留学と就職を両立するには|就活の日程・準備と留学経験の伝え方
留学と日本での就職を両立するには、帰国時期と就活の日程を重ねて準備することが大切です。政府と大学が企業に求める留学者への配慮、留学の形ごとの就活の時期、留学中の準備、留学経験の伝え方、留学先で働くビザまで分かります。

「留学したいけれど、就職で不利にならないだろうか」。帰国が就活の時期と重ならないか、卒業が遅れたら新卒で応募できるのか。留学したい気持ちと同じくらい、そんな不安を抱えている方は多いはずです。周りが説明会に参加し始める時期に海外にいると考えると、焦りも生まれるでしょう。
そこで本記事では、国と大学が企業に求めている留学した学生への配慮と、留学の形ごとの就活のスケジュールを整理します。自分の帰国時期と就活の日程を重ねて、間に合わせる方法を考えられるでしょう。
あわせて、留学中にできる就活の準備や留学経験の伝え方、留学先でそのまま働くためのビザの条件も同じ流れで確かめていきましょう。
留学しても日本での就職は不利になりにくい
留学しても日本での就職が不利になりにくいよう、国と大学の両方が企業に配慮を求めているのが現状です。政府は留学した学生への幅広い採用の機会を、大学側の就職問題懇談会は選考で留学経験を評価することを企業に要請しています。
政府は企業に留学者向けの採用機会を求めている
政府は、海外に留学した日本人学生などに、さまざまな採用の機会を設けるよう企業に求めているのが出発点です。内閣官房・文部科学省・厚生労働省・経済産業省が2026年3月24日に経済団体などへ出した要請では、通年採用も含めた採用の機会を積極的に設けるよう呼びかけ、海外や国内のジョブフェアへの参加もその一つとしています。
国公私立の大学などでつくる就職問題懇談会も、同じ日に企業へ要請を出しました。決められた開始時期の後も一年を通して選考したり、留学した学生だけを対象にした選考を行ったりするよう求めています。ただし、どちらも企業へのお願いで、すべての企業が応じるとは限りません。志望する企業の採用ページで確かめましょう。
卒業後3年以内も新卒枠で応募できるよう要請
政府の要請は、卒業してから少なくとも3年以内の人が、新卒の採用枠に応募できるようにすることも企業に求めています。若者の雇用を進める法律にもとづく国の指針も踏まえた内容です。
留学で卒業が遅れたり、卒業後に留学したりしても、新卒として応募できる道は残されています。ただし応募できるかは企業ごとに違うため、「留学すると新卒のチャンスを逃す」と決めつけず、募集要項で自分の卒業時期が対象か確かめましょう。
選考で留学経験も評価するよう求めている
就職問題懇談会は、選考で留学経験などの意欲的な取り組みをきちんと評価するよう企業に求めています。学生時代に力を入れたことだけに偏らず、成績証明書や履修の記録を早めに受け取り、面接で生かすことも呼びかけの一つです。
留学先で何を学び、どんな成果を出したかを書類と面接で示せれば、留学は評価につながりやすくなります。帰国してから慌てないよう、留学中から記録を残しておきましょう。
留学の形で変わる就活のスケジュール
就活の時期への影響は、どんな形で留学するかで変わります。政府のルールでは4年生になる直前の3月に情報公開、6月に選考、10月に内定が始まるので、自分の帰国時期と重ねて考えましょう。
留学の形 | 留学する時期の例 | 就活で気をつける点 |
|---|---|---|
1年の交換留学 | 3年生の秋から1年 | 帰国が選考開始の前後 |
エクステンション | 休学して数か月〜1年 | 卒業が遅れることがある |
正規留学 | 海外の大学で学位を取る | 卒業時期が日本と違う |
エクステンションは、海外の大学が留学生や社会人に向けて開く語学や専門の課程のことです。時期の例は代表的な形で、実際は大学や学校の日程で変わります。
2027年度卒は3月広報・6月選考・10月内定
2027年度に卒業する学生の就活は、政府の要請で日程の原則が決められています。会社の説明などの広報は卒業年度に入る直前の3月1日から、面接などの選考は卒業年度の6月1日から、正式な内定は10月1日からです。
2週間以上の専門的なインターンシップで高い能力を認められた学生は、6月より前に選考へ進める例外もあります。留学の計画を立てるときは、この3つの日付を基準に帰国時期を考えましょう。
1年の交換留学は帰国時期と選考が重なりやすい
3年生の秋から1年間交換留学すると、帰国は4年生の夏ごろになり、6月の選考開始と重なりやすくなります。説明会やエントリーの多くを留学中に迎えるため、早めの準備が欠かせません。留学先で取った単位が日本の大学で認められるかによって、4年で卒業できるかも変わるため、出発前に大学の窓口で確かめておきましょう。
就職問題懇談会の要請は、留学と選考の日程が重ならないか事前に学生に確かめ、必要なら面接の日時を変えるよう企業に求めています。留学中であることを伝え、オンラインでの面接や日程の調整を相談しましょう。
正規留学やエクステンションは時期の説明が要る
海外の大学を卒業する正規留学や、休学して通うエクステンションでは、卒業の時期が日本の大学の流れとずれることがあります。そのため、通年採用や卒業後3年以内の新卒枠を使う前提で計画すると安心です。なお、政府の日程ルールは日本国内の大学などを卒業する人が対象なので、海外の大学を卒業する人は、企業ごとの海外大卒向けの募集を確かめましょう。
面接では、なぜその時期に留学し、いつ卒業するのかを短く説明できるようにしておきましょう。休学した理由と得たものを一続きで話せると、時期のずれはむしろ話の材料になるでしょう。
留学中にできる就活の準備
留学中でも、オンラインの面接や海外のキャリアフォーラムを使えば就活を進められます。出発前に大学のキャリアセンターに相談し、留学中に何をするか決めておけば慌てずにすむはずです。
オンラインの面接で選考を受ける
留学中は、オンラインの面接を使えば海外にいながら選考を受けられます。就職問題懇談会の要請も、学生が遠くにいる場合などはオンラインを使い、選考で不利にならないよう配慮することを企業に求めているのが心強い点です。
時差があるので、日本時間の面接が現地の深夜や早朝になることもあります。応募の段階で留学中であることを伝え、面接の時間帯を相談しておきましょう。静かでネットが安定した場所を確保しておくことも大切です。
海外のキャリアフォーラムに参加する
日本語と英語を話せる学生なら、海外で開かれる就職のイベントも選択肢です。たとえば、日英バイリンガル向けの就職サービスCFNが開くボストンキャリアフォーラムでは、CFNによると、イベント期間中に選考が進み、内定の可能性もあります。
政府の要請も、海外や国内のジョブフェアへの参加を含めて、留学した学生に採用の機会を設けるよう求めています。参加の条件や日程は年ごとに変わるので、公式サイトで確かめましょう。
出発前に大学のキャリアセンターに相談する
留学に出る前に、大学のキャリアセンターで就活の進め方を相談しておくと安心です。留学から戻った先輩の就活の時期や、留学中に受けられる学内の支援を聞いておけば、計画を立てやすくなります。
あわせて、志望する業界の採用の時期を調べておきましょう。業界によっては早い時期にインターンシップがあるため、留学中に応募の締め切りを迎えることもあります。
留学経験を選考で伝えるコツ
留学経験は、「行ったこと」ではなく「何を学び、何ができるようになったか」を伝えると評価につながります。成績や語学力の点数など、目に見える形で示せる材料を用意しておきましょう。
何を学び何ができるようになったかを話す
面接では、留学先で何に取り組み、その結果どんな力が身についたかを具体的に話すと伝わります。「海外で視野が広がった」だけでは、ほかの留学経験者と差がつきにくいからです。
たとえば、授業のグループ課題で意見をまとめた経験や、現地で困ったことを自分で解決した経験は、仕事の場面に結びつけて話せます。困ったこと、取った行動、結果の順で話すと分かりやすくなります。
成績や履修の記録を残しておく
留学先で受けた授業の成績や履修の記録は、帰国前に必ず手元に残しておきましょう。就職問題懇談会の要請は、企業が成績証明書や履修の記録を早い段階で受け取り、面接で生かすよう求めています。
交換留学なら、留学先の成績が日本の大学でどう単位として認められるかも確かめておくと、卒業の見通しを説明しやすくなるでしょう。授業の資料や課題も、話の裏付けとして保存しておくと役立ちます。
語学力は試験の点数で示す
語学力は、「話せるようになった」と言うより、TOEICやTOEFL、IELTSなどの点数で示す方が伝わりやすいものです。帰国前後に試験を受けておけば、留学の成果を数字で説明できます。
志望する企業が求める点数の目安があれば、それを目標に留学中から準備しましょう。点数とあわせて、英語で何をしたかを話せると、語学力が仕事でどう役立つかを示せます。
留学先でそのまま就職する道
留学先の国でそのまま働きたい人には、卒業した留学生向けの就労ビザがある国が選択肢です。カナダ・イギリス・オーストラリアは、条件を満たせば卒業後に一定期間働けます。
国 | ビザ | 主な条件 | 働ける期間の目安 |
|---|---|---|---|
カナダ | PGWP | 8か月以上の課程の修了 | 課程の長さで決まり最長3年 |
イギリス | Graduate visa | 学生ビザで英国の学位課程を修了 | 2年、2027年から18か月 |
オーストラリア | Subclass 485 | 学士以上を修了・原則35歳以下 | 2〜3年が多い |
2026年10月時点の各国政府の案内です。条件は変わることがあるため、最新は各国の公式サイトでご確認ください。
カナダは8か月以上の課程で就労ビザがある
カナダでは、8か月以上の課程を修了した留学生が、卒業後の就労許可(PGWP)を申請できます。カナダ移民局によると、英語力の条件があり、大学の学位以外の課程では学ぶ分野にも条件があります。
カナダで働くことまで考えるなら、出願の前に課程の長さと分野を確かめておきましょう。詳しい条件は社会人のカナダ留学の記事でも整理しています。
イギリスの卒業生ビザは2027年から18か月
イギリスでは、大学の課程を修了した留学生が卒業生ビザ(Graduate visa)で働けます。英国政府によると、2026年12月31日までに申請すれば2年、2027年1月1日以降の申請では18か月です。
博士課程を修了した人は3年で、申請料は937ポンドです。イギリスで働く経験を積みたい人は、卒業の時期と申請の時期で期間が変わる点に気をつけましょう。たとえば2026年の秋に課程を終える人は、年内に申請できるかどうかで働ける期間に半年の差が出る計算です。
オーストラリアは35歳以下なら卒業生ビザ
オーストラリアでは、大学などを卒業した留学生が卒業生ビザ(Subclass 485)で働けます。オーストラリア内務省によると、学士以上の資格の修了と、申請時に原則35歳以下(例外あり)であることが条件で、滞在できるのは学位によって2〜3年が多くなっています。
年齢の上限があるため、社会人になってから学位を取りに行く人は、卒業時の年齢も計算に入れておきましょう。英語力などほかの条件もあるので、内務省の案内で確かめてください。
よくある質問
留学と就職について、よく出る質問への答えをまとめました。
留学すると就職で不利になりますか?
不利になりにくくなっています。政府は企業に通年採用を含む採用の機会を設けるよう求め、大学側の就職問題懇談会は選考で留学経験を評価するよう求めています。ただし企業へのお願いなので、志望先の採用ページで確かめましょう。
3年生で1年留学しても就活に間に合いますか?
間に合わせることはできます。帰国が6月の選考開始と重なりやすいため、留学中にオンラインで説明会や面接に参加し、日程の調整を企業に相談しましょう。
留学で卒業が遅れると新卒で応募できませんか?
応募できる企業もあります。政府は企業に、卒業後少なくとも3年以内の人が新卒の採用枠に応募できるようにすることを求めています。企業ごとの扱いは募集要項で確かめましょう。
留学中に日本の企業の面接は受けられますか?
オンラインで受けられる企業があります。大学側の就職問題懇談会も、遠くにいる学生にはオンラインを使って選考で不利にならないよう配慮することを企業に求めています。時差を考えて面接の時間を相談しましょう。
まとめ
留学しても、日本での就職は不利になりにくくなっています。政府は企業に、留学した学生への通年採用を含む採用の機会や、卒業後3年以内の人が新卒枠に応募できるようにすることを求めています。大切なのは、帰国時期と就活の日程を重ね、留学中から準備を進めることです。
次にやることは、自分の留学の時期を2027年度卒の日程(3月・6月・10月)に当てはめ、帰国前後に何をするかを書き出すことです。留学先で働きたい人は、国ごとの卒業生ビザの条件も確かめておきましょう。
この記事の出典
制度・日程は2026年10月28日に各公式サイトで確認しました。最新は各公式サイトでご確認ください。
- 内閣官房「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」
- 内閣官房「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請について」(PDF)
- CFN(キャリアフォーラム・ネットワーク)
- CFN「ボストンキャリアフォーラム」
- IRCC「Post-graduation work permit: Eligibility」
- GOV.UK「Graduate visa」
- Study Australia「Temporary Graduate visa (subclass 485)」
- Australian Department of Home Affairs「Temporary Graduate visa (subclass 485) Post-Higher Education Work stream」