月に現地の生徒を約2週間自宅で受け入れる決まりがあり、その費用は家庭の負担です。
アメリカとオーストリアへの派遣は個人にかかる経費の1割で、目安は6万円程度です。更別村の令和8年度の募集要項でも、参加費用は1人10万円程度とされました。
パスポートの取得費や保険料、おこづかいは、どちらも別に自己負担です。世田谷区は就学援助を受ける世帯の費用を全額助成し、更別村も扶助費を申請できるとしています。対象はその自治体の中学生に限られるので、住んでいる市区町村に同じような事業があるか確かめてください。
長期は授業料に滞在費と保険が加わる
長期留学では、授業料のほかに滞在費・保険・ビザの費用が積み重なります。公表されている授業料の例を、次の表にまとめました。
留学先の例 | 費用の項目 | 金額 | 別にかかるもの |
|---|---|---|---|
カナダ・バンクーバーの公立校 | 出願料・英語判定・授業料・保険の1年分 | CA$18,900 | ホームステイ費 |
西オーストラリア州の公立校 | 中学段階の1年の授業料 | A$17,286 | ホームステイ費・教科書・保険 |
イギリスの私立寄宿学校 | 寄宿生の学費の1学期平均 | £14,735 | 付加価値税・ビザ申請料 |
カナダはバンクーバー教育委員会の2027〜28年度、オーストラリアは西オーストラリア州教育省の2026年の金額です。イギリスは私立学校の団体ISCによる2026年の調査の平均で、授業料と寮費を合わせた1学期あたりの額です。2025年1月から私立学校の学費には20%の付加価値税がかかり、この額には含まれていません。
オーストラリアの学生ビザでは、学費とは別に12か月で2万9,710豪ドルの生活費を用意していると示す必要があります(オーストラリア内務省・2026年10月時点)。円での金額は為替で動くので、申し込む時点のレートで計算し直してください。学費やビザの条件の最新は、各公式サイトでご確認ください。
パッケージ料金に含まれない出費
留学のパッケージ料金とは別に、パスポートや税、保険などの出費がかかります。
出費 | 金額の目安 | ポイント |
|---|---|---|
パスポート | 電子申請4,400円・窓口4,800円 | 18歳未満は5年用のみ |
出国税 | 出国1回3,000円 | 2026年7月1日以後の出国 |
電子渡航認証 | 国ごとに違う | 原則は子どもも1人ずつ申請 |
海外旅行保険 | 期間と補償で変わる | 治療費と救援者費用を重視 |
昼食代・おこづかい | 滞在先の条件次第 | 料金に含まれるか確認 |
表の金額は2026年10月時点のものです。パスポートの手数料は2026年7月1日に下がり、出国税は同じ日に引き上げられました。見落としやすいのが昼食代で、19歳でロンドンに2か月ホームステイした人は次のように振り返ります。
住居費はかからなかったものの、日中の食費と外食費の高さには非常に苦労しました。
ロンドンでのホームステイの体験談です(体験談を読む)。滞在先で昼食が出るとは限らないので、おこづかいの額と一緒に事前に決めておきましょう。
留学会社の料金内訳と解約の条件
留学会社を使うなら、料金に含まれるもの・含まれないものの内訳と、解約の条件を申し込み前に確かめてください。日本学生支援機構(JASSO)によると、留学のあっせんを包括的に規制する法律はなく、業者が自主的に定めていない限りクーリングオフは基本的に使えません。
JASSOは、手数料・学費・宿泊費・渡航費・保険料の明細、解約の期限と解約料、為替による金額変更の有無を確かめ、複数の会社を比べるよう勧めています。判断の目安になるのが、留学サービス審査機構(J-CROSS)の認証です。出発日の90日前まで学費などを請求しないことが認証の条件ですが、個々のプログラムの中身までは保証していません。
契約書やメールは保存しておき、困ったときは消費者ホットライン188に相談できます。
奨学金は高校生から選択肢が増える
中学生が使える公的な支援は自治体の派遣事業が中心で、国の大きな奨学金は高校生からが対象です。
文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」高校生等対象の第12期は、2026年10月1日に募集要項が公開されました。2027年4月に高校1年生になる今の中学3年生も「新高校1年生」として応募でき、進学先の高校に確認したうえで、第一日程の2026年12月上旬〜2027年1月21日か、第二日程の2027年4月1日〜21日を選びます。
留学期間は14日以上1年以内です。奨学金は月12万円または16万円で、家計の基準を超える世帯は月6万円になります。留学準備金は第12期では増額され、アジアが21万円、その他の地域が35万円です。
中学1・2年生の家庭なら、中学のうちは自治体の研修や短期留学で経験を積み、高校進学に合わせてトビタテに挑戦する道もあるでしょう。募集の内容は年度ごとに変わるため、最新は公式サイトでご確認ください。
中学生のうちに留学する良さ
中学生のうちに留学する良さは、本人の意欲が高い時期に、学校を休まず海外を体験でき、帰国後の学びのきっかけになることです。
本人の「行きたい」を形にしやすい時期
中学生は、留学を考え始める家庭が最も多い時期です。先に紹介したJAOSの2025年の保護者262人へのオンライン調査では、留学を考え始めた時期は「中学生」が49%で最多でした。小中高生全体で見ると、初めての留学のきっかけは子どもからが64%です。
本人が行きたいと言っているときは、準備にも前向きに取り組みやすいものです。意欲がある今のうちに短期で試しておけば、高校で長期留学を考えるときの判断材料にもなります。
長期休みなら学校を休まずに行ける
夏休み・冬休み・春休みに収まる短期留学なら、日本の中学校を欠席せずに行けます。自治体の研修も、更別村の例では2027年3月25日〜31日の春休みに日程が組まれました。
学期中に休まなくてよいので、出席日数や授業の遅れを心配せずに済むでしょう。どの休みに行くかは、部活動の大会や塾の講習と重ならないかで決めると選びやすくなります。
学ぶ意欲が帰国後の勉強につながる
短期留学では、英語力が大きく伸びるより「もっと学びたい」という気持ちが残ることがあります。同じJAOSの調査では、帰国後の子どもの変化として、語学力と意欲を1つにまとめた選択肢「語学力・学習意欲の向上」を挙げた保護者が51%、「将来を考えるようになった」が42%いました。
保護者から見た変化ではありますが、本人の声も重なります。16歳でイタリアの家庭に短期滞在した人は、次のように書いています。
留学期間が短く、正直語学力がその留学だけで向上したとは言い難い。でも、温かい気持ちに触れて「もっと語学力を向上させたい」と思わせてくれた留学体験でした。
イタリアでのホームステイの体験談です(体験談を読む)。数週間で話せるようになると期待するより、帰国後の勉強のきっかけと考えるほうが、親子ともに満足しやすいでしょう。
中学生の留学で気をつけたいこと
中学生の留学で気をつけたいのは、学期中に長く行くと欠席扱いになり、高校のような単位の制度や帰国生入試が使えない場合があることです。暮らしの面では、言葉と家庭のルールの違いに子どもが戸惑いやすくなります。
学期中の長期滞在は欠席の扱いになる
学期中に海外へ長く滞在すると、日本の中学校では欠席として扱われるのが基本です。文部科学省の就学事務のQ&Aは、1年未満の国外滞在なら学籍はそのままで、指導要録上は長期欠席の扱いが適当としています。
1年以上の国外転出が前もって分かっている場合は、住民票の転出にともない学校から除籍になるとも書かれています。ただしこのQ&Aは留学専用のルールではなく、実際の扱いは学校や教育委員会で違うでしょう。学期中に行くなら、出席の数え方と成績のつけ方を担任に早めに相談してください。
中学校には単位を認める留学制度がない
高校には、校長が認めれば外国の高校での学習を36単位まで日本の単位として認める制度がありますが、中学校には同じ決まりがありません。学校教育法施行規則で留学の許可と単位の認定を定めているのは、高等学校の第93条と、高等専門学校の条文です。
学年を落とさずに長期留学しやすいのは、高校からといえます。学期中に3か月以上の留学を考えているなら、高校まで待つ選択肢とも比べてみましょう。
帰国生入試の対象外になることがある
中学生の単身留学は、高校入試の帰国生向け選抜の条件を満たさないことがあります。東京都立高校の令和9年度の要綱では、海外帰国生徒向けの選抜は「保護者に伴って」海外に住み、連続2年以上の在住期間があることなどが条件です。
条件は都道府県や学校ごとに違います。文部科学省も、帰国の時期に応じてどの資格で高校を受験するかを、前もって検討するよう求めています。中学3年生で留学を考えるなら、受験する地域の最新の要綱を先に確かめておくと安心です。
言葉と家庭のルールに戸惑いやすい
現地の暮らしでは、言葉の壁とホストファミリーのルールに戸惑う子が少なくありません。16歳でイタリアにホームステイした人は、次のように振り返っています。
まず一番苦労したのは、言葉の壁です。簡単な英語やイタリア語はなんとか通じても、細かいニュアンスや気持ちを伝えるのが難しくて、もどかしさを感じる場面が何度もありました。
イタリアでのホームステイの体験談です(体験談を読む)。
ロンドンにホームステイした19歳の人も、シャワーの時間や門限など家庭独自のルールに合わせる難しさを挙げています。そのうえで「今日は夕飯がいらない」などを曖昧にせず伝えることが、良い関係のコツだと勧めます(体験談を読む)。出発前に、断り方やお願いの仕方を家庭で練習しておくと心強いはずです。
中学生の留学先の選び方
中学生の留学先は、短期なら「ビザなしで学べる期間と渡航認証の手間」、長期なら「未成年を受け入れる条件」で比べると決めやすくなります。そのうえで、町の大きさや日本人の多さが子どもに合うかを考えましょう。
短期で学べる期間と渡航認証の違い
主な留学先の電子渡航認証と、ビザなしで学べる範囲を並べると次のようになります。
国 | 電子渡航認証 | 申請料 | ビザなしで学べる範囲 |
|---|---|---|---|
オーストラリア | ETA | AU$20 | 合計3か月まで |
ニュージーランド | NZeTA | NZ$17〜23と観光税NZ$100 | 3か月以下の短期学習 |
カナダ | eTA | CA$7 | 6か月以下の課程 |
イギリス | ETA | £20 | 認定校で6か月以内 |
アメリカ | ESTA | US$40.62 | プログラムに確認 |
韓国 | K-ETA | 17歳以下は申請不要 | プログラムに確認 |
金額は2026年10月16日時点の各国政府の公式サイトの表示で、アメリカのESTAはこの日に値上げされました。イギリスのETAも料金の改定が続いているため、最新は公式サイトでご確認ください。
アメリカのビザ免除は観光・商用が目的です。語学学校やサマースクールにESTAで参加できるかは、プログラムと米国大使館の案内で確かめましょう。
長期は国ごとに未成年の受け入れ条件がある
長期で現地の学校に通う場合、多くの国が未成年の留学生に「現地で責任を持つ大人」を求めています。カナダでは17歳未満の学生は親と一緒に渡航するか、カストディアンと呼ばれる世話役を、カナダ市民か永住者の大人の中から立てなければなりません。
オーストラリアは18歳未満の学生に、学校が認めた滞在先と世話の体制か、親または21歳以上の親族による付き添いを求めます。ニュージーランドでは、18歳未満の滞在先が国の決まりに合っていると学校が証明しなければなりません。
イギリスの子ども向け学生ビザは私立校が対象で、中学生は寄宿学校か、近親者や里親の家で暮らす形が中心です。いずれも2026年10月時点の各国政府の案内で、最新は公式サイトでご確認ください。
国ごとの制度の詳細は、カナダ留学ガイドやオーストラリア留学ガイド、イギリス留学ガイドで確かめられます。
町の大きさや日本人の多さの違い
同じ国でも、都市の大きさや日本人の多さで、英語を使う量と安心感が変わります。先のJAOSの保護者調査でも、留学先を選ぶときに安全性・治安を重視した保護者は92%にのぼりました。
19歳でドイツの小さな町のサマークラスに参加した人は、遊ぶ場所が少なく授業に集中できた一方、次のようにも書いています。
小さな町で、夕方過ぎると外に人があまりいなくなり、ちょっと怖かったので、夕方以降は家にいました。
ドイツでのサマークラスの体験談です(体験談を読む)。反対に、アイルランドのダブリンに滞在した19歳の人は、日本人が少ないぶん英語漬けの毎日を送れたと振り返ります(体験談を読む)。候補の都市が決まったら、外務省の海外安全ホームページで危険レベルも確かめておきましょう。
中学生を安全に送り出すための準備
中学生を安全に送り出すには、プログラムの緊急時の体制と滞在先の決め方を確かめ、出発の半年前から手続きを順に進めることが大切です。
プログラムの引率と緊急連絡の体制
プログラムを選ぶときは、夜間や休日でも子どもと連絡がつく体制があるかを最初に確かめてください。文部科学省の海外留学の危機管理ガイドラインは、学校が確認すべき点として、休暇中・夜間を含めた緊急連絡の体制や安否確認の連絡ルートを挙げています。保護者が申し込み前に聞く質問にも、そのまま使えるでしょう。
- 夜間や休日も連絡がつくか
- 事故のとき現地で誰が動くか
- 保険の補償内容を共有してくれるか
- 安否確認の連絡ルートがあるか
短い滞在でも油断はできません。16歳でイタリアに滞在した人は、電車でスリに遭った経験を書き残しています(体験談を読む)。現地での移動に大人が付き添うかも、あわせて聞いておきましょう。
ホームステイ先の決め方と変更の可否
ホームステイ先は、誰がどう選ぶのかと、合わないときに変更できるかを申し込み前に確かめておくと安心です。23歳でカナダに留学した人は、最初の滞在先で苦労した経験から次のように勧めています。
事前にレビューや口コミをできる限り調べること、留学エージェントに相談してホスト家庭の評判を確認することを強くおすすめします。もし合わないと感じたら、我慢せず早めに変更を申し出る勇気も大切です。
カナダ・トロントでの留学の体験談です(体験談を読む)。文部科学省のガイドラインも、思いが伝わらず部屋に閉じこもってしまった例を挙げ、話せないときは紙に書く・翻訳ソフトを使うなどして率直に話し合うよう勧めています。
イギリスに18歳未満が一人で行く場合は、親の書面の同意と、滞在先の人の氏名や住所などの情報を用意する必要があります(英国政府・2026年10月時点)。最新は英国政府の公式サイトでご確認ください。
出発半年前からの準備チェックリスト
日本学生支援機構(JASSO)は、語学留学でも約半年前から準備を始めるよう勧めています。中学生の短期留学なら、次の順で進めると漏れを防ぎやすいでしょう。
時期の目安 | やること | 確認先 |
|---|---|---|
6か月前 | 形と予算を決めて説明会へ | 留学会社 |
5〜4か月前 | 申し込みと在籍校への相談 | 担任・学校 |
3か月前 | パスポートの申請 | 都道府県の旅券窓口 |
2か月前 | 保険の加入と同意書の準備 | 保険会社・プログラム |
1か月前 | 電子渡航認証とたびレジ登録 | 各国政府・外務省 |
出発前日まで | 連絡方法とおこづかいの確認 | 家族・滞在先 |
自治体の研修は応募の締め切りがさらに早く、世田谷区と更別村の令和8年度の募集では、出発の8か月以上前に締め切られていました。自治体の研修を考えるなら、この表より前に募集の時期を確かめてください。
外務省の「たびレジ」は3か月未満の渡航で登録でき、渡航先の安全情報がメールで届きます。家族のメールアドレスも一緒に登録できるので、子どもと保護者の両方で受け取ると安心です。3か月以上滞在する場合は、旅券法で在留届の提出が義務づけられています。
よくある質問
中学生の留学について、保護者からよく出る4つの質問への答えです。
中学生は一人で飛行機に乗れますか?
多くの場合は乗れます。ANAの国際線では、12歳以上17歳未満は子どもだけで搭乗でき、希望すれば空港での手続きを手伝うサービスも使えます。年齢の区切りや同意書の要否は航空会社や行き先の国で違うので、予約する会社に確かめてください。
一人でホームステイできるのは何歳からですか?
国と制度で違い、長期の公立校の制度では中学生の年齢から選べる例があります。西オーストラリア州のパース周辺の公立校はホームステイを8年生以上に限り、カナダのバンクーバー教育委員会は8年生からの中等学校で留学生を受け入れています。短期のプログラムは、それぞれの年齢条件を確かめましょう。
準備はいつから始めればいいですか?
短期の語学留学でも、出発の約半年前から始めるのが目安です。日本学生支援機構(JASSO)によると、奨学金によっては1年ほど前に締め切るものもあります。自治体の研修は募集の時期が自治体ごとに決まっているため、住んでいる地域の広報をこまめに見ておきましょう。
中学生の留学先で多い国はどこですか?
学校が把握している中学生の研修旅行では、オーストラリアが最も多い国です。文部科学省の令和5年度の調査によると、行き先はオーストラリアが延べ2,119人で最も多く、ニュージーランド1,783人、アメリカ1,538人が続きました。その次はカナダ828人、イギリス521人の順です。
まとめ
中学生の留学は、長期休みの短期留学・自治体や学校の研修・親子留学・現地校への長期留学から選べます。初めてなら、学校を休まずに済む短期留学か自治体の研修が始めやすい形です。
短期留学は70万〜100万円の予算を見込む家庭が最も多く、自治体の研修なら自己負担を抑えられます。学期中に長く行くと欠席扱いになるため、高校の留学制度とも比べてください。
まずは住んでいる自治体に中学生の海外研修があるかを調べ、候補を1つに絞って担任に相談してみましょう。目的に合う国を知りたいときは、留学・ワーホリ診断も使えます。
この記事の出典
- 文部科学省「令和5年度 高等学校等における国際交流等の状況について」
- 文部科学省「高等学校等における海外留学に関する危機管理ガイドライン」
- 文部科学省「学齢児童生徒が国外に転出した場合における学齢簿や学籍の取扱いについて」
- e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」
- 東京都教育委員会「令和9年度 海外帰国生徒等入学者選抜実施要綱」
- 文部科学省「トビタテ!留学JAPAN『新・日本代表プログラム』高校生等対象(第12期)の募集開始」
- 日本学生支援機構「留学あっせん業者(留学エージェント)の利用について」
- 日本学生支援機構「留学までのタイムスケジュール」
- 海外留学協議会(JAOS)「小中高生の留学に関する実態調査2025」
- 世田谷区「令和8年度 世田谷区立中学生海外派遣事業募集要領」
- 更別村教育委員会「令和8年度 飛び出せワールド(中学生海外研修)事業 募集要項」
- 神奈川県「未成年者(18歳未満)の方の申請」
- 神奈川県「パスポートの手数料」
- 国税庁「国際観光旅客税のあらまし」
- 外務省「たびレジ」
- 外務省 海外安全ホームページ
- オーストラリア内務省「Electronic Travel Authority (subclass 601)」
- オーストラリア内務省「Student visa (subclass 500)」
- オーストラリア内務省「Welfare arrangements for students under 18」
- 西オーストラリア州教育省「Tuition fees and expenses」
- 西オーストラリア州教育省「Student accommodation」
- ニュージーランド移民局「New Zealand Electronic Travel Authority (NZeTA)」
- ニュージーランド移民局「Guardian Visitor Visa」
- ニュージーランド移民局 運用マニュアル U3.15
- ニュージーランド移民局 運用マニュアル V3.100
- カナダ移民局(IRCC)「Electronic Travel Authorization (eTA)」
- カナダ移民局(IRCC)「Minor children studying in Canada」
- バンクーバー教育委員会「Information for International Student Applications 2027-28」
- 英国政府「Get an electronic travel authorisation (ETA)」
- 英国政府「Standard Visitor: Visit to study」
- 英国政府「Standard Visitor: If you're under 18」
- 英国政府「Child Student visa: Where you'll live」
- 英国政府「Applying VAT to private school fees」
- Independent Schools Council「ISC Census and Annual Report 2026」
- 米国国土安全保障省 Study in the States「Grade 9 to Grade 12 Public Schools」
- 米国税関・国境警備局(CBP)「Visa Waiver Program」
- 米国連邦官報 2026-20185(ESTA手数料)
- K-ETA公式「K-ETA一時免除期間延長のお知らせ」
- K-ETA公式「よくある質問」
- ANA「ANAジュニアパイロット(お子様のみでご利用のお客様)(国際線)」
- 留学サービス審査機構(J-CROSS)