フィリピン留学をおすすめしない理由|向かない人と後悔しない選び方
フィリピン留学をおすすめしないと言われる理由を、講師の英語やスパルタ校などの学習面と、治安・水・台風などの生活面に分けて整理しました。向かない人と向く人の判断の目安、後悔しない学校と時期の選び方、授業料以外の費用も分かります。

「フィリピン留学はやめとけって聞くけど、本当なのかな」。費用の安さやマンツーマンの授業に惹かれる一方で、英語の訛りで力がつかないのでは、治安や衛生は大丈夫なのか、不安が先に立つ方は多いのではないでしょうか。申し込んでから後悔したくないという迷いも重なります。
そこで本記事では、フィリピン留学をすすめないと言われる理由を、学習面と生活面に分けて、どの程度の問題で、どう避けられるかまで整理します。自分に向くかを判断する表もあるので、行くかどうかを納得して決められるはずです。
あわせて、後悔しないための学校と時期の選び方や、授業料以外にかかる費用も同じ流れで解説します。
フィリピン留学をすすめないと言われる学習面の理由
学習面で「すすめない」と言われる理由は、講師の英語・授業の厳しさ・講師との相性・日本人の多さの4つです。どれも学校の選び方と本人の目的しだいで影響が大きく変わるため、理由ごとにどの程度の問題かを確かめましょう。
講師の英語はネイティブの英語と同じではない
フィリピンの講師の多くは英語を母語としないため、ネイティブの発音や言い回しをそのまま学びたい人には物足りないことがあります。とはいえ、JASSO(日本学生支援機構)によると英語はフィリピンの公用語の1つで、外務省も病院で医師と英語で話せると案内しています。
フィリピンの英語の良し悪しを示す公的なデータはないため、「訛りが強くて使えない」とも「ネイティブと同じ」とも言い切れません。日本大学の研究者が2023年にセブの語学学校で日本人留学生16人に行った調査では、全員が「満足」以上と答え、9割弱が次は英語を母語とする国などへの留学を考えていました。英語圏へ進む前の足がかりとして使う人もいるので、目的に合わせて考えましょう。
スパルタ校は授業量が多く外出も制限される
セブの語学学校では、早朝から夜までマンツーマンの授業を受ける「スパルタ」型が主流です。先ほどの研究者の報告では、校内で生活が完結するつくりは、学習に集中させるためと、周りの治安のために不要な外出をさせないためだと説明されています。
JASSOの2024年の体験レポートでも、自習を含めて平日1日約10時間学んだ人がいます。自分で勉強を続けるのが苦手な人には合う一方、自由に過ごしたい人には窮屈に感じやすいでしょう。最近は時間割を選べる学校や、寮の外から通える学校もあり、学校の形は多様になってきました。
マンツーマンは講師との相性で伸び方が変わる
マンツーマンの授業は、講師との相性や授業の進め方が合うかどうかで、伸び方が大きく変わります。セブで2か月学んだ人は、体験談で次のように振り返っています。
さらに、講師との相性や授業内容にばらつきがあるため、自分から改善をお願いしたり調整する必要があり、その点は少し負担に感じました。
この人の話は体験談のページで読めます。申し込む前に、講師を変えられるか、授業の内容を相談できる仕組みがあるかを学校に確かめておくと安心です。
学校や時期によって日本人が多いことがある
学校や時期によっては日本人の学生が多く、日本語で過ごす時間が増えてしまうことがあります。先ほどの研究者が訪ねた1校では、2023年の時点で学生の40%が日本人でした。
ただし、JASSOの体験レポートには、2014〜15年にバギオの学校で日本人が1人しかいなかったという声もあり、同じ人が次に通った学校では日本人が多かったと書いています。割合は学校ごとにまったく違うので、申し込む前に国籍の割合と時期を学校に聞いておきましょう。
フィリピン留学で後悔しやすい生活面の理由
生活面で後悔しやすいのは、治安・水と食事・台風や停電・働けないことの4つです。いずれも事前に知って備えれば軽くできるものが多く、「知らずに行った」ことが後悔につながりやすいといえます。
語学学校の多い地域も日本より犯罪が多い
セブやバギオ、マニラ首都圏など語学学校の多い地域は、2024年12月に出された外務省の危険情報で、4段階のうち最も低いレベル1(十分注意してください)です。一方、ミンダナオ地方の一部にはレベル3(渡航は止めてください)の地域があります。
レベル1でも、日本より犯罪は多めです。外務省によると、2024年のフィリピンの強盗は日本の約3倍、殺人は約4倍で、睡眠薬を使った強盗の被害報告もほぼ毎月大使館に寄せられています。在セブ日本国総領事館も、知り合ったばかりの人と飲食をともにしないよう呼びかけています。流しのタクシーを使わない、夜の一人歩きを避けるといった基本の対策を守り、最新の危険情報は外務省の海外安全ホームページでご確認ください。
水道水は飲めず食中毒にかかりやすい
フィリピンの水道水は飲むのに向かず、食中毒は最もよく見られる病気です。外務省の「世界の医療事情」は、食事は清潔な店でよく加熱した物を選ぶよう勧め、蚊が運ぶデング熱も毎年流行していると注意しています。
セブシティで語学留学をした人も、体験談で次のように助言しています。
ローカルの水は口に入れると、日本人はお腹を壊しがちです。
この人の話は体験談のページで読めます。歯みがきやうがいにも飲料水を使い、虫よけを持って行くと、体調を崩すリスクを減らせるでしょう。
台風や停電で生活や通信が止まることがある
フィリピンは台風が多く、停電や断水、交通の乱れで生活や通信が止まることがあります。フィリピンの気象庁PAGASAによると、周辺に入る熱帯低気圧は年平均約20個で、そのうち8〜9個がフィリピンを横切り、ピークは7〜10月です。
在セブ日本国総領事館は2024年の案内で、セブを含むビサヤ地方の台風シーズンを8〜12月頃とし、2021年12月の台風では電気・水道・通信に大きな被害が出たと伝えています。休講になることもあるので、台風の多い時期を避けるか、学校に停電のときの備えを確かめておくと安心です。
留学中に働いて費用を補うことはできない
フィリピンでは、留学しながら働いて費用を補うことはできません。日本とフィリピンの間にワーキングホリデーの協定はなく(2026年10月時点)、外務省によると、外国人がフィリピンで働くには労働雇用省の就労許可と労働ビザが必要です。
JASSOも、報酬のある仕事には特別な許可が要り、留学生が取るのは難しいと説明しています。費用はすべて日本で用意する前提で計画を立てましょう。最新の制度は外務省やフィリピン政府の公式サイトでご確認ください。
フィリピン留学をおすすめしない人と向いている人
フィリピン留学をすすめないのは、ネイティブの英語を重視する中上級者と、不便な暮らしや規則に強いストレスを感じる人です。反対に、初級〜中級で話す量を増やしたい人には合いやすく、次の表に当てはめると自分がどちらに近いか判断できます。
当てはまること | 判断の目安 |
|---|---|
ネイティブの発音や表現を重点的に学びたい | 英語圏の国と組み合わせる |
停電や断水が強いストレスになる | 英語圏の国を選ぶ |
門限や外出制限は避けたい | 寮の外から通える学校を探す |
英語は初級〜中級で話す量を増やしたい | フィリピンが合いやすい |
費用を抑えて短期で集中したい | フィリピンが合いやすい |
欧米の留学やワーホリの前に基礎を固めたい | 2か国留学を考える |
この表は、JASSOの体験レポートや日本大学の研究者の報告、外務省の安全・医療の情報をもとにした目安です。上の3つに強く当てはまる人ほど、行く前に学校の条件をよく確かめましょう。
ネイティブの発音を重視する中上級者には物足りない
英語がすでに中上級で、ネイティブの発音や細かな言い回しを身につけたい人には、フィリピンだけでは物足りないことがあります。フィリピンの講師の多くは英語を母語としないため、ネイティブの話し方に慣れることが目的なら、英語圏で過ごす時間が欠かせないからです。
こうした人は、フィリピンで話す量を増やしてから英語圏の国へ移る形や、はじめから英語圏の国を選ぶ形が向いています。
不便な暮らしや規則に強いストレスを感じる人
停電や断水、相部屋の寮、門限などの決まりに強いストレスを感じる人も、後悔しやすいタイプです。トビタテ!留学JAPANの留学大図鑑には、セブの寮でトイレットペーパーを流せないことに最初は戸惑ったものの、1週間ほどで慣れたという高校生の体験が載っています。
慣れられるかどうかは人それぞれです。不安が大きい人は、個室の寮やホテルから通える学校を選ぶと、ストレスを減らせるでしょう。
初級〜中級で話す量を増やしたい人には合う
英語が初級〜中級で、とにかく話す量を増やしたい人には、フィリピン留学が合いやすいといえます。JASSOの2024年の体験レポートでは、29歳になるまで英語に縁がなかった人が、費用が安いわりにマンツーマンの授業が多いことを理由にフィリピンを選び、その後カナダのカレッジへ進みました。
先ほどの日本大学の研究者の調査で、セブを選んだ理由の上位も、「費用が安い」「距離が近い」「マンツーマンレッスンが魅力的」でした。目的がはっきりしていれば、フィリピンは有力な選択肢になります。
フィリピン留学で後悔しないための選び方
後悔を防ぐには、申し込む前に授業の形・寮の決まり・学校の認可・時期の4点を確かめ、出発前に基礎の英語を固めておくことです。学校選びや費用の詳しい比べ方は、フィリピン留学のガイドでもまとめました。
授業の形と寮の決まりを申し込み前に確かめる
同じフィリピンの語学学校でも、授業の形と寮の決まりは学校ごとに大きく違います。JASSOによると、民間の語学学校には一般英語(ESL)のほか、その強化版や試験対策、大学進学の準備のコースがあり、費用に寮費が含まれるかどうかも学校しだいです。
門限や外出の決まり、講師を変えられるかも聞いておきましょう。授業は受け身にならないことも大切で、マニラで2か月学んだ人は次のように助言しています。
マンツーマン授業が中心なので、講師に任せきりにするのではなく、自分から「ここを直してほしい」「この表現を使えるようになりたい」と積極的に要望を伝えるだけで成長スピードが大きく変わります!
この人の話は体験談のページで読めるので、出発前に目を通しておくのもおすすめです。
入国管理局の認可を学校に確かめる
フィリピンで外国人の学生を受け入れる学校は、入国管理局の認可を受ける必要があります。入国管理局は認可を受けた学校の一覧を公開していますが、2026年4月1日に更新された一覧には「整備中」と注記されており(2026年10月時点)、載っていないことだけで判断はできません。
申し込む前に、認可を受けているか、学生の許可証の手続きを代行してくれるかを学校に直接聞きましょう。職業訓練を管轄するTESDAにコースを登録している語学学校もあり、その場合はTESDAの公式サイトで確かめられます。
日本人が増える時期と台風の時期を考える
出発の時期は、日本人の学生が増える時期と台風の多い時期を考えて選ぶのが安心です。2008年に留学した人のJASSOの体験レポートには、日本の大学の休みの時期に日本人の学生が増えたという声があります。当時の一例ですが、英語を使う環境を重視するなら、その時期を外すのも1つの方法です。
台風はフィリピン全体では7〜10月がピークで、セブを含むビサヤ地方では8〜12月頃が台風シーズンとされています。行く地域の季節と台風の時期を、出発前に合わせて確かめましょう。
出発前に単語と文法を固めておく
フィリピン留学の効果を上げるには、出発前に基礎の単語と文法を固めておくことが欠かせません。先ほどのJASSOの体験レポートの人は、基礎をやり直して臨んだものの準備不足だったと振り返り、もっと高いレベルにしてから「英語を使う練習」として留学すると効率がよいと書いています。
トビタテ!留学JAPANの留学大図鑑でも、セブで28日間学んだ高校生が、単語力をもっと強化しておけばよかったと振り返っています。授業で話す時間を生かすには、話す材料になる語彙を日本で増やしておきましょう。
フィリピン留学の費用は授業料以外も見る
フィリピン留学は授業料の安さが魅力とされますが、「安いから」だけで決めると後悔しやすくなります。30日を超える滞在の手続きや、病気やけがに備える保険まで含めて総額で比べましょう。
授業料は欧米と条件をそろえて比べる
フィリピンの語学学校の授業料は、寮費を含むかどうかで大きく変わるため、欧米と比べるときは条件をそろえる必要があります。JASSOが2024年の調査で紹介している学費の例は次のとおりです。
コースの例 | 4週間 | 12週間 |
|---|---|---|
一般英語・寮費なし | 810米ドル | 2,430米ドル |
IELTS対策・寮費なし | 905米ドル | 2,850米ドル |
集中コース・個室の寮費込み | 1,880米ドル | 5,640米ドル |
同じJASSOの例では、オーストラリアの大学付属の一般英語は授業料だけで週460豪ドル、カナダの私立語学学校は授業料だけで4週間1,000〜1,500カナダドルです。カナダの私立校とフィリピンの寮費なしのコースは、円に直すと近い価格帯になることもあります。フィリピンには寮費込みのコースもあるので、授業時間と滞在費まで含めた総額で比べましょう。金額は2024年の調査時点のもので、最新は各学校の公式サイトでご確認ください。
30日を超えるとSSPや滞在延長の手続きが要る
観光などで30日以内ならビザはいりませんが、語学学校で学ぶには、滞在日数に関係なく入国後に入国管理局で「SSP(特別留学許可)」を申請します。外務省によると、30日を超えるときは期限前に滞在を延長し、さらに外国人登録証(ACR I-Card)を取れば最長36か月まで滞在できます。
6か月以上滞在して出国するときは、事前に出国許可証も必要です。手数料は変わることがあるため、手続きを代行してくれるかどうかも含めて、学校に総額と期限を確かめておきましょう。最新はフィリピン入国管理局や駐日フィリピン大使館の公式サイトでご確認ください。
医療費に備えて海外旅行保険に入る
フィリピンで病気やけがをすると、医療費が高額になることがあります。在セブ日本国総領事館は2024年6月の案内で、日本と同じ水準の治療を受けると数百万円単位、日本へ緊急に移送すると数千万円単位の費用がかかる場合があるとしています。
海外旅行保険は一般に日本を出る前にしか入れないため、十分な補償額で入ってから出発しましょう。外務省も、受診時に治療費の前払いを求められることがあるとして、現金やクレジットカード、保険の証書を用意するよう勧めています。補償の内容は保険会社の公式サイトで最新を確かめましょう。
よくある質問
フィリピン留学を迷っている人から、よく寄せられる疑問にお答えします。
フィリピンでワーホリはできますか?
できません。日本とフィリピンの間にワーキングホリデーの協定はなく、外務省が公表している協定先の32か国・地域にフィリピンは入っていません。語学留学はSSPなどの許可で学ぶ形で、働くことはできないので、費用は日本で用意しましょう。
フィリピンから欧米へ行く2か国留学とは何ですか?
フィリピンで英語の基礎を固めてから、カナダやオーストラリアなど英語を母語とする国へ移って学ぶ方法です。JASSOの2024年の体験レポートにも、フィリピンで学んだ後にカナダのカレッジへ進んだ例があります。ワーホリと組み合わせる場合も、フィリピンにいる間は働けません。
治安が心配なときは何に気をつければいいですか?
多額の現金やパスポートを持ち歩かず、流しのタクシーは使わずに店やホテルで呼んでもらいましょう。在セブ日本国総領事館は、夜の一人歩きを避け、日本語で話しかけてくる人にも注意するよう勧めています。3か月以上滞在する人は在留届を出し、3か月未満なら外務省の「たびレジ」に登録して安全情報を受け取りましょう。
まとめ
フィリピン留学をすすめないと言われる理由は、講師の英語や授業の厳しさといった学習面と、治安・衛生・台風といった生活面にあります。ネイティブの英語を重視する中上級者や、不便な暮らしが強いストレスになる人には向きにくい一方、初級〜中級で話す量を増やしたい人には有力な選択肢です。
まずは目的と英語力を整理し、気になる学校に授業の形・寮の決まり・認可を確かめましょう。学校や費用を詳しく比べたいときは、フィリピン留学のガイドが参考になります。
この記事の出典
- 外務省 海外安全ホームページ「フィリピンの危険情報」
- 外務省 海外安全ホームページ「フィリピン 安全対策基礎データ」
- 外務省「世界の医療事情 フィリピン」
- 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
- 外務省 広域情報「台風シーズンの注意」
- 在セブ日本国総領事館「安全の手引き」
- JASSO 海外留学情報サイト「フィリピン」
- JASSO 海外留学情報サイト「留学の手続き(フィリピン)」
- JASSO 海外留学情報サイト「語学留学(フィリピン)」
- JASSO 海外留学情報サイト「生活情報(フィリピン)」
- JASSO 海外留学体験レポート(フィリピン)
- JASSO 海外留学体験レポート(フィリピン・バギオ)
- JASSO 海外留学体験レポート(フィリピン・2008年)
- JASSO 海外留学情報サイト「語学留学(オーストラリア)」
- JASSO 海外留学情報サイト「語学留学(カナダ)」
- フィリピン入国管理局「Special Study Permit」
- フィリピン入国管理局「Accredited Entities」
- TESDA「Registered Programs」
- PAGASA「Tropical Cyclone Information」
- 日本大学 秋葉倫史「令和4年度海外派遣研究員(短期B)報告 −フィリピンの英語教育に関する調査−」
- トビタテ!留学JAPAN 留学大図鑑(セブ3週間)
- トビタテ!留学JAPAN 留学大図鑑(セブ28日)