社会人のカナダ留学は期間で決まる|ビザ・働ける条件・都市の選び方
社会人のカナダ留学は、6か月以内なら学生ビザなし、長く学ぶなら学生ビザ、30歳以下ならワーホリが基本です。語学学校とカレッジで違う働ける条件、卒業後の就労ビザ、トロントとバンクーバーの比べ方、資金証明の額まで分かります。

「社会人になった今からカナダ留学をして、本当に意味があるのだろうか」。仕事を辞めるか休むか、どのビザで行けば働けるのか、30代でも浮かないか。費用や帰国後の仕事のことまで考えると、迷いは重なるばかりです。そんな不安から、一歩を踏み出せずにいる方は少なくないはずです。
そこで本記事では、社会人がカナダで学ぶ方法を、6か月以内・学生ビザ・ワーホリの3つに分けて、学べる期間と働ける条件で比べます。自分の休める期間と年齢を当てはめれば、選べる方法がすぐに見えてくるでしょう。
あわせて、留学後にカナダで働くための条件や、トロントとバンクーバーの選び方、学生ビザで用意する書類とお金も同じ流れで解説します。
社会人のカナダ留学は期間でビザが変わる
社会人のカナダ留学は、何か月学ぶかで必要なビザが変わります。6か月以内なら学生ビザなしで学べ、それより長いなら学生ビザ、30歳以下で働きながら滞在したいならワーホリが選択肢です。
方法 | 学べる期間の目安 | 現地で働けるか | 向いている人 |
|---|---|---|---|
学生ビザなし | 6か月以内 | 働けない | 休職や長期休暇で短く学ぶ人 |
学生ビザ | 課程の期間 | 課程によって働ける | カレッジや大学で資格を取る人 |
ワーホリ | ワーホリの滞在期間 | 働ける | 30歳以下で働きながら学ぶ人 |
2026年10月時点のカナダ移民局(IRCC)と外務省の案内によります。制度は変わることがあるため、最新は公式サイトでご確認ください。
6か月以内なら学生ビザなしで学べる
カナダでは、6か月以内で終わる課程なら学生ビザ(study permit)を取らずに学べます。IRCCによると、その課程が長い課程の一部ではなく、入国時に認められた滞在期間の中で終わることが条件です。
日本人が飛行機で入国するときは、学生ビザが要らなくても電子渡航認証(eTA)が必要です。休職や有給休暇を組み合わせて数週間〜数か月だけ学ぶ社会人には、手続きが少ないこの方法が使いやすいでしょう。
6か月を超えるなら学生ビザが必要
6か月を超えて学ぶ場合は、出発前に学生ビザの申請が必要です。6か月の課程を足がかりに、もっと長い課程へ進むつもりの人も、IRCCは入国前の学生ビザの申請を勧めています。
学生ビザでは、学校の入学許可書と、授業料に加えて生活費を払えることの証明が求められます。仕事を辞めてカレッジで資格を取るなど、半年以上かけて学び直したい社会人は、この方法を選ぶことになるでしょう。
30歳以下ならワーホリで働きながら学べる
30歳以下なら、ワーキングホリデーで働きながら語学学校に通うのも一つの方法です。外務省によると、2026年4月1日時点でカナダのワーホリの年間の発給枠は6,283人で、日本人は生涯2回まで参加できます。2回目の申請の受け付けは、2025年4月1日に始まりました。
ワーホリなら学生ビザと違い、働く時間の制限を気にせず生活費を補えます。英語を学びながら現地で働く経験も積みたい社会人に向いていますが、申請は抽選制で、2026年シーズンの受付はすでに終わっています。次のシーズンの受付開始をIRCCの発表で確かめておきましょう。申請の流れはカナダのワーホリのページで確かめてください。
語学学校とカレッジで違う働ける条件
学生ビザで現地で働けるかは、どの学校のどの課程に通うかで決まります。語学学校の英語の課程だけでは学外で働けず、カレッジなどで6か月以上の資格の課程に通えば、授業期間に週24時間まで働けます。
語学学校だけでは学外で働けない
英語やフランス語を第二言語として学ぶ課程(ESL・FSL)だけに通う人は、学生ビザがあっても学外で働けません。IRCCは、学外で働けない例としてこの場合をはっきり挙げています。
語学学校に通いながら生活費を稼ぎたい社会人は、学生ビザではなくワーホリを選ぶか、働かずに暮らせる資金を用意する必要があります。「留学なら働ける」と思い込まずに、通う課程で決まると覚えておきましょう。
カレッジの課程なら授業期間は週24時間まで
指定された教育機関で、6か月以上かけて学位や資格を取る課程にフルタイムで通う人は、授業期間に週24時間まで学外で働けます。決められた長期休みの間は、時間の制限がありません。BC州の最低賃金の時給18.25カナダドルで週24時間働くと、1週間でおよそ438カナダドルになる計算です。
カナダのカレッジには、仕事に直結する1〜2年ほどの資格の課程がそろっています。日本での職歴を生かして専門を学び直したい社会人は、働ける条件も含めてカレッジの課程を比べるとよいでしょう。
課程に含まれる実習は2026年から許可不要
カレッジや大学の課程に、修了に必要な職場での実習(Co-op)が含まれている場合、2026年4月1日からは高等教育の学生は実習のための就労許可を取らなくてよくなりました。IRCCが案内しています。
ただし、フルタイムで通っていること、実習が課程全体の50%以下であること、学校からの証明などが条件です。英語の課程や趣味の講座の実習は対象外なので、「Co-op付き」とうたうプログラムは、どの課程に含まれる実習なのかを確かめましょう。
留学後にカナダで働くための条件
カレッジや大学を卒業したあとカナダで働くには、卒業後の就労ビザ(PGWP)の条件を満たす必要があります。課程の長さ、英語力、カレッジなら学ぶ分野の3つが主な条件になります。
卒業後の就労ビザは8か月以上の課程が対象
卒業後の就労ビザ(Post-Graduation Work Permit)を申請できるのは、8か月以上の課程を修了した人です。IRCCによると、ケベック州の課程なら900時間以上が条件とされています。
2024年9月1日以降に始まる課程では、カナダの外でオンラインで学んだ期間は就労ビザの期間から差し引かれ、課程の半分以上はカナダで対面で学ぶ必要があります。卒業後にカナダで働くことまで考えるなら、課程の長さと、カナダで学ぶ期間を出願前に確かめておきましょう。
英語力は大学がCLB7、カレッジがCLB5
卒業後の就労ビザには英語力の条件もあります。大学の学士・修士・博士を出た人は、カナダの英語力の基準(CLB)で4技能すべてCLB7以上、カレッジなどを出た人はCLB5以上が必要です。
CLBは、カナダ政府が移民の英語力を測るために使う12段階の物差しです。社会人の留学では、学校の授業についていく英語力に加え、卒業時にこの基準を満たせるかも計画に入れておく必要があります。
カレッジは対象の分野が決まっている
カレッジの課程を出て就労ビザを申請する場合は、対象の分野で学んだことも条件です。2024年11月1日以降に学生ビザを申請した人が対象で、人手不足が続く職業に結びつく分野が指定されています。
大学の学士・修士・博士には、この分野の条件がありません。カナダで働く道まで考える社会人は、学びたい分野が対象に入っているかを、出願前にIRCCの一覧で確かめましょう。
トロントとバンクーバーの選び方
社会人に人気のトロントとバンクーバーは、最低賃金・家探し・冬の過ごしやすさで比べると選びやすくなります。どちらも家賃が高く、住まい探しが最初の壁になる点は同じです。
比べる点 | トロント | バンクーバー |
|---|---|---|
州 | オンタリオ州 | ブリティッシュ・コロンビア州 |
最低賃金 | 時給17.95カナダドル | 時給18.25カナダドル |
冬の特徴 | 寒さが厳しい | 雨が多く日が短い |
最低賃金はオンタリオ州が2026年10月1日、BC州が2026年6月1日からの額です。冬の特徴は、それぞれの都市に滞在した人の体験談によります。
最低賃金はバンクーバーのあるBC州が高い
最低賃金は、バンクーバーのあるBC州が時給18.25カナダドル、トロントのあるオンタリオ州が17.95カナダドルです。カナダでは最低賃金を州ごとに決めています。
差は時給0.3カナダドルほどなので、最低賃金だけで都市を決める必要はありません。ワーホリや学生ビザで働く予定の人は、家賃とのバランスや、自分の職歴を生かせる仕事の多さもあわせて比べましょう。
どちらの都市も家探しが最初の壁
トロントでもバンクーバーでも、家探しは到着してすぐにぶつかる大きな壁です。26歳でトロントに1年1か月滞在した人は、Study Work Hubの体験談にこう書いています。
現在は空前の住宅難で、内見に行ってもその場で即決しなければ数時間後には埋まってしまうという過酷な状況でした。
この人は、日本にいるうちから現地の掲示板で相場と治安を調べて動き出したそうです(トロントの体験談を読む)。30歳でバンクーバーに11か月滞在した人も、家賃が高く条件の良い部屋はすぐ埋まると振り返っています(バンクーバーの体験談を読む)。到着後しばらくは短期の宿に泊まり、その間に部屋を探す前提で予算を組むと安心です。
冬はトロントが寒く、バンクーバーは雨が多い
冬の過ごし方は、トロントとバンクーバーで大きく違います。トロントに滞在した人は、冬はマイナス20度を下回る日もあり、気持ちを保つのが課題だったと書いています(体験談を読む)。
バンクーバーに25歳で11か月滞在した人は、冬は雨が多く日が短いので気分が落ち込みやすかったと振り返っています(バンクーバーの体験談を読む)。寒さが苦手ならバンクーバー、雪の季節も楽しめるならトロントと、出発の時期とあわせて考えましょう。
学生ビザの申請で用意する書類とお金
学生ビザの申請では、授業料に加えて生活費を払える資金の証明と、多くの場合は州の証明書が必要です。6か月以内の短期でも、飛行機で入国するなら電子渡航認証eTAを申請します。
生活費の証明は1人で23,448カナダドル
学生ビザの申請では、授業料と往復の交通費に加えて、1人なら1年分の生活費として23,448カナダドルを持っていることを証明します。IRCCによると、2026年9月1日以降に申請する人の金額で、ケベック州は別の基準です。1年を超える課程では、残りの期間の払い方も説明が必要です。
社会人は貯金で証明する人が多いはずですが、授業料と合わせると大きな金額になります。退職して長く学ぶ計画なら、この証明額を最初の目標にして、貯金の計画を立てましょう。
多くの人は州の証明書が必要
学生ビザを申請する人の多くは、州や準州が発行する証明書(PAL・TAL)を出す必要があります。カナダが学生ビザの数に上限を設けているためで、証明書は入学する学校を通して手配します。
ただし、2026年1月1日からは、公立の教育機関の修士課程・博士課程に入る人は不要になりました。2026年の証明書は2026年12月31日まで有効なので、出願の時期と合わせて学校に確かめましょう。
6か月以内でも電子渡航認証eTAが必要
学生ビザが要らない6か月以内の短期留学でも、日本人が飛行機でカナダに入るには電子渡航認証(eTA)が必要です。申請料は7カナダドルで、オンラインで申し込めます。eTAは最長5年、またはパスポートの期限が切れるまで使えるので、短期の留学を何度か繰り返す人も一度取れば済みます。
申請は公式サイトから行いましょう。手数料を上乗せする代行サイトもあるため、カナダ政府のページから手続きすると安心です。航空券を取ったら早めに済ませておくと、出発直前に慌てずにすみます。
よくある質問
社会人のカナダ留学で、よく出る質問への答えをまとめました。
30代からでもカナダ留学できますか?
できます。ワーホリは30歳以下ですが、学生ビザや6か月以内の短期留学なら31歳以上でも学べます。IRCCが示す学生ビザの条件には、年齢の上限は書かれていません。
仕事を辞めずにカナダで学べますか?
6か月以内の課程なら学生ビザなしで学べるので、休職や長期休暇を使って学ぶ方法があります。休める期間を会社に確かめてから、期間に合う課程を探しましょう。
語学学校に通いながらアルバイトできますか?
学生ビザで語学学校の英語の課程だけに通う場合、学外では働けません。働きながら英語を学びたいなら、30歳以下はワーホリ、31歳以上はカレッジの資格の課程を検討しましょう。
留学のあとカナダで就職できますか?
8か月以上の課程を修了し、英語力などの条件を満たせば、卒業後の就労ビザを申請できます。カレッジは対象の分野が決まっているため、出願前にIRCCの案内で確かめておきましょう。
まとめ
社会人のカナダ留学は、6か月以内なら学生ビザなし、それより長いなら学生ビザ、30歳以下ならワーホリが基本の選択肢です。語学学校だけでは学外で働けないため、働きながら学ぶならワーホリかカレッジの課程を選びましょう。
次にやることは、休める期間と予算を書き出し、表の3つの方法のどれに当てはまるかを決めることです。費用の目安は社会人の留学費用の記事で確かめられます。学生ビザで長く学ぶなら、生活費の証明額の23,448カナダドルを貯金の最初の目標にすると計画を立てやすくなります。
この記事の出典
制度・金額は2026年10月28日に各公式サイトで確認しました。最新は各公式サイトでご確認ください。
- IRCC「Study permit: Who can study without a permit」
- IRCC「Proof of financial support」
- IRCC「Provincial or territorial attestation letter」
- IRCC「Work off campus as an international student」
- IRCC「Student work placements」
- IRCC「Post-graduation work permit: Eligibility」
- IRCC「Apply for an eTA」
- IRCC Help Centre「I want to study in Canada for less than 6 months. Do I need a study permit?」
- IRCC Help Centre「eTA」
- IRCC「International Experience Canada: Rounds of invitations」
- 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
- Government of Ontario「Minimum wage」
- Government of British Columbia「Minimum wage」