ワーホリに飽きたのは甘え?原因の見分け方と立て直す打開策
ワーホリ中に「飽きた」と感じるのは甘えではありません。楽しさが薄れる心のしくみと、毎日の往復・英語・日本人の輪・目的の4つのタイプで原因を見分ける方法、残りの期間を立て直す打開策、心の不調との見分け方と日本語で相談できる窓口をまとめました。

「ワーホリに来て数か月、毎日が同じで正直飽きてきた」。英語も仕事も伸び悩み、日本の同世代と比べて焦るのに、周りには本音を言えない。このまま続けるべきか、途中で帰るべきかと、一人で迷っている方もいるでしょう。
そこで本記事では、飽きた原因を4つのタイプで見分け、残りの期間を立て直す打開策を、負担の小さい順に整理します。飽きる理由が分かるだけでも気持ちが少し軽くなり、今の自分に合う一歩を無理なく選べるはずです。
同じ流れで、飽きと心の不調の見分け方や、海外から日本語で24時間相談できる窓口、2年目や2か国目という選択肢についてもまとめています。
ワーホリで飽きるのはよくあること
渡航から数か月たって毎日に飽きてくるのは、多くの人に起こりうる自然な変化です。新しい環境の楽しさが薄れるのは心のしくみで、飽きる時期や深さも人によって違うため、自分を責める必要はありません。
楽しさが薄れるのは心のしくみ
良い出来事や環境の変化で得た楽しさが時間とともに薄れることを、心理学では「快楽順応」と呼びます。米国の大学生481人を3か月追った研究では、変化をありがたく思い続けることと、体験に変化をつけ続けることが、楽しさが薄れるのを遅らせると示されました(Sheldon & Lyubomirsky, 2012)。
海外生活を調べた研究ではありませんが、来たばかりのころの新鮮さが薄れるのは、気持ちが弱いからではないと考えられます。退屈は、今の目標が役目を終えたときに次の目標を探すよう人を動かす合図だという考え方もあります(Bench & Lench, 2013)。
停滞する時期と深さは人によって違う
異文化に慣れる流れは、1960年に人類学者のオバーグが「ハネムーン期」から始まる4つの段階で説明し、最初の高揚は数日から6か月まで続くと書いています(Oberg, 1960)。北海道大学の留学生向けの案内も4つの段階で説明しつつ、全ての人が同じように経験するものではないと添えています(北海道大学の案内)。
50か国以上から来た10代の高校交換留学生約2,500人(滞在8〜10か月)のストレスを追った研究では、途中でストレスが高まる型は4.9%だけで、多くの人は出発前より少し高いか少し低いまま、大きくは変わりませんでした(Demes & Geeraert, 2015)。大人のワーホリとは条件が違いますが、決まった時期に必ず落ち込むわけではないと考えられます。
経験者が大変だった点は英語・住まい・仕事
Study Work Hub編集部の「ワーホリ・留学実態調査2026」(2026年6月更新)で留学・ワーホリ経験者94人の体験談を集計すると、大変だった点に英語・語学の壁を挙げた人が70%、住居・シェアハウスが59%、仕事・求人探しが47%でした。孤独・人間関係を挙げた人も29%います。
一方で同じ調査では、96%が「また行きたい」と答えています。停滞する時期があっても、振り返ると行ってよかったと感じる人が多いことは、今の気持ちを長い目で見る材料になるでしょう。
飽きた原因を4つのタイプで見分ける
飽きた原因は、毎日が仕事と家の往復になった、英語が伸びない、日本人の輪から出られない、最初の目的を果たして次が見えない、の4つのタイプに分けると見えやすくなります。どれに当てはまるかで、打開策の向きが変わるはずです。
タイプ | よくある状態 | 打開策の向き |
|---|---|---|
毎日が往復 | 休日も同じ過ごし方 | 同じ街で体験を変える |
英語が伸びない | 会話に入れない | 話す場を増やす |
日本人の輪 | 職場も友人も日本人 | 職場や住まいを変える |
目的を果たした | やりたいことがない | 小さな目標を置き直す |
毎日が仕事と家の往復になった
仕事が決まって生活が回りはじめると、平日は職場と家の往復、休日も同じ過ごし方という日々になりやすくなります。生活を回すという最初の目標を果たしたからこそ、刺激が減ったと感じるのかもしれません。
また、英語も学校に通っていない分、自然に伸びるわけではなく、こちらから会話に入っていかないと同じ毎日の繰り返しになりがちでした。
シドニーに8か月滞在した27歳の人の言葉です(体験談を読む)。自分から動く場面をつくらないと毎日が変わりにくかった、という本人の振り返りです。
英語が伸びず会話に入っていけない
英語が思うように伸びないと、職場や家でも会話に入れず、同じ人とだけ話す毎日になりがちです。外務省が2023年に海外に住む日本人を対象に行った調査(5万5,336人分を集計)では、現地の言葉が「片言での意思疎通が可能」な人で孤独を感じる割合が47.9%と最も高く、「流ちょう」な人は39.1%でした(外務省の調査結果のポイント)。
片言より上では、言葉ができる人ほど孤独を感じる割合が低くなっていました。話す機会を少しずつ増やすことは、孤独や停滞を和らげる助けになるかもしれません。
日本人の輪から出られない
職場も友人もシェアハウスも日本人ばかりだと、安心できる反面、日本にいるときと変わらない毎日になってしまうこともあるでしょう。オバーグの1960年の論文も、慣れる途中の時期に同じ国の人で固まる行動を描いています。
また、そのような環境に甘えてしまい、せっかく海外にいるのに結局日本人とばかり仲良くしていたために、海外の友達ができないまま帰国するという結果にも繋がってしまいます。
バンクーバーでワーホリをした24歳の人の、後輩への助言です(体験談を読む)。ただ、日本人のつながりを断つ必要はなく、その支えを保ちながら、現地の人と話せる場を一つ足すのが現実的です。
最初の目的を果たして次が見えない
英語に慣れる、仕事を見つける、海外で暮らしてみるといった最初の目的を果たすと、次にやりたいことが見えなくなることがあります。退屈は次の目標を探す合図という考え方に沿えば、飽きは目標を置き直すタイミングと受け止められるはずです。
残りの期間で試せる小さな目標を置くと、毎日の過ごし方が変わります。行ったことのない町に行く、英語で何か一つ習い事をする、帰国後に生かしたい経験を一つ決めるなど、1か月で手応えが出るものから選ぶとよいでしょう。
残りの期間を立て直す打開策
立て直す方法は、同じ街のまま体験に変化をつける、職場を変える、地方や別の都市へ移る、2年目や2か国目で目先を変える、の順に負担が大きくなります。原因が今の街そのものでなければ、まずは小さな変化から試すのがおすすめです。
同じ街のまま体験に変化をつける
体験に変化をつけ続けることは、楽しさが薄れるのを遅らせる方法の一つとされています。休日に行ったことのない場所へ出かける、地域のイベントに参加するなど、引っ越しをしなくても変えられることはたくさんあります。
休日にフェリーに乗って景色を見るだけで、昨日うまくいかなかったことをいったん脇に置けました。
シドニーに8か月滞在した27歳の人の体験です(体験談を読む)。英国とノルウェーの留学生への聞き取りでも、人と知り合う時間や言葉の練習、目的のある活動への参加が、慣れる次の段階に進むきっかけになっていました(Dailey-Strand ほか, 2021)。
職場を変えて現地の人と働く
職場の人間関係や仕事の中身に飽きているなら、同じ街で職場を変えるのが手軽な方法です。10代の交換留学生の研究では、滞在先で知り合った人に支えを求めることはストレスの低さと、母国の人に遠くから支えを求めることはストレスの高さと結びついていました。
日本人の同僚が2人しかいなく、その他の同僚は皆多国籍で英語力を伸ばす環境としては最高でした。
バンクーバーでワーホリをした24歳の人が、最初の日本食レストランのあと、知り合いに紹介してもらったグロッサリーストアに移ったときの振り返りです(体験談を読む)。オーストラリアでは2026年10月時点で、飲食店や観光の仕事なら同じ雇用主のもとで6か月を超えて働けるため、職場を変えるかは飽きの原因が職場にあるかで決めましょう。これは2024年1月からの例外で、政府が見直すまでの扱いです(豪州内務省の6か月ルールの案内)。最新は公式サイトでご確認ください。
地方や別の都市へ移る
原因が街そのもの、たとえば気候や街の規模、仕事の種類の少なさにあるなら、地方や別の都市へ移る方法があります。
都市部ではなく地方のファームで働いたことで、英語だけでなく生活力そのものが鍛えられたのが一番の収穫でした。
オーストラリアに1年1か月滞在した20歳の人の振り返りです(体験談を読む)。ただ、外務省の2023年の調査では孤独を感じる人の24.9%が「転居」を影響した出来事に挙げており、仕事と住まいを探し直す負担もかかるので、移る目的を決めてから動きましょう。
2年目や2か国目で目先を変える
1年で区切らず、2年目のワーホリで場所や働き方を変える人も増えています。豪州内務省の報告では、2024〜25年度に日本人へ発給された2回目のワーホリビザは4,126件で、前年度の2,579件から6割増えました(豪州内務省の報告書)。
ただし2年目は1年目のビザで指定の仕事を3か月、3年目は2年目のビザで6か月することが条件です(豪州内務省の2回目のビザの案内)。2026年9月には豪州政府が抽選の導入を発表したと報じられていますが(InDailyの報道)、2026年10月時点で開始時期や条件は内務省から公表されていないため、内務省の最新情報で確かめてください。
ほかの協定国で2か国目に行く道もあり、2026年10月時点でカナダ・スロバキア・韓国・台湾は同じ国に生涯2回参加できます(外務省のワーキング・ホリデー制度のページ)。年齢などの条件は国ごとに違うため、最新は公式サイトでご確認ください。
飽きと心の不調を見分ける目安
「飽きた」の中には、心の不調が隠れていることがあります。何をしても楽しめない状態が2週間以上続く、眠りや食欲に出ているといった場合は、環境を変えるより先に休んで相談しましょう。
2週間以上続くかと何をしても楽しめないか
国立精神・神経医療研究センターは、一日中気分が落ち込む、何をしても楽しめないといった症状に、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどが重なり、日常生活に大きな支障が出ている場合はうつ病の可能性があるとしています(こころの情報サイト)。引っ越しや就職のような環境の変化のあとにも起こることがあります。
好きなことは楽しめるかが手がかりの一つになりますが、それだけでは判断できません。厚生労働省の若者向けの冊子(2010年)は、気分の落ち込みや興味の低下を含む5つ以上の症状が2週間以上続くかを目安に挙げているので、楽しめることがあっても当てはまるなら、自己判断をせず専門家に相談してください(厚生労働省の冊子)。
季節や孤独で気分が沈むこともある
日照の短い季節や、孤独が重なる時期には、気分が沈みやすくなることがあります。
11月頃から数ヶ月間、どんよりとした曇り空と霧雨が続くため、日光を浴びられないストレスから気分が落ち込んでしまう「冬季うつ」のような状態になる人が多いです。
バンクーバーに11か月滞在した23歳の人の体験談です(体験談を読む)。外務省の2023年の調査では、孤独を「しばしばある・常にある」と答えた割合は20代が11.0%と最も高く、家族や友人との連絡が少ない人ほど孤独を感じやすい傾向でした。日本の家族や友人と話す時間を意識して取ることも、気持ちを支える助けになるでしょう。
日本語で相談できる窓口がある
外務省が委託する「在外邦人のための孤独・孤立相談窓口」では、海外に住む日本人が24時間365日、無料・匿名でチャットで相談できます(外務省の案内)。この窓口の2025年度の報告書には、複数の相談をもとに加工した20代の声として「帰国=失敗と感じます」「誰にも心配かけたくなくて、話すことができません」が載っています(相談窓口の報告書)。
病院にかかるなら、まず海外旅行保険の日本語の窓口に連絡し、病院の紹介や支払い方法を確かめましょう。心の不調の治療が補償されるかは契約によるので、保険証券で確認してください。今すぐ命の危険があるときは、オーストラリアは000、カナダは911に連絡してください。死にたいほどつらい気持ちを話したいときは、オーストラリアのLifeline(13 11 14)や、カナダの9-8-8(電話・テキスト)が24時間つながります。
よくある質問
ワーホリ中に「飽きた」と感じたときのことについて、4つの質問に短く答えます。
ワーホリで飽きるのは甘えですか?
甘えではありません。新しい環境の楽しさが時間とともに薄れるのは、多くの人に見られる心のしくみです。飽きは次の目標を探す合図と考え、何に飽きたのかを見分けることから始めましょう。
何か月目くらいで飽きやすいですか?
決まった時期はありません。1960年の論文では最初の高揚は数日から6か月まで続くとされますが、途中で大きく落ち込まない人が多いことを示す研究もあり、時期や深さは人によって違います。
日本人とばかりいるのはよくないですか?
悪いことではありません。日本人の支えは気持ちの安定に役立ちますが、それだけだと英語や現地の友人が増えにくいので、現地の人と話せる場を一つ足すのがおすすめです。
飽きたら帰国してもいいですか?
帰国を選ぶのも一つの判断で、失敗ではありません。ただ、飽きの原因が仕事や住まいなら同じ街で変えられることもあり、気分の落ち込みや何をしても楽しめない状態に、眠れない・食欲がないなどが重なって2週間以上続くなら、決める前に休んで相談しましょう。帰るかどうかの判断基準と手続きは、途中で帰るときの記事にまとめています。
まとめ
ワーホリで飽きるのは、新しい環境の楽しさが薄れる自然な変化で、甘えではありません。原因を4つのタイプで見分ければ、同じ街で体験を変える、職場を変える、街を移る、2年目を考えるといった打開策を選べます。気分の落ち込みや何をしても楽しめない状態に、眠れない・食欲がないなどが重なって2週間以上続くなら、環境を変える前に休んで相談しましょう。
まずは今週、行ったことのない場所に一つ出かけるか、現地の人と話す予定を一つ入れてみてください。続けるか帰るかで迷ったら、途中で帰るか決める判断基準も参考になります。
この記事の出典
- Sheldon & Lyubomirsky(2012)「The Challenge of Staying Happier」
- Bench & Lench(2013)「On the Function of Boredom」
- Oberg(1960)「Cultural Shock: Adjustment to New Cultural Environments」
- 北海道大学「カルチャーショックについて」
- Demes & Geeraert(2015)「The highs and lows of a cultural transition」
- 外務省「海外における邦人の孤独・孤立に関する実態把握のための調査(令和5年)結果のポイント」
- Dailey-Strand ほか(2021)「Those First Few Months Were Horrible」
- 豪州内務省「6 month work limitation」
- 豪州内務省「Working Holiday Maker visa program report(30 June 2025)」
- InDaily(2026年9月17日)の報道
- 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
- 国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト:うつ病」
- 厚生労働省「こころもメンテしよう」
- 外務省「在外邦人のための孤独・孤立相談窓口」
- 在外邦人のための孤独・孤立相談窓口運営業務 令和7年度報告書
- Lifeline Australia「13 11 14」
- 9-8-8 Suicide Crisis Helpline(カナダ)
- 豪州内務省「Second Working Holiday visa (subclass 417)」
- 豪州内務省「Working Holiday Maker program – latest news」